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はじめに
一昔前であれば値段が高価でなおかつ完成までに時間がかかっていたイメージのある眼鏡ですが、近年では各メーカーの熾烈な価格破壊によりレンズとフレーム込みでも安価な眼鏡が、即日入手できる時代になりました。
特に眼鏡業界の中でも最大手の座に君臨しているJINSは、眼鏡に抱かれてきたこれまでの既成概念を覆すべくさまざまな挑戦に取り組んでいます。
今では当たり前となったPC用眼鏡の生みの親であるJINSも一時期こそ業績が伸び悩み株価も併せて低迷しましたが、現在では低迷期を乗り切って順調に業績を伸ばしつつあります。
そこで今回の記事では、眼鏡業界の最大手であるJINSの株式投資における銘柄としての魅力について解説します。
業績の低迷期を切り抜けるべく二度の創成期を渡り歩いてきたJINSですが、古参の眼鏡メーカーを追い抜いてなぜこれほどまでに急激な成長を遂げたのでしょうか。
この記事ではJINSの企業としての動向も含めて確認していきます。
1章:JINSの歴史
この章ではJINSの株価について言及する前に、まずはJINSがこれまで歩んできた歴史について解説していきます。
2017年3月にその社名を「株式会社ジェイアイエヌ」から「株式会社ジンズ」へと変更し、均一料金の眼鏡以外にも高付加価値商品へと尽力するとともに社内改革に取り組んでいます。
その挑戦し続ける社風の影響もあり業績もまたそれに伴う形で好調に推移し、JINSの株価は上昇トレンドに入ることになりました。
ここではJINSがこれほど大きな企業に成長するまでの軌跡について、簡単にですが見ていきましょう。
1ー1 眼鏡の価格破壊はJINSから始まった
今でこそ均一料金で安く入手もできるようになった眼鏡ですが、かつての眼鏡と言えば万単位でしか買えず、なおかつ商品そのものの引き渡しには数日を要することが当たり前でした。
しかし田中社長が友人との韓国旅行で日本にはない眼鏡製造業の在り方を見聞したことから、2001年にJINS第一号店が福岡県に誕生しました。
韓国での眼鏡製造業の在り方をモデルとしたJINSは、1本5000円程度の安価な眼鏡を即日仕上げで手渡すという新たなスタイルを日本で展開しました。
そのお手頃感が人気を博してJINSの低価格帯眼鏡は一気に全国展開されていきました。
新規参入したJINSが生み出した均一料金での眼鏡販売という事業モデルに後発ながらも三城HDや愛眼などの同業他社が参戦しましたが、競争が激化する中でJINSは新たな眼鏡のスタイルを提案します。
それが累計販売本数1,400万本を記録した「Airframe」シリーズでした。
この商品はフレームの重さが従来の眼鏡のおよそ3分の1である10グラムしかありません。
眼鏡をかけた際の重みを極限までなくした同商品もまた、JINSブランドがそれまで手がけた眼鏡同様に眼鏡そのものの既成概念を覆す発想により生まれました。
1ー2 大ヒット商品の誕生の直後に訪れた低迷期とは
上記のAirframeシリーズ以外でJINSブランドの知名度に貢献した商品として最も有名なものが、視力の良い人でも使える眼鏡として登場した「JINS PC」です。
JINS PCはパソコンやスマートフォンの画面から発せられるブルーライトに着目した商品であり、そのブルーライトによる目への負担を軽減するべく開発されました。
この商品によりJINSは普段眼鏡を使わない顧客層を取り込むことに成功し、その業績を飛躍的に伸ばしました。
しかしそれも長くは続かず、2013年9月期に売上高が前年比を下回るようになり、ついに2014年度8月期の営業利益では前期の半分にも及ばない数値を計上しました。
その際におよそ4億7,300万円もの商品が在庫整理損として処理されたことも併せて計上されていました。
業績が急落したことを受けてJINSは以下の二つの方面から社内改革を押し進めました。
・商品ラインナップの改革
従来のJINSであれば主力商品をメインに店舗の陳列棚を構成していたため、どのタイミングで店舗に行っても同様のラインナップばかりであったことを同社は反省したと言います。
改革以降は似たような商品ばかりが売れ残ることを未然に防ぐために、JINSは定番商品を増やしつつも全商品のうちの4割程度は、スポット商品として季節に応じて入れ替えるようになりました。
また5,000円前後の商品がメインの構成比を変更し、7,900〜9,900円の高価格帯の商品の割合を増やしてなおかつセール商品の割合を減らしました。
その結果として商品単価が上がるとともに客単価も上がることになり、2014年度9月〜2015年度2月期の営業利益は上方修正される運びとなりました。
・人材育成の改革
これまでであれば店舗に配属されている正社員よりもパートタイマーの割合が多い傾向にありましたが、改革以降はこれまで準社員として働いていた従業員を全員正社員に昇格させています。
また準社員やパートタイマーの採用枠を増やすことで、週末のような混雑時にもチャンスロスすることなく対応できるようにと人材育成にも同時に尽力しました。
そうした改革によって業績を堅調に推移させたJINSは、眼鏡業界にこだわらない新たな挑戦に取り組みます。
