はじめに
誰もが知る100円ショップ、「ザ・ダイソー」。当初は「安かろう悪かろう」という印象もあった100円ショップですが、デザイン・品質面でぐんぐんレベルアップし、現在では多くの雑誌で特集を組まれるほどの人気に。そんな100円ショップの先駆けともいえるのが「ザ・ダイソー」です。今回の記事では、ザ・ダイソーを展開する株式会社大創産業についてご紹介します。
株式会社大創産業の特徴
ダイソーの歴史
ザ・ダイソーを運営する大創産業は、「大きく創る」ことを名前の由来とし、1977年に広島県で産声をあげました。創業者であり代表取締役である矢野博丈氏は、1970年代に雑貨をトラックで売り始めます。これは倒産企業や資金繰りが苦しくなった企業の在庫品を安く買い取り、安価で売る、いわゆる「バッタ屋」という販売手法でした。実店舗は構えず、スーパーマーケットの駐車場や催事場での営業がメインで、「100円ショップ」「100均」という言葉こそなかったものの、当初から100円均一での商売を行っていました。1977年に正式に「株式会社大創産業」を立ち上げましたが、当時もっとも多くの商品を卸していたスーパーマーケットに「催事場が汚くなるため100円均一の催事は中止」と言われてしまいます。そこで、そのスーパーのお客さんが立ち寄るところに常設店を設けたのが、「ザ・ダイソー」の始まりです。
ダイソー開店から現在まで
矢野博丈氏が「ザ・ダイソー」の展開に着手したのは1987年のこと。1991年には初めての直営店を香川県高松市に出店しました。当時の100円ショップはすべての商品を70円以下で仕入れて100円で販売していましたが、購買客の「安物買いの銭失い」という言葉を耳にし、原価が100円に近いもの、時には原価割れのものまで仕入れて販売するスタイルに変更。この変更により「ダイソーの商品は質が良い」という評判になり、全国展開に至るようになったのです。創業当初は商店街への出店が多く、店舗にNo.1から順番にナンバリングをしていました。当時の名残がある外装の店舗もあるそうなので、ザ・ダイソーに足を運ぶことがあればチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。100円ショップの登場は、バブル崩壊後の日本のニーズにマッチし、キャン・ドゥなど同業他社の登場やマスコミで取り上げられたことにより、一気に規模拡大、現在国内で3,000店舗、海外にも1,800店舗以上を構えるトップ企業になりました。
ダイソーの特徴
なぜ、多くの100円ショップの中で、ザ・ダイソーがトップを走ることができているのでしょうか。それは、100円ショップの黎明期に質にこだわったものを提供したことで、「安かろう悪かろう」のイメージを払しょくできたこと、生活雑貨を中心として多岐にわたる商品を提供したことで「ダイソーに行けばいろいろなジャンルの商品が手に入る」とのイメージを付与できたことが大きいと思います。また、メーカーや卸売業者から大量の商品や商材を現金で取引することで、仕入れコストを抑えることができていたのも、付加価値の高い商品の提供へとつながりました。ダイソーの店舗で商品を見ていると、パッケージにダイソーのロゴが入っている商品を見つけることがありますが、これもダイソーの特徴です。オリジナル商品を扱うことで「小売業」のイメージからひとつのブランドとしての「ザ・ダイソー」のイメージが定着し、商品開発力を持つ企業として認知されるようになったのです。その取扱いアイテム数は数10億点にも及ぶとアピールしており、その豊富なバリエーションでいつお店を訪れても新商品に出会うことのできる仕組みとなっています。また、単なる100円ショップで終わらないために、税抜き150円以上の商品は「高額商品」として扱われ、扱うアイテムの幅がますます広がっています。今やすっかり日常生活に定着したダイソーですが、今後の動向にも注目です。
ダイソーは実は非上場企業
皆さんの中には「大企業=上場企業」というイメージを持っている方も多いと思います。実際に、企業が上場するためには厳しい条件をクリアする必要があり、一般的に大企業と言われるような企業でないと上場することはできません。しかし、あえて上場することを選択していない大企業もあり、大創産業もそのひとつです。株式市場に上場していないということは、一般市民がダイソーの株を買うことはできません。なぜ、ダイソーは非上場なのでしょうか?企業が株式市場に上場するということは、自社の株式を購入できる人の幅が広がるということであり、多くの株主が存在することになります。また、上場企業には安定した利益が求められるため、チャレンジングな戦略が立てづらくなります。ダイソーもとい大創産業も、上場のための準備をしていたそうですが、上場予定日の2か月前にキャンセルしたそうです。これは、上場することによって投資家の目を気にし、短期的な目線でしか経営できなくなるのを避けたからだそう。ちなみに他の100円ショップ企業で上場しているのはセリア、キャン・ドゥ、ワッツの3社ですが、その3社の売上を合計してもダイソーの年間売上(4200億円!)に敵いません。業界トップに君臨し、業界をけん引し続けるダイソーですが、2017年11月には矢野博丈氏による「上場を考えている」という発言がニュースになりました。そろそろ経営を譲ることを考えているようですが、矢野博丈氏はあまりメディアへの露出を行わないため、その真意を探ることは難しいようです。上場する条件は整っているはずですから、いざ上場となれば、大きな話題となることは間違いありません。
まとめ
今回の記事では、「ザ・ダイソー」を展開する大創産業の歴史と特徴についてご紹介しました。100円ショップのアイテムは種類豊富で見ているだけでも楽しいうえに、手に取りやすい価格なのでいろいろなジャンルの商品にチャレンジすることができて楽しいですよね。代表取締役の矢野博丈氏はネガティブな名言(迷言?)でも有名で、「百円の男 ダイソー矢野博丈」という本も出ています。興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか?
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