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はじめに
株式投資とはそもそも買い注文と売り注文のワンセットで成立していますが、実際の難易度では買うよりも売る方がはるかに難しいと言われています。
企業の業績やニュース、株価チャートなどを確認して特定の銘柄を買うまでは順調でも、いざ売るとなると「いつ売れば利益が出やすいんだろう」と悩んでしまい、絶好の売るタイミングでさえ見逃してしまうことにもなりかねません。
また明らかな含み損がある場合でも「この銘柄ならいつかは持ち直すはず」と根拠もなく信じてしまい、結局は大損を被ることは初心者のうちに誰もが経験していく道です。
そこで今回の記事では、初心者が株で利益を出すための適切な売るタイミングについて解説します。
初心者ほど自分のルールが曖昧でさまざまな情報に流されやすいですが、確固たるルールを決めておくことで余計な情報に踊らされずに済みます。
売るタイミングを決めかねて思うように利益を出せない人は、まず自分のルールを決めるところから始めていきましょう。
1章:株初心者が実践しやすい売るタイミングのルールとは
この章ではまず始めに、株初心者でも実践しやすい売るタイミングのルールについて解説していきます。
こう書いてしまうとここに挙げたルール全てに則らなければならないように感じるかもしれませんが、これはあくまで株初心者にありがちな失敗を回避するための方法論です。
自分なりのルールが決まるまではこれを参考にしつつ、自分がやりやすいようにルールの微調整を適宜かけていくことをおすすめします。
1ー1 不慣れなうちは順張りだけで投資する
株式投資の投資方法としては主に順張りと逆張りの二種類がある訳ですが、不慣れな初心者のうちから逆張り狙いで売買をしてしまうことは大損覚悟の博打をしているのと同義と言えます。
株の売買に慣れて売るタイミングをある程度把握できるまではひとまず逆張りは封印しておき、まずは順張り一本のみで投資していきましょう。
順張りでは上昇トレンドに入った時点からが勝負になるため、株価チャートにおけるテクニカル分析が物を言います。
次章にて移動平均線を使ったテクニカル分析の方法について触れるので、株価チャートの見方の一例として参考にしてみてください。
1ー2 目標を設定したら株を機械的に売る
そもそも株式投資を始めた人の多くができるだけ多くの利益を出したいと考え、適切な売るタイミングについて悩んでいるはずです。
利益を出すことを追求して知識をつけるのは良いことですが、欲を出しすぎるあまり絶好の売るタイミングを見逃していては非常にもったいないです。
持株の株価が順調に値上がりしている最中に売ることは気持ちの上で踏ん切りがつかないこともありますが、事前に目標金額を設定したら後は株を機械的に売ることで失敗を最小限に抑えることができます。
株の売買における格言でも「三割高下に向かえ」という言葉がありますが、これは現状の株価が三割上昇した時点で株を売り、株価が三割下降した時点で株を買えという意味です。
プロの投資家は利益を多くすることに長けていると思われがちですが、実際には損失を少なくすることに長けています。
株の売買で常に冷静な判断を下せるがゆえのことなのですが、初心者のうちは感情的になりやすいため、あえて機械的に株の売買をこなすことで損小利大の稼ぎ方に近づくことができます。
ただし株価チャートだけを頼りに売買していると、企業そのものの業績不振や不祥事といった悪材料に気づけないこともしばしばあります。
それについては投資している企業の業績の推移や最新のニュースを、四季報オンラインなどで併せて確認するよう癖づけておくといいでしょう。
1ー3 株を一挙に売り切らない
株に手を出し始めて間もないうちは、根拠を持って売るタイミングを見極めていたとしてもつい自信を持てないものです。
ただ自信がないのであれば持株を一挙に売り切ることはせず、あえて二度、三度と小分けにして売る方が損失を被るリスクを回避しやすくなります。
自分が判断したタイミングで売るのが適切かどうか知りたい場合には、まず最低単元株だけを売りに出します。
そして下降トレンドに転換しないと確信できた時点で残りを売り切るようにすると、トレンドの転換によって損を被りにくくなります。
買いの時も同様のことが言えますが、慣れるまでは株価チャートの様子をうかがいながら少量ずつの売買に挑戦してみるとより確実です。
1ー4 損切りするタイミングは根拠で測る
株式投資を始めてすぐの初心者であれば買うタイミングを間違えてしまい、損失を被ることも少なくありません。
特に資金が限られる場合であれば含み損の状態から利益確定売りすることで生じる損失額を恐れて、損切りするタイミングを逸することはよくある話です。
ただ含み損のまま放置しておいて最終的には大損してしまうというのは、初心者ならではの失敗とも言えるでしょう。
含み損を確定させることが恐い場合であっても、その銘柄を買うに至った根拠が崩れている場合に保持し続けても意味はありません。含み損があれば全て損切りしろとは言いませんが、自分があらかじめ定めた買い条件が消失した銘柄については損切りをきちんと検討した方がいいかもしれません。
