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はじめに
株式を始めようとした際に必ず直面するのが、この時間に関する問題です。
株式の売買は主として証券取引所が開いている時間帯に行うものですが、この取引時間内でなければリアルタイムでの株式売買はできないことを意味します。ただ本業の傍らで株の売買を行う人だと、限られた時間内に株を売買することは現実的に厳しくなります。日中だとなかなか時間をとりづらい人のために、ネット証券やPTS(私設取引システム)といった時間外の取引方法が存在するほどです。
本記事では、株と時間の関係性について詳しくご紹介します。時間の有無によって活用しやすい投資方法についても後述するので、ぜひ最後までご覧ください。
株と時間の関係性
株の取引時間について見る前に、まずは日本の証券取引所について説明していきます。
日本の証券取引所といえば東京証券取引所(以下、東証とする)が有名ですが他にも、札幌、名古屋、福岡といった地方の証券取引所を含めた、計四つが日本の証券取引所としてあります。
上場企業の数だけで見れば東証が圧倒的に多く、また東証に上場していても他の証券取引所にも重複上場している企業も多く見受けられます。しかしたとえ地方の証券取引所であったとしても、地元密着型の老舗企業や優良企業が上場している場合があります。取引高は東証に及ばないまでも、地方の証券取引所から東証に上場した瞬間から株価が高騰していく銘柄もあるので、そういった株を予め保有していれば大きな利益を見込めるかもしれません。
次項からは株の値動きと時間の関係性について、より詳しく話を進めていきます。
株の値動きと時間
株価の値動きは時間と密接に関連しています。東証を例にして取引時間について説明すると、以下の通りです。
①寄り付き
その日初の取引で決まる株価をこう呼びます。取引開始前を寄り前と呼び、寄り付きの価格が安ければ安寄り、価格が高ければ高寄りと呼び名が変わります。開始された取引の売買が一巡した後にできる相場を、寄り後と表現します。寄り付きから約一時間は証券会社のディーラーも動くため株の値動きが激しく、活発な時間帯と言えます。
②前場
午前中に始まる取引時間を指し、午前9時から11時半までの時間帯をこう呼びます。この時間帯であればいつでも取引可能となっています。
③前引け
前場終了時点での売買をこう呼びます。11時半までのおよそ15分間は、証券取引所の昼休みにどの様なニュースが発表されるかわからないため、一様にポジションを閉じようとして株の売買が再度盛んになります。
④後場寄り
午後の取引時間で決まる最初の株価をこう呼びます。前場で大きく値上がりした銘柄や、昼休みに良い材料が出た銘柄を後場寄りのタイミングで買いに出ると、株価が上昇方向に値動きする可能性があります。後場寄りから13時までの30分間は、欧州からの参入により取引が活発になります。証券会社のディーラーであれば午後でも利益を得るべく、新たな注文を入れてくるのがこの後場寄りの時間帯になります。
⑤後場
午後に始まる取引時間を指し、正午から15時までの時間帯をこう呼びます。後場が終了する時間が各証券取引所によって異なり、東証では15時終わりでもその他の証券取引所では15時半まで取引可能となっています。
⑥大引け
証券取引所で行われるその日最後の取引をこう呼びます。後場でついた株価を引け値、もしくは終値とします。引け値がその日における高値で終わることを高値引け、安値で終わることを安値引けと言います。高値引けになると株価の値上がりの勢いが強く、安値引けになると値上がりの勢いが弱いとも言い換えられます。大引け間際の15分間は翌日に向けたポジション取りもあるため、取引が活発になる傾向があります。
総じて言えば、前場と後場ともに前後の時間帯が株価の値上がりを見込みやすい時間帯と言えるでしょう。
株の取引時間
次項で株の時間外取引について見ていく前に、この項目では株の取引時間について簡潔にですが触れておきます。
①証券取引所
証券取引所の取引時間については前項の通りです。日本の証券取引所は、昼休憩を挟んで前場と後場の二つの取引時間で分かれていることが特徴的です。また証券取引所にも休日があるため、振替休日を含んだ土日祝日、大晦日と正月三が日は取引できません。以上のことから、証券取引所での取引は平日の日中のみに限られます。
②ネット証券
本業に日中の仕事をしている人であれば、リアルタイムでの株式売買を行えないことが殆どでしょう。そういった場合に利用できるのがネット証券を経由しての株取引です。これに関しては次項で詳しく解説を加えるので、ひとまず省略しておきます。
③PTS
証券会社が独自に保有するシステムで、ネット証券同様に夜間でも株取引が行えます。リアルタイムで株価の値動きを見たい人向けのシステムですが、こちらについても次項で詳しく解説していきます。
株の時間外取引
①ネット証券
ネット証券が持つメリットとデメリットは以下の通りです。
・メリット
ネット証券のメリットと言えばその利便性に他なりません。PCやスマホ経由で取引が可能であり、システムメンテナンス時以外はほぼ24時間利用できることが魅力です。またネット証券の中には、大手証券でかかる手数料より約6,000円安いものも存在します。手数料の安さは利益に直結しているので、株式用に口座を開設するならネット証券を選ぶことが得策と言えます。
