ここ最近、株式投資や、資産運用、資産形成、少額投資、NISAといった言葉をメディア等でもよく見聞きするようになったのではないでしょうか。政府が投資啓蒙(けいもう)を行っているのもあって、今まで株になんて興味がなかった人でも、目にする機会が増えたと思います。
とはいっても、株っていったい何なのか?
「1億円稼いだ!」という話もあれば、「全財産を失った」「退職金がなくなった」という極端な話もSNS上ではたくさん目にします。
そのため、株式投資は大勝か大損かといったギャンブル的なイメージだったり、損するイメージしかない!という方も多いのではないでしょうか。
しかし、本来の株式投資は、堅実な資産形成ができる手段です。
今回は株の基礎知識についてお伝えしていこうと思います。
株についての基礎知識
株式の仕組みについて
まずは、株の基本的な仕組みについてご説明していきます。
株は正式には「株式」と言い、簡単に言えば株式会社が資金を集めるために発行する証書を指します。証書と言っても、現在では、すべて電子化されているため、実際に「紙の証書」は存在しません。
何か事業を始めるために会社を興すとき、事業資金が必要になります。
例えば、あなたが「A株式会社」を作るとします。
あなたはA株式会社にポケットマネーから出資をし、その企業のオーナーになります。そして、A株式会社はあなたにA株式会社の株式を渡します。
つまり、あなたにとって株式は資金を出したことの証明になります。
A株式を得ることで、あなたはA株式会社の株主となります。また、お金を出して得た株式は、その企業の所有権になります。
つまり、A株式会社の株主は、A株式会社のオーナーになるわけです。
A株式会社への出資者があなただけの場合は、その企業は100%あなたのものです。
しかし、複数の出資者が合同で資金を出した場合、最も多くの株式を保有している人がその企業の所有権を持つことになります。
そして、A株式会社が上場したとします。
上場したことで、社会的知名度の向上、社会的信頼度の向上といったメリットをA株式会社にもたらします。
また、A株式会社は様々な人から資金を調達できるようになります。
上場後のA株式会社の株式は、だれでも自由に売買できるようになります。
そして、いくらで売っても構いません。
高く買ってくれる人がいると思えば、高く売りに出すことができます。反対に、安くしないと買い手が見つからないという場合もあります。
一般的に言えば、A株式会社の将来性が期待されれば高く売買され、将来性がないと思われれば、安くたたき売られることもあります。
一般的に株で儲けるというのは、上場後の株式を安く買ったり高く売ったりして儲けることを指すことが多いのですが、株式そのものの本質は、企業の所有権であり、株主は出資者であるということです。
株で利益を得るためには
株で利益を得る方法は大きく3つあり、インカムゲイン、キャピタルゲイン、株主優待に分けることができます。
インカムゲイン
インカムゲインとは、企業の株を持っていると受け取れる配当金のことを指します。
簡単に言えば利益の還元です。
先にお伝えしたように、株式会社は様々な人から資金を調達できます。そして、株を買った株主とはその企業への出資者となります。
企業側からすると、
「私たちのビジネスができるのも皆様のご資金があってこそです。今期はこれだけ儲かったので、出資者である株主の皆様に利益の一部を還元します!」
という感じです。
株主は、株を持っているだけで、お金を受け取ることができるようになります。
このように、保有しているだけで受け取ることができる利益を「インカムゲイン」と呼びます。
ただし、配当を出さずにビジネスに再投資をすることで株主の期待に応えようとする企業もあり、配当は必ず出るものでもありません。
キャピタルゲイン
「株でどうやって儲けるのか?」と言われると、「安く買って高く売る」というのが一般的な回答ではないでしょうか。
証券取引においては、売値と買値の差額によって生じる利益のことを利ざやといい、この「安く買って高く売る」ことで得られる利ざやをキャピタルゲインと言います。
株価は日々変動しています。高い日もあれば安い日もあります。
この株価の差を狙って売買をすることで大きな利益を得られる可能性があります。
もちろん、勝った時よりも下がることもあり、値下がり損のことは「キャピタルロス」と言います。
最近では、フリマアプリで有名なメルカリが上場し話題となりました。
メルカリは話題性や人気も相まって、1日で株が66%も上昇しました。また、一方で、2016年に東芝の巨額損失が発覚しました。これを受け、東芝の株価は2か月で約半値になり、多くの投資家が失望する結果となりました。
このように株価は期待で上昇したり、あるいは業績の不振などで大きく下がったりすることもあります。
このような値段の差を狙って売買することで、利益を上げることができるのです。
株主優待
株で利益を得る第3の方法が「株主優待」です。
株主優待は、企業が株主に対して、
「株主でいてくれでありがとう」
という感謝の気持ちを込めて、保有している株数に応じ贈答品を送る制度です。
実施している企業もあれば、していない企業もあります。
株主優待で有名なものは、オリエンタルランドやカゴメ、鉄道系の優待などがあります。
オリエンタルランドは「ディズニーランド」を運営している企業ですが、保有株数に応じてワンデーパスポートがもらえます。
例えば、100株保有していると年間で1枚、400株以上保有していると年間で2枚もらえます。
また、2400株以上保有すると年間で12枚もらえます。
また、トマトジュースの代名詞でもあるカゴメも優待の人気銘柄です。カゴメは100株以上保有している株主に対して1000円相当の商品詰め合わせ、1000株以上保有者に対しては3000円以上の詰め合わせがもらえます。
そして、優待の代表は「鉄道系」です。東急鉄道の場合、12000株以上保有している株主に対して、東急の電車沿線の乗り放題パスを発行しています。
これはあくまで一例ですが、普段使っているサービスだったり、商品が優待で賄えたりするかもしれません。
中にはクオカードなど換金性の高いものもあり、優待を投資のメインにしている方もいらっしゃるくらいですので、調べてみるとおもしろいかもしれません。
まとめ
株をやったことない方からすると、何をどう始めていいかわからないという意見が多いのではないかと思います。
そういう方はぜひ、こういった株式の仕組みを知っておくことが大切なのではないでしょうか。
株を始めるのは簡単です。
しかし、一歩間違えるとただのマネーゲームになってしまいかねません。そうではなく、しっかりと株の基本を押さえておくことで、地に足がついた株式投資ができると思います。
株式の基本を理解したら、次は株を始める前の事前準備を始めましょう。
準備するものは非常にシンプルで、取引するためのデバイス、証券口座、そして株の知識のみです。ここからは、次のセクションで詳しく解説していきたいと思います。
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