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はじめに
今日ではさまざまなジャンルのスマホゲームが数多くリリースされていますが、スマホゲームが日本に浸透するのに一役買ったのがガンホーが手がける「パズドラ」です。
2012年にリリースされたパズドラは国内累計ダウンロード数4,700万超えを果たし、その絶大な人気によってガンホーは飛躍的に業績を伸ばしました。
しかしリリースから6年が経った今ではパズドラで遊ぶユーザーが半減しているという厳しい現実に直面しています。
そこで今回の記事では、全盛期の約2分の1まで株価を下げたガンホーの株価の推移を予想します。
PCのオンラインゲーム開発に携わっていたガンホーが東証1部に上場するまで急成長を遂げさせたパズドラの今後、ならびにガンホーの企業としての進退についても併せて解説します。
減収減益が続くガンホーは今後どのように成長するのか、投資することを検討する意味でも詳しく見ていきましょう。
1章:ガンホーの概要
この章ではまずガンホーの概要について解説していきます。
ガンホーと言えばパズドラのイメージがありますが、それ以外のスマホゲームや家庭用ゲームの開発に今なお携わっています。
現在ではミクシィが手がける「モンスターストライク(通称モンスト)」の影に隠れてしまった印象の強いガンホーですが、業績を伸ばすために実際にどのような取り組みをしているのでしょうか。
以下で簡単にですが確認しておきます。
1ー1 パズドラが主な収入源に
そもそもパズドラとはモンスターの育成とパズルとを掛け合わせた新機軸のスマホゲームとして、2012年2月にリリースされました。
家庭用ゲームが一般的だった時代に現れた斬新なスマホゲームの形態に、年齢を問わず数多くのスマホユーザーから人気を博しました。
それまではPCのオンライン向けゲームを開発していたガンホーは急成長を遂げ、パズドラの多大な恩恵もあり東証1部に上場しています。
ただその躍進も長くは続かず、年数が経ちパズドラユーザーが上達するにつれて課金率が低くなりました。
その結果として2015年度の業績から3年連続で減収減益が継続しています。
1ー2 細かなテコ入れがストッパーにならず
オンライン機能のある家庭用ゲームでも同様のことが言えますが、ネットワーク通信に接続するゲームでは追加コンテンツが重要な売上の源となっています。
パズドラではモンスター獲得に必要なガチャを回すアイテムに課金されるため、初心者が多いリリース直前の時期にはユーザーの課金率が高かったことは容易に想像できます。
ただゲームの人気は流行のように一過性で終わるものもあり、パズドラのユーザーもまた例に漏れず代わり映えしないゲームシステムに飽きてしまったのです。
ただゲーム性に飽きて離れるユーザーを引き止めるために、ガンホーもパズドラを題材にしたアニメを製作したり
「パズドラレーザー」で対戦モードを実装したりと細かなテコ入れをしています。
しかしそれでもユーザーは徐々に減り続け、2018年現在では稼働しているユーザーが全盛期の約半分にまで落ち込んでいることをガンホーは明かしています。
1ー3 ヒット作が生まれず鳴かず飛ばずの状況に
パズドラという大ヒット作品を生み出したことで急成長を遂げたガンホーですが、パズドラ以降はこれといってめぼしいタイトルはありません。
スマホゲームだけでなく家庭用ゲーム機でもゲームを製作しているものの、人気が出るかどうかは実際にリリースしてみないことには分かりません。
スマホゲームと家庭用ゲーム機ともにオンライン通信を利用した協力および対戦プレイ機能が人気の傾向にあるため、ガンホーもこれに沿ったタイトルを製作しますがどれも成果には結びつきません。
その鳴かず飛ばずの状況を反映するように、ガンホーの株価は1株あたり300円前後にまで下げています。
株価が全盛期の半分以下にまで下がっているあたり、市場の評価が厳しいことが予想されます。
2章:ガンホーのこれまでの株価
パズドラの成功により上場企業の仲間入りを果たしたガンホーですが、業績の変化に伴いこれまでの株価はどのように推移してきたのでしょうか。
この章ではガンホーのこれまでの株価について簡単に確認しておきましょう。
2ー1 パズドラの盛衰に株価も連動した
ガンホーの代表作で最大のヒット作でもあるパズドラの盛衰は、ガンホー自身の株価の値動きにも顕著に反映されています。
リリース直前の2013年10月にはその人気を現すように、1株あたり800円を上抜ける辺りまで株価が上昇していました。
そこからは下降トレンドに入り2014年6月には株価が持ち上がりますが、結局は上がりきるだけの力がなく以降はさらに値下がりしました。
値下がりは止まらず2016年12月には250円を下回るところまで株価が下げてしまいます。
その金額で長らく横ばいだった株価は2017年5月を機にゆるやかに上昇し、2018年3月には350円前後で値動きしますが、その翌月には下降トレンドに反転しています。
2ー2 スマホゲームの円熟化がマイナス要素に
近年ではスマホゲームの市場規模が1兆円にまで膨らんだとされる一方で、スマホゲームの進化もいよいよ頭打ちとなりつつあります。
