はじめに
近年になり株式投資を始める投資家が増える一方で、その大半以上の初心者が投資資金を溶かして撤退を余儀なくされています。
株式投資のいろはを熟知している投資家であれば、株は買う時よりも売る時の方が格段に難しいと口を揃えて言います。
しかしそもそも株式投資を始めることに抵抗を覚える初心者は、株の買い時を見極めることやその銘柄選びのポイントが分かりません。
だからといってむやみにギャンブル感覚で購入してしまっては安定的に利益を上げるどころか、損失額だけが一方的に膨らむことにもなりかねません。
そこで今回の記事では初心者が知るべき株の購入方法について解説します。
株式投資は株を購入してから売却するまでが一連の流れではありますが、この記事では主に購入する側の問題についてのみ言及しています。
「株式投資を試してみたいけど買い方が分からない」と悩む方は、この記事を一読して購入するために必要な基礎知識を身につけてみましょう。
1章:初心者が知るべき株の購入方法とは
この章ではまず初心者が知るべき株の購入方法について解説していきます。
株式投資で利益を上げるためには前提条件として、事前の準備や具体的な注文方法を知識として持っておく必要があります。
株式投資を難しく感じている方は基本を学びその認識を改めるところから始めてみましょう。
1ー1 株を購入するための準備
日本には札幌・東京・名古屋・福岡の四都市に各証券取引が存在しますが、この証券取引所から株券を購入するためには証券会社が用意している口座を事前に作る必要があります。
特定の証券会社の口座を利用することで、証券会社の仲介の元に自分が希望する銘柄を購入することができます。
株式投資を行う上で必須となる準備でもあるため、以下でその具体的な手順について確認しておきます。
・証券会社を選ぶ
各証券会社によってそれぞれの特徴が異なるため、まずは各証券会社の情報を調べた上で自分に合った証券会社を選ぶ必要があります。
また証券会社には対面型とオンライン型の二種類があり、それぞれの特徴に応じたメリットやデメリットが存在します。
具体的な内容については以下のようになります。
①対面型
実店舗が存在する対面型では、営業担当者が個別につくので株の購入時にはアドバイスを受けることが可能です。
また株の購入時では対面もしくは電話にて代理入力してもらえるため、手打ちによる入力ミスが未然に防ぎやすくなっています。
しかしその一方で株の売買手数料が下記のオンライン型よりも高く、売買時にかかる手数料を考慮しながら銘柄を選んだり購入する株数を決めなければなりません。
②オンライン型
それに対して実店舗を持たないオンライン型では、対面型よりも売買手数料が格段に安いことが最大のメリットと言えるでしょう。
株式投資に関する全ての手続きをネット上で完結できるだけでなく、売買の注文を24時間受け付けてくれる点もオンライン型ならではの魅力です。
ただしオンライン型では基本的に自分一人で銘柄選びや株の売買タイミングを見極める必要があり、株式投資の知識が浅い初心者にとっては少々ハードルが高い側面があります。
手打ちによる入力ミスで手痛い損失を出すリスクもないとは言い切れません。
初心者であれば本業が別にある兼業投資家に該当することが多いことからも、対面型よりオンライン型の人気が高い傾向にあります。
また一部のオンライン型では初心者にも嬉しい特典を受けることができます。
・口座開設する
特定の証券会社に絞り込めたら、次は株式投資をするための口座を開設する必要があります。
NISAを利用する場合であればNISA専用口座は一つしか持てないルールがありますが、それ以外の口座であれば原則としていくつでも作ることができます。
ただ初心者のうちから複数の口座を利用して株の売買を行っても、複数ある銘柄の株価の値動きを同時進行で追いかけることはかなり難しいです。
各証券会社のメリットを理解した上で、まずは一つの証券会社に決めて口座開設するといいでしょう。
・投資資金を事前に入金しておく
株式投資では自分の投資資金のみで行う現物取引と、投資資金や株券を担保として証券会社からお金を借りて投資する信用取引という方法で株を購入することができます。
信用取引では自分の資金以上の銘柄を購入できる一方で、初心者には向かないデメリットがいくつか存在します。
初心者のうちは自分の投資資金内で行う現物取引だけに留めた方がリスクヘッジに役立てられます。
特にオンライン型の場合であれば、口座に投資資金を入金していない状態では株を購入することができません。
またオンライン型の口座では提携している銀行からの入金であれば、振込手数料が格安に抑えられる場合があります。
株式投資をするための準備をスムーズに進めるためにも、事前に提携している銀行について調べておくといいかもしれません。
1ー2 株の注文方法とは
証券会社に口座を開設した時点で誰でも株式投資に取り組むことができますが、ただ口座を持っているだけでは意味がありません。
株を購入するためには買い注文を入れる必要があるのですが、その具体的な種類として以下のものがあります。
・成行注文
株価の値動きが激しかったりなるべく早い時点で株を購入したい場合に便利なのが成行注文となります。
この成行注文では購入希望の株価を指定しないため、下記の指値注文より約定しやすいというメリットがあります。
