今回はおすすめの大型株について紹介させてもらおうと思う。
しかし、株初心者であれば大型株の定義が何なのか理解していない人もいるだろう。
そこで今回はまず、大型株とは何なのかから説明させてもらおう。
■■■ 目次 ■■■
大型株とは
東証一部の銘柄の中で時価総額の大きさと流動性の高さから東京証券取引所がランキングを作成し、その中で上位100位の銘柄までのことを表す。大型株の特徴は、市場での取引数が多いことから流動性が高いが、株価の動きが小さいことにある。また、大型株に採用されている企業は、大企業が多く、個別の企業の不祥事や新商品の発表などによりその企業の株価に自体にも変動を与えることがある。そのため、大型株で運用を行う際は、その銘柄の企業情報に注目して最新の情報を仕入れておく必要がある。
大型株の定義
東証一部のおよそ1700銘柄を、時価総額の大きさと流動性の高さで東京証券取引所がランキングを作り、その東京証券取引所が作成したランキングの中で上位100位の銘柄までを大型株と呼ぶ。ちなみに、上位400位までの銘柄が中型株、それ以外が小型株と呼ばれる。
規模別にグループ化した株価指数として投資家に注目されている。このように大型株・中型株・小型株という形式でグループ化して値動きを見てみると、株式市場全体の値動きや企業個別の値動きを見るよりも、より企業規模ごとのトレンドを理解することができるようになる。そのため、大型株のようなグループ化した株価指数に注目する手法が活用されている。
大型株の中でも日本を代表する超大型株はTOPIXコア30と言う。(※TOPIXは時価総額を基準にした株価指数。日経平均株価と並ぶ日本の代表的な指数)
大型株の特徴
保険会社や銀行などの機関投資家は、巨額の資金を運用する。一度にたくさんの株数を投資するため、出来高が少なく流動性の低い銘柄だと、売買が成立しない。そのため、機関投資家は流動性を重視することから、大型株を中心に投資を行う。そして時価総額も大きい大型株は、買っても買っても売り物が出て、売っても売っても買い物が出るため、株価は余り大きく動かないという特徴がある。
逆に、小型株は時価総額が小さく、市場での流動性が低いため、日々の売買代金も少なくなる。つまり、少ない資金でも、買い物が多くなると株価が急騰するという特徴がある。
ここまでの説明をまとめると
大型株:時価総額が大きいため、株の取引きが頻繁にあることから流動性が高い。しかし、
株価の変動は少ない。
小型株:時価総額が小さく、日々の取引が少ないため流動性が低い。しかし、取引が少ない
だけ株価の値動きが大きくなる可能性が高い。
大型株は、『日経225』に採用されている銘柄が入れ替わったり、モルガン・スタンレーが作っていて世界が注目している株価指数『MSCIインデックス』の採用銘柄が入れ替わっても、その影響で突然売り物が出て下落することがある。また、大型株には国際的に事業を展開している銘柄が多く、海外の景気や為替の変動でも動く。
さらに、個別の銘柄の事情ではなくても変動する。それは、機関投資家がリスク回避のために色々なデリバティブ取引を行う影響で起こる。個人投資家がよく分からないところで動く性質がある。
大型株への投資の魅力は、その値動きの安定性にある。また国際的にも信頼度の高い企業が多く、個人投資家以外にも機関投資家(保険会社、年金基金など)や外国人投資家など多くの投資家に買われているという特徴がある。大きな資金は簡単には出し入れできないため何か重要な事象が生じない限りは、株式が売られることが少なく、安定した値動きをする。
特に初めは大型株の中でも安定性があり、配当利回りの高い銘柄は投資先としては狙い目だと言える。もし大型株への投資を考えているのであれば、成長性よりは業績の安定性や配当の高さに注目をして投資先を決定する。注意点として大型株への長期の投資に関しては重要な点が2つほど存在する。それが次の企業自体の悪材料による株価下落と相場全体の下落だ。
・企業自体の悪材料による株価の下落
大型株は安定的な動きをする。それは逆に言えば、何か大きな悪材料が企業に生じた場合、株価は容赦なく売られることを意味する。例えば、ここ最近話題になっている東芝の粉飾決算である。東芝は粉飾決算が明らかになり、その後株価は右肩下がりで値を落とした。日経平均の動きに関係なく、悪材料の出た企業の株は多くの投資家から売られてしまう。特に大きな資金を投入している機関投資家や外国人投資家の売りは株価に大きな影響を与える。
このように、大型株と言ってもすべての株式が安定的と言うわけではないので、個別の銘柄ごとにニュースを確認して最低限、株価に影響を与える悪材料がないかどうかを確認しておいたほうがよい。
参考)個別の株価に大きな影響を与える悪材料
(1)粉飾決算
(2)予定されていた新規事業の廃止
(3)業績の悪化・赤字かなど
(4)主要な提携先との提携解消
(5)製品の不具合(リコールや食品問題など)
(6)相場全体の下落
大型株に投資するメリット
大型株のメリットは、大きく分けると以下の3つとなる。
1.安定した堅い動きをする傾向がある
2.業績が安定していれば高い配当を継続して出す企業が多い