グラフィックの美麗化、重厚なストーリーの作成、やり込み要素を含めたゲーム性の追求など、各社がさまざまな要素を付与したものの、
PS VRやSwitchといった家庭用ゲーム機の次世代ゲーム機の登場により一部のスマホゲームのユーザーが再び家庭用ゲーム機へと引き戻されることになりました。
スマホゲームの技術革新が頭打ちになったことで残存するスマホゲームのユーザーを各社で奪い合う様相を呈しており、ガンホーはこのユーザーの奪い合いに敗れた形にも近い状態になっています。
ゲーム会社でも製作から運営まで一貫して手がけるところと、他の会社と提携してゲーム製作を手がけるところとに二分されます。
最近ではガンホーも他のゲーム会社と共同製作に臨むこともありますが、いかんせんその目論見が外れてしまっているために株価も値上がりしないことが考えられます。
3章:ガンホーのこれからの株価予想
ガンホーのこれまでの株価が下降トレンドによるものであることを確認したところで、この章では今後の株価の推移を予想していきます。
株価の値動きに寄与するのであろう情報を元に、ガンホーの株価がどう動くかを考察してみました。
3ー1 パズドラをIPとして有効活用できるか
スマホゲームおよび家庭用ゲームともに言えることですが、各ゲーム会社が所有するIP(知的財産)には少なからずファンが存在するものです。
特にスクウェア・エニックスHDの「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」、任天堂の「マリオ」や「ゼルダ」、カプコンの「バイオハザード」のような有名なIPともなれば
それを活用したゲームを発売すれば人気度によって販売本数が伸びる傾向にあります。
ガンホーで言えばパズドラが主なIPと言えますが、その存在感は徐々に失われつつあります。
その打開策としてガンホーはパズドラの漫画を連載したりパズドラの全国大会、果てにはeスポーツのプロライセンス制度の利用まで企画しています。
このeスポーツとはゲーム内での対戦をスポーツ競技の一環として認める動きのことを指しますが、スポーツ競技としてパズドラの認知度を高めるためにはまずゲーム性の向上を余儀なくされるでしょう。
これらの戦略が功を奏してIPとしての知名度が高まれば、パズドラの人気を回復することができる可能性はあります。
3ー2 各社との提携でヒット作を狙えるか
スマホゲームと家庭用ゲームとではお互いにユーザーを奪い合う状況が続いていますが、最近では各ゲーム会社が提携して新タイトルをリリースするということも増えてきています。
例えばこれまでスマホゲームに消極的だった任天堂がサイゲームスと提携して「ドラガリアロスト」を今夏にはリリース予定です。
また過去のタイトルでは、Nintendo 3DSでバンダイナムコHDとカプコンとセガが各社のIPを結集して「PROJECT X ZONE-2」を2016年にリリースしました。
各社のIPが限られるからこそ新規タイトルや既存IPを利用したものを、自社だけでなく他社とも協同して開発するという流れが実際にあります。
ガンホーもこれまでにグラスホッパーと提携して「LET IT DIE」をリリースしていますが、意欲的な作風にもかかわらず人気はそれほど出ませんでした。
数多くリリースされたタイトルよりもさらに精巧な演出や技術が求められ、一本あたりの制作費が高額になった現代だからこそ会社の垣根を越えた提携がヒット作誕生を左右します。
3ー3 海外事業で業績を黒字化できるか
国内でリリースしたタイトルを海外版として新たに展開するのが一般的な流れではありますが、ガンホーは世界展開を前提としてタイトルを製作しています。
国内市場での成長が見込みにくい状況であるからこそグローバル展開に託すという流れは理解できますが、日本で愛されるゲーム性と海外で人気が出やすいゲーム性とではそれなりに差があります。
かつてミクシィがゲーム性の差分に適応できず中国版モンストをすぐさま廃止したように、国ごとによってもゲーム性がそれぞれ違います。
2018年度の決算説明会で森下社長は「世界を狙うことが不可欠」としており、その上で複数タイトルのリリース予定であることを明かしました。
業績はマイナスになる一方ではあるもののオンラインゲーム業界の第3位に位置しており、財務状況もそれほど陰りは見えません。
資金が多いうちに攻勢に転じたいというのが本音でしょうが、リリース予定のタイトル次第では株価のさらなる下落も視野に入れなければなりません。
まとめ
パズドラの人気で企業として成長したガンホーですが、それ以外のスマホゲームと比較してもパズドラの人気に胡座をかき細かなアップデートを怠った感は否めません。
スマホゲームの流行として通信プレイの人気が高まった時にもまず対戦プレイを実装し、最近になってようやく協力プレイ機能を実装しています。
通信機能を利用したゲームが人気を博する現状だからこそ、リリース後のタイトルであっても流行に沿ってゲーム性を変容させたり行き届いたアップデートを続ける余地があります。
新規タイトルの製作に尽力する一方で、既存タイトルのユーザーへのサービスの充実がガンホーの株価を底上げする原動力となりうるでしょう。
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