はじめに
株を始めて間もない初心者が真っ先に迷う問題として、株式投資にあてがう投資額があります。株式投資に慣れ親しんだ投資家であれば自分の力量を理解した上で投資額を設定することもできますが、貯金や資産を増やす目的から参入したばかりの初心者では人によって投資できる金額も違えば最終目標とする金額もまちまちです。ただ初心者のうちから大金を注ぎ込んで株の売買を行ってしまうと、余剰金が一瞬でなくなることさえ十分考えられます。
そこで今回の記事では、株初心者におすすめする負けない投資方法の投資額について解説します。以前であれば最低100万円の資金は必要とも言われていましたが、最近では証券会社のサービス内容も豊富になり、少額投資を目的とした個人投資家でも株を買える時代に突入しました。初心者にもかかわらず株式投資に多額の資金を注ぎ込んで一山当てようとする前に、まずは初心者でも取り組みやすい難易度から挑戦してみるのもいいかもしれません。
1章:株初心者に大金での投資方法が向かない理由とは
この章では株初心者に大金での投資方法が向かない理由について解説していきます。株を始めたからにはできる限り稼ぎたいと考えるのも仕方ありませんが、ビギナーズラックで稼ぎ続けられるほど株式投資は甘い世界ではありません。株初心者が犯しやすいリスクとしては以下のようなものがあります。
1ー1 投資できる銘柄が限られてしまう
基本的に各企業の銘柄では最低単元株数があらかじめ決まっています。例えば1株あたり500円の銘柄の最低単元株数が100株であれば、最低でも5万円は必要になります。ただ業績好調である企業ほど1株あたりの株価が高い傾向にあるため、大手企業であれば最低でも30万円は必要となってきます。
余剰金が多い投資家であればさほど気にならないかもしれませんが、いくら最低単元株価の安い銘柄を購入したところで、一般的な投資方法で挑んだ時点で投資できる銘柄はごくわずかに限られてしまいます。
1ー2 全額投資をしやすくなる
プロの投資家ともなればリスクとリターンが同程度の比重であることを十分理解しており、その上で利益額を上げるために高い戦略を練りながら大金を注ぎ込んで株の売買に取り組んでいます。ただこれはあくまでも株式投資の場数をこなしたプロの場合であって、初心者として参入して間もない投資家がプロ同様にほぼ全額を注ぎ込んでの投資に挑めば負けることは目に見えています。
不慣れな初心者ほど投資額が多いほど儲けられると思い込み安易に全額投資をしやすい傾向にありますが、リスクコントロールの方法も知らない状態で大金を動かすことは得策ではありません。株式投資の感覚を掴んでいない時だからこそ、少額投資が最適とも言えます。
1ー3 株式投資の感覚が身につかない
大金を注ぎ込んで1銘柄ないし2銘柄に投資したところで、自分自身の経験値は良くても2銘柄分しか蓄積しません。初心者のうちは特に株式投資の感覚がないため、可能な限り場数をこなしておくに越したことはありません。
集中的に大金を注ぎ込んでしまうと投資できる銘柄が限られるだけでなく、自分の経験値も蓄積できない状況になってしまいます。
1ー4 感情的に投資しがちになる
大金を一度に注ぎ込んでしまう初心者の心理として共通しているのが、勝つことへの執念が強いということです。株式投資で利益を上げるべく貪欲に取り組むことは大切ですが、初心者のうちは特に知識や技術が不足していることで負けやすいです。
勝ちに固執するあまり自分が投資している銘柄の悪材料から意識的に目を背け、含み損が出てもつい放置してしまう人は実際に大勢います。感情的になって投資しても冷静な判断が下せないため、いくら大金を注ぎ込んだところで実益が出る可能性は極めて低いです。
2章:株初心者におすすめの少額投資とは
株初心者が大金を動かしての株式投資に向かないことは上記の通りですが、この章では株初心者にこそおすすめしたい少額投資について解説していきます。
冒頭でも触れたように、最近では各証券会社が少額の個人投資家を視野に入れたサービスを提供するようになりました。少額で取り組めるということは利益額こそ少なくなってしまいますがその反面、損失額も少なく済むため精神的負担が緩和されます。個人投資家では資金管理が特に重要となるため、以下でその具体的な少額投資の種類について確認していきましょう。
2ー1 ミニ株
最低単元株数や株価が壁となり少額資金しかない個人投資家が参入しづらい環境というのもかつてはありましたが、現在では「ミニ株」とも呼ばれる少額投資のサービスが拡充されつつあります。このミニ株とは各証券会社によって名称が微妙に異なりますが、要するに最低単元株数以下でも株を購入できるサービスのことを指します。例えば100株が最低単元株数の銘柄であれば1株や10株からでも購入することができるため、大手優良企業の銘柄でも買える可能性があります。
