■■■ 目次 ■■■
はじめに
低価格帯の衣類を購入できるブランドとして親しまれているユニクロやGUですが、それら二つのブランドを運営する企業でもあるのが「ファーストリテイリング」です(ここでは分かりやすく、ファーストリテイリングの名称を全て「ユニクロ」で統括して説明します)。
特に近年では海外事業の売上高が国内事業のそれを追い抜くほど業績の伸びが目覚ましいユニクロですが、その株価は初心者には手が出せないほど高額であることを皆さんご存知でしょうか。
そこで今回の記事では、安価な商品を取り扱うユニクロの株価がなぜそれほど高いのかに焦点を当てて解説します。
優良企業であることはもちろんですが実は割高な銘柄であることや、ユニクロが現状抱える課題についても掘り下げていきます。
ある程度まとまった資金がある場合には、ユニクロに投資することを検討してみるのも一つの方法です。
1章:近年のユニクロの概要
この章ではまず近年のユニクロの概要と題して、現在のユニクロが抱える課題について解説していきます。
ユニクロを運営するファーストリテイリングは、安価でベーシックな印象のある商品を取り扱うユニクロだけでなく、流行に沿ったより安価な商品を提案するGUと、二つのブランドを誇ります。
今回は海外事業に精力的なブランドとしてのユニクロを取り上げます。
ユニクロがそれほどまでに市場からの評価が高いのには、いったいどのような理由があるのでしょうか。
1ー1 海外事業の成功が功を奏した
ユニクロは現在進行形で海外事業を精力的に展開しており、特に中国や東南アジア、オーストラリアでの売り上げが業績に貢献しています。
海外事業の好調により業績を順調に伸ばしたユニクロは、2016年度8月期の営業利益や純利益こそ前年比マイナスになったものの、翌8月期では営業利益は前年比プラス約39%、純利益に至っては前年比プラス148%を達成しました。
中国での成功についてはインターネットを利用したプロモーション戦略、また値引き販売を減らしコスト削減を徹底したことが功を奏したと同社の柳井会長や執行役員は分析しています。
ただ海外事業での華々しい成功の一方で、日本国内での売り上げが伸び悩んでいることは、ユニクロへの投資を検討するのであれば知っておいてもいいかもしれません。
1ー2 国内事業は経費削減が課題
ファッションブランドと言えばその時代の流行を取り入れた商品が店頭やウェブサイトに並んでおり、消費者は数多くの陳列された商品の中から自分の好みに合わせて商品を購入するのが一般的です。
しかし既製品として商品の種類を豊富にして陳列するからには、少なからず処分対象となる無駄な商品が出てきます。
一般的にアパレル業界ではおよそ半分以上の商品が無駄になるため、ユニクロを含めた販売店では在庫処分のための値引きセールを実施します。
もちろん値引きした商品でも売れれば多少なりと利益になる訳ですが、それでも売れ残った商品については制作費とともに処分費用が別途かかってきます。
近年では流通費や人件費が上昇しており、ユニクロでも店舗を運営するだけでそうした費用が圧迫している現状があります。
そのことを危惧した柳井会長は、「経費の削減を大幅にやっていかないといけない」として、配送費用の削減や人材配置の最適化を目的として社内改革を推進しています。
1ー3 サーバーの脆弱性がネット通販の弱みに
ユニクロは元々実地店での販売を軸として運営していましたが、ZOZOTOWNに端を発するネット通販の利便性に人気が集まっています。
国内におけるアパレル業界でネット通販による売り上げが業績に色よく反映される一方で、ユニクロのネット通販の売り上げ比率は全体のわずか6%に留まります。
ユニクロでは11月に毎年恒例の感謝祭が期間限定で開催されることは周知されていますが、公式の通販サイトのサーバーがアクセス数に耐え切れずダウンしてしまうというシステム障害が毎年のように発生しています。
ユニクロの海外事業は順調に成功を収めていますが、その一方で国内事業の柱とも言うべきネット通販ではサーバーの脆弱性が露見している状況です。
ネット通販のシステム障害が感謝祭の度に続発していては、ユニクロの通販サイトを利用する消費者がいずれ遠のくリスクも予想されます。
無駄を省いて増益に寄与するとともに、早急なネット対策が急務とされています。
2章:ユニクロの株はなぜ高いか
堅調に業績を推移させているかのように見えても、アメリカを拠点とした海外事業では未だに模索状態であったりネット通販のシステム障害に対策が追いついていなかったりと、
傍目には盤石に見えるユニクロでも課題はいくつも存在します。
ユニクロの近況をある程度確認したところで、次にそんな課題が散見されるユニクロの株価がなぜそれほどまでに高いのかを解説していきます。
2ー1 ユニクロの株は指標的には割高
ここで一つ思い出してほしい知識として、その銘柄の割安感を測るために利用できる指標としてPBRおよびPERというものがあります。