基本的には株価チャートで示される金額の前後で約定されることになるので、成行注文で購入したら損失が出やすいといったことはあまりありません。
・指値注文
それに対して購入時の希望金額を指定する注文方法のことを指値注文と呼びます。
指値注文では自分の希望した金額をあらかじめ指定できるため、想定通りの金額で株を購入することができます。
しかしその一方で指値注文だと状況次第では約定しにくいというデメリットがあり、自分の思うタイミングで株を購入できないことがしばしばあります。
2章:購入する銘柄選びのポイント
株を購入するための準備をある程度把握したところで、この章では株を購入する上での銘柄選びのポイントについて解説していきます。
いくら株の購入方法を心得ていても、銘柄選びのポイントが分からなければ初心者が苦労することは目に見えています。
その具体的なポイントについて以下で確認しておきましょう。
2ー1 業績が右肩上がりか
利益を出しやすい銘柄を選ぶ最大のポイントとして、その企業の業績が右肩上がりかどうかが非常に重要となります。
企業の業績が順調に推移していれば市場の総意として株価が上昇トレンドを継続しやすいため、株価の値上がりを期待しやすくなります。
2ー2 自分の周囲で見かける頻度が高いか
株価の値動きに関する要因として、その企業の流行の度合いも確認しておく必要があります。
自分が日頃生活する上で見かける頻度が高い銘柄であれば、企業としての知名度の高さがうかがえます。
ただ人気株とも呼ばれる流行の銘柄は株価の値動きも激しいため、初心者には少々難しい側面があります。
人気株の急騰狙いで購入することはできますが、ハイリスクハイリターンであることは肝に銘じる必要があるでしょう。
2ー3 今後の事業展開に将来性があるか
株式投資ではその企業の将来性に投資している側面があるため、現時点での業績が良くても今後の事業展開に将来性が見出せなければ投資を避けた方が無難かもしれません。
銘柄の中には業績の黒字化や流行などの短期的な要因により株価が急騰するものも一定数存在します。
将来性の見極めは非常に難しい部分ではありますが、企業の動向を逐一チェックしながら株式投資に取り組むことが前提となります。
2ー4 投資資金額ギリギリではないか
投資資金額ギリギリの銘柄に手を出してしまうと投資期間中はその資金の流動性が失われるために、別の狙い目な銘柄を見つけたところでその銘柄を購入する資金が手元に残らない状況が生じます。
株式投資では予想を裏切る株価の値動きもよくあるので、損小利大にするための算段を立てながら常に余裕を持った株の売買に取り組むことが不可欠です。
3章:初心者が狙いやすい株の種類
株の購入に不慣れなうちはどの銘柄がいいか迷うことも多いことでしょう。
以下では参考までに初心者でも狙いやすい株の種類について紹介しておきます。
3ー1 低位株
最低単元株価の高い銘柄は初心者にとって敷居が高い一方で、低位株に代表される株価の安い銘柄であれば初心者でも比較的購入しやすくなっています。
低位株は値動きが激しいことからニュースや業績次第で急騰することが期待できるというメリットがあるものの、流動性が低く望むタイミングで約定しにくいことや倒産するリスクが高い銘柄が多く紛れ込んでいるというデメリットが存在します。
1株あたり株価が二桁代になっている銘柄は避けつつ、複数の銘柄で分散投資することが必須と言えます。
3ー2 ミニ株
各銘柄の最低単元株数以下で株を購入することができるミニ株は、少額投資から始める初心者には特に魅力的に感じられる株と言えます。
大手企業の株に少額から投資することができますが、実際にはデメリットも多く指値注文ができない他、取り扱っている証券会社やミニ株で売買できる銘柄の種類が限定されています。
少額での投資である以上、利益を多く出すことは難しい側面があります。
3ー3 内需関連株
株は国内だけでも種類が豊富にありますが、海外まで合わせると数限りなく存在します。
ただ初心者であれば企業に関する情報が得られやすい内需関連株に絞ることで、損失を抑えやすい傾向があります。
国内の景気に左右される傾向がある内需関連株は具体例を挙げれば建設系、電力・鉄道などのインフラ系、流通系や通信系といったものがあります。
国内に重きを置く企業であればその動向を探りやすいため、経験値を積む意味でも狙いやすい株となります。
3ー4 有望株
中小企業の中でも特に将来性が高い銘柄のことを有望株と呼びます。
今後さらに発展が期待される業界の銘柄であることが多く、例えばAI事業や少子高齢化に関する事業に携わる企業の中に有望株が潜む可能性が考えられます。
ただその将来性を判断するためには、企業側が開示している情報が明確であり実現可能な目標を掲げているかどうかが重要となります。
中長期的に投資する対象となるため、企業そのものの経営基盤が盤石でなければ投資すべきではありません。
まとめ
株式投資で損失額を抑えるためには売却タイミングが重要になりますが、銘柄選びや購入するタイミングを失敗すれば利益を上げることはまずできません。
堅実な投資で安定的に利益を出すためにも、不慣れなうちこそ少額での分散投資を実践して株式投資の感覚を掴むことを優先してみるといいかもしれません。
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