3.比較的売りたい値段買いたい値段ですぐに取引を成立させることができる
大型株のメリットは、安定した値動きにある。大型株企業に何か個別の悪いニュースがこなければ、日経平均株価(相場全体を表す指標)とほぼ似たような動きをする。1日の値動きも数%ほどの日がほとんど。成熟した企業も多く、成長して株価を大きく伸ばすよりは企業内の剰余金を配当に回すことの方が多い。そのため、株による運用だけでなく、高額な配当を得られるということも魅力である。また、多くの投資家によって売買されているがゆえに、値動き幅が少ないことから、すぐに直近の取引値で取引を成立させることが可能である。小型株は、値動き幅が大きいため、一度売買のチャンスを逃すとなかなか新たな売買のチャンスを見つけることが難しいが、大型株は値動きが安定しているため、直近の取引き値で取引を成立させやすいことから取引時間に余裕を持つことができるとも言える。
大型株に投資するデメリット
大型株のデメリットは、大きく分けると以下の3つとなる。
1.既に多くの投資家に買われていることもあり株価が大きく上がりにくい
2.業績悪化により配当が減少または無くなると投資する旨味がほとんどなくなる
3.全体相場(日経平均)の影響を受けやすい
大型株のデメリットのひとつは、多くの投資家に既に買われているために株価が上がりにくいということがある。時価総額が大きければ大きいほど動きが重たくなり、多少の良いニュースではさほどの値上がりはしない。
また、大型株は、株価の値動きが小さいことから配当を目的に投資する傾向にあるが、配当が減少したり、無配になったりすると大きな上昇が狙えない大型株においては、それほど投資をする旨味がなくなってしまうというデメリットもあり、企業の業績に注意して配当が見込めるかどうかに着目する必要がある。
最後に、大型株は企業の業績に関係なく、全体相場(日経平均)に影響を受けやすいというデメリットもある。企業業績が好調であっても、全体相場が低調であれば、大型株の株価も低調傾向になってしまうということがあることに注意しておく必要がある。
では、これらの前提条件を基に、ここからは株セミナーの精鋭が選んだ大型株を紹介させてもらおうと思う。
大型株一覧
富士フイルムホールディングス<東1/4901>
富士フイルムはデジタルカメラのイメージが強いが、それ以外にも幅広く事業を展開している銘柄だ。フイルム事業をはじめとして、医療機器や医薬品まで展開している。傘下の富士化学は認知症薬、J-TECは再生医療を手がけている。
CMでおなじみの、インスタントカメラ「チェキ」が海外で意外なヒットを飛ばしている。
それに、米国の再生医療ベンチャーを買収している点もチェックしたい。このベンチャーは、iPS細胞関連の特許を数多く持っており、細胞を安定して量産できる技術に長けている。この部分でも好材料となっている。
今後のポイントは、為替の動向だ。海外売上高が6割もあるため、円高は減益要因の一つといえる。現在は、121円と再び円安傾向となっている。
日本航空<東1/9201>
2010年に破錠してから、2012年に再上場した日本航空だが、現在稼ぐ力が伸び、業績が上昇している。フランステロ事件で、海外旅行などの利用者は減少したが、国内旅行需要で売上は堅調だ。
原油安で燃料コストの軽減も好材料であり、訪日外国人のインバウンド需要も好調である。
世界中のテロ事件はまだまだ収まりを見せないが、円安、原油安、インバウンドが2016年も好調であれば、さらに業績を伸ばすことが予想できる銘柄である。
ソニー<東1/6758>
ソニーはスマホやウェアラブル機器、自動運転車などの最先端分野のデバイスになくてはならない存在となったイメージセンサーを中心に業績を急回復している。雑誌等にもその急回復ぶりが紹介されるなど注目されている銘柄だ。
自動運転車で今最も注目されているZMPとも協業している点でも注目できる。さらには、不動産事業でも注目されており、今後のさらなる業績向上が期待できる。
懸念要因は、円安は減益の要因となる銘柄なので、為替動向はチェックしておこう。
クボタ<東1/6326>
クボタはアメリカでの小型トラクターが好調である。TPP関連銘柄としても注目された銘柄で、農業関連銘柄としては本命の一つといえる。アジアでの農機需要の増加は確実で、さらなる業績向上が期待できる。
さらに、インドに組み立て拠点を開設して、世界最大のトラクター市場に参入する。
北米での売上高が高いため円高は減益要因となるので、注意しよう。
TOTO<東1/5332>
訪日客に人気のウォシュレットが中国の新興国で高成長を続けている。なんと前年比43%増である。更には、高齢者向けの電動で昇降する便座の新製品も好調だ。株主への還元も積極的でおすすめ銘柄の一つといえる。
まとめ
2016年期待したい大型株の銘柄をまとめてみた。大型株はどうしても最低購入額が高くなってしまいがちだが、その分安定感もある。新興株のように、突然急落なんてことは、大きな事件でもない限りなかなかないので、そのへんは安心できるだろう。
大型株を購入する余力のある人は、購入も検討してみてほしい。
この記事へのコメントはありません。