■■■ 目次 ■■■
はじめに
株をはじめて取り引きする人は、まずは低価格からの購入を試したいという方も多いと思います。
SBI証券には、1株から購入できる、単元未満株取引のS株というサービスがあります。ここでは、どのようにしてパソコン画面を操作してS株を購入すればいいのかについて解説するため、まずは、S株とはなんなのかを解説していきたいと思います。
S株とは
通S株とは、取引単元に満たない株(単元未満株)のことです。そのため、通常よりも少ない資金で株式の売買をすることができます。
単元未満株とは
国内で取引される株式には、銘柄ごとに「最低単元株数」が決まっています。任天堂(7974)であれば単元株は100株と決められているので、株を売買する時には100株単位でのみ取引することができます。この場合、100株以下の株数が「単元未満株」となります。
株式分割や会社の合併、単元の変更、子会社化などの理由で発生する端株が単元未満株となります。最近では、証券会社が単元株を購入して希望者にバラ売りするという方法も多くなっています。
株式市場での取引株数は最低単元の倍数となるので、単元株が100株の場合は、100株、200株、300株…、といった取引単位となっていきます。116株や298株といった端数の株数の取引はできません。ところがS株では、定められた単元株に関係なく1株から売買することが可能です。
単元未満株は、買い増しをして単元株にすることもできます。60株を保有していた場合、40株だけを買い増しして、単元株の100株にすることが可能です。以前は銘柄によって単元株が100株だったり1000株だったりとバラバラでしたが、最近では東証が100株を単元株としていくとする方針を打ち出しており、いずれはほとんどの銘柄で最低単元が100株になっていくと思われます。
なお、単元未満の株主にも一部の株主権が認められますが、単元未満株のみを保有している株主に議決権はありませんので、その点は気を付けてください。
S株の活用方法
S株には、その特徴を生かした利用価値の高い様々な活用法がありますので、それらをご紹介したいと思います。
1株から受けられる株主優待
基本的には単元株株主だけしか受け取れない株主優待ですが、1株から優待をもらうことができる企業が少なからず存在します。
ここではその一例をご紹介いたします。
・日本ケミファ(4539) 商品の特別割引販売
・三菱マテリアル(5711) 自社商品割引販売
・テルモ(4543) 自社製品の優待販売
・ニッケ(3201) 株主優待割引券
・サカイ引越センター(9039) 引っ越し代金割引
・ファミリー(8298) 車両の割引販売
・京セラ(6971) グループ製品、サービスの割引券
・東光高岳(6617) 自社製品優待割引
・リコー(7752) 製品の特別価格販売
・松風(7979) ネイル製品などを優待価格で販売
優待を受けられる企業数は少なく、内容も各企業によって異なりますが、各社の製品を割引で買える優待が多いようです。利回りを考えると価値の高い投資方法と言えるのではないでしょうか。
株主優待を調べる時には、各銘柄の優待保有株数を見るようにしてください。リコーでは卓上カレンダーの優待がありますが、これは「保有株数が100株以上」となっています。優待の保有株数が「全株主」となっていれば、1株からでも優待を受けることができます。
◇小額から始められる
例えば、任天堂(7974)の株価が40000円の時に株を購入したいと思った場合、最低単元が100株なので資金は100倍の400万円が必要となります。ですが、S株は1株から売買することが可能なので、40000円×1=40000円さえあれば、任天堂の株を購入することができます。
トヨタ自動車(7203)の株価は7000円なので最低でも70万円の資金が必要になりますが、S株なら1株7000円で購入することが可能です。このように、大手優良銘柄でも1万円以下で株主になれるというのが、S株最大の魅力です。
株式投資というとお金持ちがやるものといったイメージもありますが、資金が溜まるまで待っている必要はありません。少額なら少額なりの投資方法というものも存在します。いきなり多額の資金を投入して失敗するというリスクを避けることもできます。
少額投資で成功すると、「こんなチャンスはめったになかった。もっと資金をつぎ込んでいれば」という後悔することも多々あるでしょう。しかし、滅多にないチャンスしか狙っていないようでは株式市場では生き残ることはできません。