これらの指標では一般的にPBRが1倍程度、PERが15倍以下であればその銘柄は割安であると判断することができます。
しかし実際に四季報オンラインに記載されるユニクロの数値を見てみると、ユニクロのPBRは6.59倍、PERは37.46倍となっていました。
これは明らかに高すぎる数値であり、こうした割高株は初心者からすれば最も投資を避けねばならない銘柄と言えるでしょう。
世界規模で店舗数を拡大している有名ブランドだから株価がつられて高くなっているとも考えられますが、ユニクロの株価は他の優良企業の銘柄と比較しても高すぎる感はあります。
2ー2 日経平均株価に多大な影響力がある
日経平均株価と言えば国内の株を保有する投資家であれば誰もが知っているものです。
日本国内に拠点を置く企業から225社の優良企業を選出し、各企業によってそれぞれ構成率が設定されています。
食品ブランドとして名高い明治や日清でさえ約0.3%程度であるにもかかわらず、ユニクロの構成率は約8%と異様なまでに高い水準です。
つまりユニクロの株が数株売買されるだけでも、日経平均株価の数値に多大な影響をもたらします。
実際に株式投資を長く行なっている投資家では日経平均株価の偏った構成を当てにせず、TOPIXを日本経済のものさしとして利用する方も一定数存在するほどです。
2ー3 投機筋のファンドによる影響も
それに加えて投機筋のファンドが相場を日経平均株価に影響を与える銘柄へと投資することで、間接的にユニクロの株価まで引き上げているとも考えられます。
日経平均株価と連動してユニクロの株価が5桁まで増額していると考えれば、割高を示す指標の高い数値や長期間の株価の高止まりも納得のいく話です。
ただ株価の大幅な値上がりがあまり期待できる状況でもないので、株価の値上がり益を狙う短期投資には不向きな銘柄と言えるでしょう。
3章:初心社向きの銘柄選びとは
前章ではユニクロの株価が異様に高い原因を考察しましたが、この記事の締めくくりとして初心者向きの銘柄とはどのように選ぶべきかという問題について解説していきます。
特に株式投資に不慣れな初心者のうちは割安感のある銘柄に投資することで、長期的な値上がりを見込みやすく利益が出やすいというのが一般的な話です。
しかしユニクロの株価はそもそも高く、資金源が限られる初心者にとっては手が届く代物ではありません。
それでは具体的に初心者向きの銘柄を選ぶためには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。
3ー1 割安感のある銘柄を選ぶ
ユニクロは割高感のある銘柄の代表例とも言うべきものですが、一般的に初心者が選ぶべき銘柄としては割安感があることが条件となります。
これは先程も紹介したPBRやPERといった指標で簡単に調べることができ、PBRが1倍程度でかつPERが15倍以下であることが一つの目安となります。
ただし業績が赤字続きだったり倒産リスクが高かったりすると、これらの指標は割安と判断できる数値へと推移していきます。
これらの指標はあくまでも一つのものさしでしかないため、割安感の有無も絶対的なものではありません。
あくまでも相対的なものさしとして使用するように心がけた方が無難です。
3ー2 業績の好調な企業を探す
業績が赤字に転落すると投資家たちがその企業の株の出来高が上がり株価が下落するように、これまで赤字続きだった業績が急に黒字化した.
あるいは赤字に転落せず黒字のまま堅調に推移している企業の株は株価が上昇しやすい傾向にあります。
営業利益あるいは経常利益を伸ばした企業は株価が突然上昇することもありうるので、業績の順調な企業を探すと優良銘柄に出会いやすくなります。
3ー3 事業内容を把握している銘柄を選ぶ
株式投資をする上では、投資する企業の情報を徹底的に調べ上げて把握しておく必要があります。
投資家とはそもそも企業の未来に投資することになるので、その企業が手がける事業の詳細を知らない状態では今後とも伸び代がある事業内容かどうかを判断することができません。
流行している銘柄だからと知識もないのに投資する必要は特になく、不慣れなうちは自分の周囲にある有名な企業に投資してみるところから始めてみることをおすすめします。
まとめ
ユニクロを運営する企業の名称がファーストリテイリングであるように、株式投資における銘柄とその株券を発行している企業名とが全く異なる場合もしばしばあります。
そのため自分が知っている名称で銘柄を検索しても、名称が違うだけでその銘柄は引っかかってはくれません。
まずはインターネットでその名称を検索し、自分が投資したい企業の正式名称を調べてみるとより確実に銘柄を見つけることができます。
ユニクロのように高額な銘柄に投資しなくても、割安感のある銘柄の中にも株価が急騰するものも含まれる可能性があります。
初心者のうちから高額な銘柄に手を出すよりは、少額投資から感覚を慣らし資金を着実に増やす投資方法を模索してみるといいでしょう。
この記事へのコメントはありません。