ただこのミニ株は証券会社を介しての購入となるため、同じくミニ株を購入希望している全員の株数が最低単元株数に到達しないと、その銘柄が購入できないことになっています。自分が購入希望したその日に買えないことは少なからずデメリットと言えるでしょう。
また少額投資のミニ株でも各証券会社によって売買手数料がそれぞれ異なるので、どの程度の金額を投資資金として動かすかによって証券会社を選別しておくと、かかる手数料を節約しやすくなります。
2ー2IPO
上場予定の銘柄が株式上場を果たす際に、IPOと呼ばれる「新規公開株」として新規株主を公募する場合があります。このIPOは抽選式のため確実に投資できるとは言えませんが、当選すれば以下のメリットを受けることができます。
・所定の金額で上場前の株を購入できる
・「初値売り」は高確率で大きな利益が出る
株式上場して間もない銘柄であれば今後の期待値が高いことから、一般的に新規で買い注文が殺到しやすくなります。当然の話ですが発行済み株数が増えればそれだけ株価は値上がりしていくため、株価が購入当初よりも値上がりした時点で売ることを「初値売り」と呼びます。この初値売りでは8割以上の高確率で利益が出ることが統計的に証明されており、知識や経験の浅い初心者でも簡単に利益を出せる投資方法として知られています。
2ー3 低位株
業績や事業内容が好調に推移している企業の株価は高い傾向がある一方で、株式上場している銘柄であっても1株あたりの株価が二桁代と格段に安いものももちろんあります。こうした最低単元株価が安く済む銘柄のことを「低位株」や「ボロ株」と呼びますが、投資額の限られた個人投資家でも比較的手軽に購入できることが特徴的です。
ただし低位株の大半は業績不振だったり何らかの問題を抱えた企業が多いため、低位株を購入するのであれば、特に企業そのものの情報を精査する必要があります。
3章:初心者が株式投資で負けないためには
初心者でも手を出しやすい少額投資を簡単に三種類紹介したところで、最後に初心者が株式投資で負けないための具体的な対策について解説していきます。初心者ほど株式投資で勝つことにこだわりがちですが、実際に投資資金を堅実にやりくりしている投資家たちは負けないことに重きを置いています。それでは株式投資で負けないためには、具体的にどのような対策をとるべきなのでしょうか。
3ー1 株式投資セミナーに参加する
株式投資セミナーを開催する企業も増えているので、知識を学びたいのであればそういった集まりに参加するのも一つの方法です。ただし新しい知識を学んだからといってすぐに利益を出せる訳ではないので、そこで得た知識を実践で活用できる形に脳内で整理する必要はあるかもしれません。
3ー2 株情報サイトを利用する
株式投資のプロを頼るという方向性でもう一つおすすめなのが、株情報サイトを利用することです。株情報サイトの中には銘柄相談まで無料で受けてくれるサイトもあるので、興味があれば高評価のサイトから絞って利用してみるといいでしょう。
3ー3 損切りラインを固定化する
初心者が投資資金を一瞬でなくしてしまう理由の一つとして、投資ルールがぶれやすいというものがあります。特に損切りラインの基準がぶれてしまうと、含み損が出た際に対応が遅れてしまい大損をすることにもなりかねません。損切りラインの設定数値は投資期間によっても異なりますが、まずは株価の下落2%を目安に損切りラインを設定してみるのも一つの方法です。
3ー4 利益額ではなく損失額を重視する
この記事でも何度か取り上げているように、株初心者ほど勝つことにこだわりすぎる傾向があります。そうなると利益額ばかりを重視して株の売買に取り組んでしまいがちですが、仮に大きく勝てたところでそれとは別に大きく負けてしまえば意味はありません。初心者のうちは株式投資の感覚を身につけることを意識するためにも、まずは利益額ではなく損失額を重視するようにしましょう。
損失額をなるべく最小限に抑えようとすれば銘柄選びや損切りライン、さらには売買手数料の安さなどに自然と着目できるようになります。個人投資家は特に資金管理を厳密に行わなければ資金がすぐに不足してしまうので、少額投資を実践しつつまずはこの辺りの感覚を養うように心がけるといいでしょう。
まとめ
株初心者として株式投資を始めるにあたり、まず覚えておいてほしいのはどんな株式投資のプロであれ、最初のうちは大なり小なり必ず負けています。この負け方が大きければ大きいほど資金が枯渇してしまうので、勝ち方を覚えるためにまずは上手な負け方を覚えるようにしましょう。
少額投資であれば場数を踏めるだけでなく、負けた時の損失も少額で済むというのがメリットになります。少額投資でコツコツと経験値を積んでから大金を動かす投資方法に挑んだ方が、利益率の高い取引をする上でもよほど効率が良いです。勝つ投資ではなく負けない投資方法を身につけるまで、後は地道に練習あるのみです。
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