株価は日々変動しています。その日常の中で値動きの癖や銘柄ごとの特徴を掴むことが、市場に長く留まるための第一歩なのです。小額で市場の空気を感じることができるS株は、株式投資の練習としても最適なのではないでしょうか。
リスクマネジメントが楽
100株などの単元株を購入しようとしても、資金的に保有する銘柄が限られてしまうとリスクの分散ができなくなってしまいます。1つの銘柄の購入で資金がなくなってしまえば、その銘柄に何かの悪材料が出て暴落した場合に、全ての資金を失ってしまう危険性もあります。
S株を利用すれば、資金が少なくてもその一部だけを投資したり、様々なジャンルの株式に分散投資をしたりすることができます。少ない資金で機動的に投資をすることができれば、たった一度の暴落で即退場という悲劇も避けられます。
数多くの銘柄の中から、ピンポイントで値上がりを期待できる銘柄を選出するというのは、初心者にとっては至難の業です。株式投資に慣れていないからこそ、複数の銘柄に資金を分散させることは重要になってきます。分散投資は、リスクマネジメントの基本です。S株を使えば、多様な銘柄を少しずつ購入して、リスク管理の姿勢と技術を少額で身につけることができます。
S株のメリット・デメリット
S株は気軽に株式投資ができるという反面、デメリットも存在します。その特徴をしっかりと理解していきましょう。
S株のメリット
見ているだけの値動きと、実際に保有している株の値動きとでは、感じ方が全く違います。株式投資の初心者は、利益を上げることよりも値動きを実感して、銘柄ごとの特性を知ることが重要です。最低単元で複数の銘柄を購入するには、多額の資金を用意しなければいけません。
S株を使えば、多彩な業種の銘柄を少しずつ買い付けることができるので、少ない資金で投資経験を積むことができます。ある程度値動きや損益の増減を体験したら、普通に単元株を購入するというのもありです。
株式投資は、実際に自分でやってみないとわからないことがたくさんあります。発注の仕方、板の読み方、値動きなど、基本的なことも含めて、実戦で覚える方が分かりやすく体得するのも早いです。株式投資の初心者が株取引の基本を理解するためにも、S株は役立つ投資方法と言えるでしょう。
「是か非でも買いたい銘柄があるけど、資金が足りなくて購入することができない」、あるいは、「いずれ大きな資金で株式投資をする時のための練習」として利用するのも有効です。
なお、単元未満株と似た商品に「ミニ株」というものがあります。これは最低単元の1/10から購入することになっているので、S株はミニ株よりも少額で株式取引を始めることができるのです。しかも、ミニ株は株式の名義人が証券会社になってしまうので、株主優待を受けることができません。
単元未満株は株式の名義が本人になって株主権があるので、優待を受けたり配当金を受け取ったりすることができます。また、保有株数に応じて株式分割の割り当てもあります。
このように、株式投資の初心者が中長期で保有する前提で購入するのがおすすめです。保有しながら少しずつ買い足せばリスクの分散にもつながります。単元株の株主になれば、受けられる株主優待の幅も一気に広がります。
ミニ株の場合は取引タイミングが注文時間にかかわらず翌営業日の前場始値だけですが、S株は約定機会が1日に2度あるので、ミニ株に比べればチャンスが多くなります。2度の取引機会があるので、デイトレードも可能です。
S株のデメリット
まず、「取引時間が制限されている」という独特の売買縛りがあります。S株は、取引時間内のどのタイミングでも売買できるというわけではないのです。通常の成り行き注文であれば注文した瞬間に約定しますが、S株は約定株価と時間が予め決められています。
・午前0時から午前11時半の注文は、同じ日の後場始値で約定。
・午後3時半から午後9時半の注文は、翌営業日の前場始値で約定
・午後9時半から午後11時59分までの注文は、翌営業日の後場始値で約定
このように、思った時にすぐ売買できないのがS株最大のデメリットと言えるでしょう。価格変動が激しい銘柄の場合は、予想外な価格で約定するという結果になることもあります。約定価格は全て前後場の始値なので、指値をすることもできません。事実上、前後場寄りの成り行きということになります。売買する価格を自分で考える必要がないのは気楽ですが、売買タイミングを判断する能力がなかなか身につかないというのもデメリットです。
S株は通常の取引に比べると、手数料が割高になります。トヨタ自動車を7000円で2株買うと約定代金は14000円になるので、手数料は75円になります。7100円になったところで全株売却すると利益は200円です。しかし、売却時にも手数料が75円かかるので、売買往復の手数料を差し引いた利益は50円となります。