1ー5 上昇トレンドのうちに売る
株式相場の格言でも株価チャートの変動の速さに言及するものがいくつかありますが、それに類する格言として「三空は売り」という言葉があります。
株式相場で言うところの「空」とは当日の始値が前日の終値よりも高く始まり、なおかつその状態から一度として前日の相場まで株価が下降しないことを指します。
別の言い方では「窓が開く」とも言いますが、この状態が三日連続で続くと好調子を見守っていた投資家たちの中にも「そろそろ株価が下がるんじゃないか」と疑う人が出てきます。
売り注文が殺到してしまうと株価が下落するのは目に見えているので、そうならないうちに売り注文を出せるかどうかで利益として出る金額が左右されてきます。
ただ上昇トレンドのうちに利益確定しようとしても、指値注文では狙ったタイミングで約定できず損失を被ることもあるかもしれません。
そのため三空が見えた際は指値注文をあえて避け、成行注文でとにかく利益を一度出してしまう方が安全でしょう。
1ー6 保ち合い離れではまだ売らない
株価チャートでは上昇か下降どちらかのトレンドだけでなく、株価があまり変動せずこう着してしまう相場というのを見かけたことのある人も多いのではないでしょうか。
このこう着状態のことを「保ち合い」と言いますが、この状況が長期的に続く場合は株価が上昇すると見る投資家と、反して株価が下落すると見る投資家が拮抗していることを意味します。
上昇トレンドでの保ち合いの最中に焦れて売ってしまうよりは、保ち合い放れまで待ってから売る方が利益が多く出やすい傾向にあります。
保ち合いの均衡が一度崩れるとその後の値動きが激しくなるため、「保ち合い放れは大相場」という格言まであるほどです。保ち合いは焦らずじっくりと機を伺うことにまずは専念しましょう。
2章:トレンドの転換を見分ける移動平均線の見方とは
この章ではテクニカル分析で重要になる移動平均線の見方について解説していきます。
この移動平均線を株価チャート上に表示させる際には、短期と長期という二種類の移動平均線を組み合わせて相場の流れを読んでいくのが一般的です。
特にトレンドの転換を見抜く上では大変重要な役割を担っているので、売るタイミングを根拠を持って判断していくためにも移動平均線の特徴的なサインについて確認しておきましょう。
2ー1 ゴールデンクロス
短期移動平均線が長期移動平均線に対して下から上に交差することを、ゴールデンクロスと言います。
このサインはその銘柄の株価が上昇トレンドに転換したことを現すもので、ゴールデンクロスが見られた銘柄については順張りできる可能性が出てきます。
これだけでは買いサインになるとは言えないので、他のサインと合わせて活用するといいでしょう。
2ー2 デッドクロス
それと対をなすサインとして、短期移動平均線が長期移動平均線に対して上から下に交差することをデッドクロスと言います。
ゴールデンクロスが現れたら上昇トレンドに転換したと確認できる一方で、デッドクロスが現れた際にはその銘柄の株価は下降トレンドに転換したことが確認できます。
これら二つのサインはあくまでもトレンドの転換を確認する参考程度のサインなので、これが現れたからといって安易に売買を急いではいけません。
2ー3 移動平均線乖離率
上記のサインと併せて確認したいのが移動平均線乖離率と呼ばれる、株価チャートの一指標です。
この移動平均線乖離率とは「移動平均線から大きく離れた株価は、やがて適正な価格まで戻ってくる」という理論がある前提で、株価の上がりすぎや下がりすぎを確認することができます。
ただ移動平均線乖離率は各銘柄によって反発や調整が起こる乖離率がそれぞれ異なるため、実際に活用する場合には手持ちの銘柄の過去の乖離率を目安にするといいでしょう。
2ー4 グランビルの法則
アメリカの証券アナリストだったJ.E.グランビルによって考察された株価チャートと移動平均線との関係性のことを総称して、グランビルの法則と言います。この法則では買いサインと売りサインがそれぞれ四つずつあるのですが、売りサインに着目すると以下のものがあります。
①移動平均線の高値圏で、株価チャートが上から下に交差するポイント
②移動平均線の下降ラインで、株価チャートが下から上に交差するポイント
③株価チャートの下に移動平均線がある状態で、株価チャートが上昇するも上抜けられずに下降したポイント
④移動平均線が上昇トレンドにある状態で、株価チャートが上部でかけ離れたポイント
言葉にすると難しく感じるかもしれませんが、図解付きだとある程度理解しやすいかと思います。グランビルの法則について気になった人は合わせて勉強してみると売るタイミングの見抜き方が多少なりと分かるかもしれません。
まとめ
株の売買に不慣れなうちは売るタイミングを見つけることに難しさを感じやすいですが、一度慣れてしまえば自然とできるようになってきます。売るタイミングで悩むうちは典型的な売りサインから覚えるようにし、地道に練習していくことが大切です。
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