それが2015年11月に発売された「JINS MEME」という、世界初のアイウェアです。
このJINS MEMEは三点式眼電位センサーを搭載しており、主力ラインナップとしてESタイプとMTタイプの2種類が用意されています。
これらと連動するスマホアプリを利用することで、利用者は自分の体の状態を科学的に知ることができる次世代型のアイウェア商品を開発するに至りました。
社名を変更する手続きを進めてまでアイウェア事業を集中的に展開し始めたJINSですが、その魅力は商品である眼鏡の価値だけに留まりません。
株の銘柄としてもかなりの価値があるのですが、具体的な内容については次章にて詳しく解説します。
2章:JINSの銘柄としての魅力とは
この章ではJINSが持つ株の銘柄としての魅力について解説していきます。
眼鏡業界を牽引する企業としての実力があることは前述しましたが、その銘柄に投資するに値するかどうかはいくつかの観点から判断した方がより信頼性の高い情報になることはまず間違いありません。
株式市場におけるJINSの銘柄としての魅力とは、いったいどのようなものがあるのでしょうか。
2ー1 業績が黒字続きである
企業に倒産のリスクがあればもちろん投資すること自体を避けるべきですが、四季報オンラインの情報を見た限りでもJINSの過去3年間の業績はいずれも黒字続きとなっています。
売上高、営業利益、純利益の3種類の数値が全て黒字で推移しており、現状ではJINSに企業としての伸びしろが未だ多く残っていることに期待感が持てます。
2ー2 挑戦的な社風である
企業としての社風にも保守的なものと挑戦的なものとがありますが、JINSはとにかく挑戦的な社風であることがこれまでの事業内容からも見て取れます。
ただしいくら挑戦的な社風だからといって、採算の合わない挑戦ばかり続けていては企業そのものの利益が出せないどころか、いつかはその資金源さえ枯渇してしまいます。
その点でJINSは業績が低迷した際にも冷静な判断を下して、第二の創成期とも言うべき抜本的な社内改革を見事に成し遂げました。
それに伴い業績が好調に推移し始めたJINSであればこそ、企業としての信頼性が十分にあることは社長が交代しない限りある程度信頼に足る情報だと言うことができます。
2ー3 株価が高い
JINSの現在の株価は1株あたり6,000円にも近づく勢いで上昇しており、また時価総額も眼鏡業界の中では2位に大きく差をつけて高い状態をキープしていることが特徴的です。
市場価値を表す株価が高いということはすなわち、投資額の少ない投資家こそ新規で株を購入しにくい状況ではあるものの、JINSの銘柄を保有している人であれば上昇トレンドを抜けない限りは持続的に株価が上がり続ける可能性が魅力とも言えそうです。
2ー4 社員の平均年齢が若い
JINSは社員の平均年齢が28.8歳と若いため、人材的な観点からも同社の成長性が伺えます。
社員の平均年齢が若ければ若いほど企業としての長期的な成長モデルを描きやすいため、平均年齢の高い企業よりも社内の人材に関して見れば将来性があることは言うまでもありません。
このようにJINSは企業そのものの実力だけでなく株の銘柄としての価値もある訳ですが、今後とも企業としての成長を続ける前提に立てばどのような事業展開が予想されるのでしょうか。
その詳細は次章にて解説します。
3章:JINSの今後の展開予想
この章ではJINSの今後の事業展開について予想していきます。
株の銘柄としても魅力的な要素を持つJINSですが、これ以降も業績を伸ばし続けるにはさらなる事業展開を試みる必要があります。
現時点で予想可能な事業内容としては以下のようなものがあります。
3ー1 次世代アイウェアの付加価値の追求
2015年にはJINS MEMEを発売した同社ですが、開発者向けに専用の開発キットおよびAPIを公開しています。
JINS MEMEの付加価値はさまざまな種類のスマホアプリと連携できる点にあるため、そのアプリ次第では現時点でアイウェアとして高価な部類に感じられるJINS MEMEも、ゆくゆくは普及が見込まれるかもしれません。
3ー2 新たな顧客層の獲得
均一料金でその知名度を上げたJINSは、主に20〜30代が主なターゲットでした。
しかし若齢の女性をターゲットにしたアニメコラボの眼鏡や、子供向けのオシャレな眼鏡を新たに開発したことで顧客層を順調に拡大しつつあります。
今後とも潜在的なニーズを拾い上げることで、新たな顧客層を獲得しやすくなるでしょう。
まとめ
JINSは均一料金での眼鏡製造業から知名度を高くしましたが、時代の状況に即する形で高付加価値商品の製造および販売を重点的には行うようになりつつあります。
この独創的な発想力と柔軟な対応力のおかげで、JINSは眼鏡業界の最大手にまで上り詰めました。
田中社長の指揮の下に企業として未だに成長し続けるJINSの銘柄としての魅力は、現在も上昇トレンドに入ったままの株価が証明しています。
株価が高いために新規購入しにくい状況ではありますが、資金に余裕があればその可能性に投資してみるのもいいかもしれません。
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