トヨタの値動きを見ればわかりますが、100円値が動くというのは数週間単位での時間を要することが多いです。トヨタに限らず、数百円の利益を出すのにかなりの時間を要することとなります。下手をすれば、株価は上がったのに手数料負けするといった結果にもなりかねません。少額投資であることを考慮すれば仕方のないことですが、これもS株のデメリットと言えるでしょう。
S株は、通常の単元株の取引よりも、取り扱える銘柄が限定されます。売買される銘柄が限定されます。単元株の単位が「1株」のものはそれ以上に小さく出来ないわけですから、購入することができません。
さらに、S株は信用取引ができません。現物株のみとなりますので、レバレッジを効かせることもできません。S株の仕組みから考えても、大きく利益を出すのは難しいと思った方が良いでしょう。手数料や売買タイミングに自由度が低いので、短期投資の対象としてはあまり向いていません。あくまでも「練習」と割り切って取引するのが、賢い使い方かもしれません。
実際に売買してみる
S株の購入手順の流れ
ここまではS株についての解説をさせて頂きましたが、次の項から実際の購入方法について解説させていただきます。
銘柄を検索窓に入れて検索します
まずは、自分が購入したい銘柄の会社の名前か銘柄コードを下記の赤枠に入力してください。
「現物買」のボタンをクリック
板情報や、チャート情報が出てくる画面の右上のほうに、「現物買」のボタンがあるのでそちらをクリックしましょう。
信用買や信用売は信用取引専用の口座が必要になります。
単元未満株ボタンをクリック
次の画面に進むと単元未満株ボタンが出てきますので、そちらをクリックしましょう。
このボタンをクリックしたページで単元未満株である、S株の購入をすることができます。
購入する株数を入力しましょう
赤枠の部分を見てみましょう。
一番左側の株数を入力する場所に購入したい株数を入力しましょう。
その右側にある「価格」というところですが、S株は「成行」購入しかできません。
株の売買は、指値注文と、成行注文の2種類があります。
指値注文というのは、自分が指定した価格にならないと売買が成立しない取引です。
その値段で取引が成り立つと自動で売買が成立します。
成行注文というのは、取引時間中に成行注文を出すとそのとき出ている最も安い金額で取引が成立します。
S株の場合は、この成行注文しかできませんのでご注意ください。
S株の取引きルールを確認
上の画像の赤枠の下に「単元未満株S株の取引ルール(基準となる市場および取引時間等)という部分をクリックすると、下記の画像のページに飛びます。
こちらは重要なことが書かれているので確認しておきましょう。
赤枠で囲まれている部分を見ていきます。
0:00~10:30の間にS株で売買した株はその日の後場の始値での買付・売却になるということを覚えておきましょう。
そして、10:30~15:30からは受付が中止になります。
そして、15:30~21:30までの売買が、翌営業日の前場の始値での買付・売却になります。
そして、21:30~24:00での売買が、翌営業日の後場の始値での買付・売却になります。
こういう意味になっています。
このように、S株の場合一般の取り引きとは少し異なる要素があるということを覚えておきましょう。
預かり区分を確認しましょう
ここには2種類しか出ていませんが、銘柄によっては3種類出ることもあります。
預かり区分には、「特定預かり」と「一般預かり」と「NISA預かり」の3種類があります。
そちらについて説明します。
特定預かりとは
「特定預り」で買付(保有)している株式を売却された場合、証券会社が損益計算します。
確定申告などの余計な手続きの手間が省かれます。
一般預かり
「一般預り」の場合は、損益計算しませんので、自分で確定申告をする必要があります。
NISA預かり
「NISA預り」で買付(保有)している株式を売却された場合、譲渡益となった場合でも課税されず非課税となります。
(NISA口座は別途口座開設を申し込む必要があります)
最後に注文します
赤枠の部分で「ルールに同意」にチェックを入れて「取引パスワード」を入力して、確認画面を表示したい場合は「注文確認画面へ」をクリックします。
「注文確認画面を省略」の場合は、チェックボックスにチェックを入れて、「注文発注」をクリックしましょう。
「取引パスワード」はどちらにしても入力する必要があります。
この手順でS株を購入することができます。
簡単にできますので、ぜひ、ご参考にしてください。
この記事へのコメントはありません。