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はじめに
見切り千両、損切り万両とは?
将来性のない株を見切るのは千両の価値があり、含み損がある株を損切りするのは千両の10倍の1万両の価値があるという売買に関する株の格言です。
つまり、大きな損失を出してしまう前に、ある程度の損失を覚悟して損切りする事の大切さを説いた言葉ですね。
ところで1両の価値はおよそ現代の価値でおよそ10万円になるそうですので、千両は1億円、万両になりますと10億円になる計算です。円単位にすると、言葉の重みがよくわかるところでしょう。
以下の項目では“損切り”の重要性をかんたんに解説していきます。
株における見切りとは
先述したとおり、損切とは「自身の持っている株が値下がりをはじめ、更に値が下がる前にある程度の損失を覚悟して株を手放すことを指します。
ではなぜこの損切が万両の価値を持っているという格言が生まれたのでしょう?
本章ではそういった損切についての概要を解説していこうと思います。
株は買うことよりも売ることの方が難しい
よく、株は売るタイミングが難しいと言われています。
株を買う時は、多くの場合そこに期待をかけて買うわけで、お財布の紐もゆるくなりがちで、思い切りよく飛び込んで行けます。
が、当然のことですが、どんな好調に伸び続けている優良銘柄でも、永遠に上がり続ける株はありませんから、下がる株を抱えて損を覚悟で見切りをつける必要に迫られるときは訪れます。しかし、これがほんとうに難しいのです。なぜならばついこの間までは上昇していた株なのですから。きっとまた上昇するはず、と多くの人は思ってしまいがちです。
このとき売るタイミングを逃すと、下がりに下がった株を安値で手放し……「ああ、あの時に売っておけば……」と、残るのは後悔ばかりです。
株を売るタイミングとは
とはいえ、どのタイミングで見切りをつけるべきなのか。これは大変難しい問題ですね。初心者が株を始めるうえで行ったほうが良いと言われているものに“一定の水準”を持って株を手放すラインを決めることです。投資をしたときに、ここまでと水準を決めておいて、そこに達したときには、勇気をもって見切りをつけましょう。
具体的に、買値よりも1割ほど低下した時点を目安にするのが良いでしょう。
ここで重要なのは決めた水準を守る事です。必ず値上がりし、利益を得られる確信があれば別ですが、そうでないのならば値下がりする株を持ち続けることはリスクの高い選択です。また、今後の取引を考えても、同じことを続けていけば、ずるずると見切りを先延ばしし、結果、大きな損失に繋がる可能性が高まる事でしょう。
上がるかもしれないという考えは失敗の元
買った株が値下がりした……。この時の初心者投資家さんの気持ちは筆舌にしがたいものがあります。よくわかります。これはあくまで関係の無い話ですが、この間ある眼鏡屋の株が最大7000円まで上昇していたところ、ある日飛ぶ矢の様な勢いで4000円代まで落ち込みました。私の気持ちも落ち込みました。それはさておき、値下がりしたその株は手放すほどの含み損なのか、いつか上昇するのではないか? 手持ちの株が利益につながる可能性を探し、期待し葛藤することでしょう。
しかし、こんな時こそ“見切り千両、損切り万両”の格言が生きてきます。
上昇を待つにせよ、一度見切り、再出発を行えば、ただ待ち続ける日々よりもあなたはずっと晴れやかな気持ちでいられます。
見切る事は損ではありますが、それで大きな損に繋がる可能性を避けられるのであれば、それは千両、万両の価値があると言えるのです。
株における損切りとは
実際に損失を小さなところでとどめる重要性をご説明させていただきましたが、これだとまだ千両万両の価値があるのか怪しいと思われる方もいらっしゃるかと思います。
そこで本章では実際に損切がいかに大切かということをご説明させて頂こうと思いますので、是非一読ください。
損切りとは
損切とは、損失を最小限にするために、損失の少ない時点で株を売却すると言う意味です。
株式売買における非常に重要な行動であり、損切を行うメリットは大きく2点あります。
まず一つに、損失を拡大させないこと。
見切らずにおいた株の値下がりが停止し、将来的な値上がりが期待できる状態となったとします。しっかりと調べて、期待をもって買った株ですから、このまま手放すのは惜しい……。共感できる心の動きですが、そう思って株を塩漬けしたところ、1年後、企業が倒産してしまった、なんてことは全く珍しい話ではありません。
二つに、他の株に資金を回すことが出来ること。
同じ株を持ち続けることで、あなたがよっぽどのお金持ちでなければ動かせる資金は少なくなります。すると、他に有望な株があっても、みすみすそれを見逃すことになりえません。損切りを行わないことで、こうして投資の機会を失ってしまう可能性は常について回ります。これも大変に大きなデメリットと言えます。
ナンピン買いとは
売るだけでなく、買う事で損失を避ける方法もあります。
株価が変動し含み損を抱えた時、それを平均化する手法のことを難平(ナンピン)買いとよびます。
と、概要だけ書いてもわかりづらく、なにそれ? とお思いのことでしょう。
具体的に例にすると…
500円で1,000株買った株が300円に値下がりしたとすると200,000円の含み損が発生します。このまま損失を回避するには200円の値上がりを待たなければいけません。
しかし、このとき更に300円で1,000株買い足すと、買値の平均は400円となり、含み損は100,000円。100円値上がりすれば元値に戻ったことになり、損失を回避する事ができます。
このように上手くいけばナンピン投資は非常に有効な投資法になります。ですが、これは値上がりするという仮定のもとのメリット。実のところ、ナンピン投資は続ければ続けるだけ確実にリスクは増大していきます。上の例で考えると……
500円1,000株の時は200円株価が値下がりしても200,000円の含み損であったところが、2,000株に買い足したことで、もし200円まで下がった場合、400,000円まで含み損が増える計算になります。こうなると人間の心理としては大きな損を避ける為、さらにナンピン投資で株を買い足したくなるところです。しかしそれで株価が戻らなければ……。
この先は言うまでもないですね。
ナンピン投資はリスクが大きく、初心者は避けるべきでしょう。
損切りが絶対正しいとは言えない
損切りが絶対正しいとは言えません。そのデメリットとは?
これは単純で、売却した株が値上がりした場合です。
このときの初心者投資家さんの悔しさと言えば、これもまた筆舌にしがたいものです。
けれど、それはあくまでもただの“悔しさ”であり、気持ちの動きの上の事であって、本当の意味で損をしたわけではありません。
思い出しましょう、あなたが株式投資を始めた時の目的を。お小遣い稼ぎ、夢のマイホーム、貯金の一環、ハワイでバカンス。人によってちょっとした違いはあっても大きな“お金を稼ぐこと”という目的に変わりはありませんね。
損失は悲しいことですが、それに引きずられるべきではありません。他の売買で利益をだし、そして損失を越える事ができれば、それは全体を見た時に成功なのですから。
損切りは勇気がいりますし、絶対正しいとは言えませんが、デメリットの少ない行動と言えるでしょう。
まとめ
以上のように、見切ること、損切りすることは本当に大切です。ご理解の助けになれたでしょうか?
基本的なことこそ分かっていても実行しにくく、得てしてそういったことこそ重要な事柄なのですね。
見切り千両、損切り万両。
株式売買を行う上で、常に心にとどめておきたい言葉です。
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