・デメリット
ネット証券では自分一人で発注する銘柄や数量を決めなくてはなりません。また証券会社のサーバーがダウンしたり、自身が使うPCやスマホに障害が発生すると、その時点から一切の取引ができなくなります。株式売買時における不測の事態にも一人で判断を下して対処しなければならないので、投資初心者には敷居が高い投資方法と言えるかもしれません。
②PTS
日中に忙しく働く人でも、夜中に株式売買を行える方法がもう一つあります。それがPTSです。PTSのメリットとデメリットについても、以下で詳しく見ていきます。
・メリット
PTSもまたネット証券同様に手数料が安いので、証券取引所と同じ株価であればPTSを利用することでよりお得に株の売買が行えます。また証券取引所で出す注文より細かい単位を指定することもでき、この単位を呼値(刻み値)と言います。この呼値が小さいことで売買時の価格をコントロールしやすくなり、少しでも効率よく利益を上げることを考えた時に有意となります。
・デメリット
PTSでは利用者の少なさが最大のデメリットとなります。利用者数が限られていると株式の取引が成立しない可能性も高くなり、このことを流動性が低いと言います。加えて注文方法が指値一択になるため、どの価格で取引成立になるかがわからず株価の変動が激しいことも特徴的です。ただしこの性質を利用して、PTSの暴落株を購入しておき翌日の株式市場で高値での売りを狙ったり、PTSでの高騰株を売却することで大きな利益を上げたりする手法も現に存在します。投資初心者には向かない方法であることに変わりありませんが、ある程度慣れた時点でPTSを利用して売却益を狙っていく方法もあることだけは念頭に置いておくと良いでしょう。
時間外取引を行うことで、チャートや情報板に左右されず株の売買を行えることがこれらの投資方法のメリットと言えます。その日の終値のみで判断できるため、株式で思うような利益を上げられない人は、一度でも時間外取引に挑戦してみると良いかもしれません。
株にかかる時間
この章では株にかかる時間を主として説明していきます。
株にかかる時間とは株式売買のために使える時間を意味しており、この時間量に応じて推奨される投資方法が異なります。以下では、時間の有無に合わせた投資方法について見ていきましょう。
時間がない人のための株式投資法
前述したとおり、株式には投資法が複数存在し、それら投資法によって1日にかかる時間も変わってきます。
ここでは1日にそれほど時間の使えない方向けの投資方法を解説していきます。
①長期投資
時間がない個人投資家であればこそ、短期的な株価の値動きにとらわれない長期投資が向いています。長期投資する際の銘柄選びのポイントとして、製品やサービスの安定化を図れる企業である点が挙げられます。これには日頃の生活に必要不可欠な衣服や消耗品、医療関係などの企業が相当します。また新たな設備投資が不要な企業を選ぶこともポイントです。価格が安定していることに加えて製品そのものの寿命が長いと、新たに必要とされる設備投資が省けるため、企業としての利益が安定しやすい傾向にあります。業界自体に将来性がある企業ほど需要も生まれやすく、業績も連動して伸びやすいと言えます。
時間を使える人の株式投資法
前項では時間の使えない人向けの株式投資についてご説明させていただきました。
本項では、1日の時間の大半を株式投資に費やせる方向けの株式投資方法をご説明させていただきます。
①デイトレード
デイトレードとは保有する銘柄の売買を、数分から数時間という単位で完結させる短期的な投資方法の一種を指します。翌日まで取引を持ち越さないことから、立会時間以外での悪い材料の影響を受けずに済みます。株を購入するタイミングとしては、高騰株を狙う順張りと、真逆の暴落株を狙う逆張りとがあります。取引の多い銘柄だと値動きが激しい余り、予想外の損失を被ることも少なくないため初心者には難しい側面もあります。
②スイングトレード
スイングトレードとは株の売買を数日間から長くて数ヶ月間のうちに行う、短期投資の中で最も株の保有期間が長い投資方法です。短期売買においては企業の業績や将来性に投資するファンダメンタル分析よりも、チャートや過去の値動きから売買のタイミングを探っていくテクニカル分析が重宝されます。デイトレードと比較しても株の保有期間が長いため、株価をチェックする頻度や売買手数料を低くコントロールしやすくなります。また長期で株を保有すればするほど大きな利益を見込みやすくなることも特徴です。
まとめ
株式売買にかけられる時間の有無により、利益の見込みやすい投資方法が異なることをご紹介しました。調子が良い時ほど欲が出て更なる利益を期待しそうになりますが、そのせいで売買のタイミングを見誤るリスクは否定しきれません。利益を出すことはもちろん重要ですが、日頃から売買する際の判断基準を決めて取引に臨むことで、いざという時の判断ミスを未然に防ぐことができます。
それを可能にするのは株式に対する知識・情報です。このことからも、普段から株式に対する勉強を怠らず継続していく必要があるのです。
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