株を始める目的は、「お金を増やすこと」だったはずなのになぜか株で借金をしてしまう人が多くいます。普通に考えればありえないことのように思うのですが、株式投資には人に借金を負わせてしまうほどの魅力があるのでしょうか。
こんにちは株アカデミーの小野寺です。本日は誰もが恐れる株での借金地獄についてお話をしていきます。
これから始められるビギナーの方も、イケイケで稼がれている方にもぜひ参考にしていただけたらうれしいです。
宜しくお願いします。
株でそもそもなぜ借金をしてしまうのか
そもそも今持っているお金で株を買えば、どんなに持ち株が下がったとしても、たとえその企業が倒産して0円になったとしても、投資した金額以上の額がなくなることはありません。ですから、自分のお金で取引をしている限り、株で借金を作るはずがないのです。
ですが、実は株式投資には現物取引のほかに、信用取引という投資手法もあります。
まず現物取引についてですが、これはイメージしているとおり、自分の持っているお金だけで資金の運用を行います。そのため最悪の場合、株式投資にあてていた資産をすべて失うことがありますが、逆に言えば、「それだけで済み」ます。
ですが信用取引の場合は違います。
株で借金をしてしまう大きな理由として一番大きな存在は「信用取引」にあります。信用取引とは一体何でしょうか?
大前提として株とは「自分の資産の中で株価の上昇に伴って利益を上げる」ことが大きな収益のパターンです。
例えば1株1万円の株を100株買う形で投資したとします。その100万円で買った100株が値下がりをして1株5000円まで値下がりをしたとします。そういった所謂大暴落をしたとしても、株で出る損失は差額の50万円です。
さらに最悪の場合として所持していた株の会社が倒産してしまった場合でも、非常に乱暴な言い方になりますが、100万円分の株が無価値になるだけで済みます。
それはつまり自分の資産内で株を買い、なおかつその株価の上昇と下落に応じて損益が生まれるので、元手以上の損失を出すことはまずありえないのです。
しかしこの信用取引を使うことで、良くも悪くも自分の資金以上の投資が可能になってしまいます。
ではこれは一体どういうことなのでしょうか?詳しく解説していきたいと思います。
信用取引とは、簡潔に言うと「手持ちの資金以上の取引が出来る投資のシステム」です。
先ほどご説明した通り、株式投資とは、良くも悪くも自分の資金以上の取引は出来ません。それはつまり、自分の投資した資金額以上に損失を出すということは仕組み上ありえないのです。
しかし、信用取引という手法を使うと例えば手元に100万円しかなくても、元手の約3倍の300万円分の株を取引できるのです。
これがどういうことかというと、例えば1万円の株を通常通り100万円分の100株購入した場合、値上がりをして1株1万2千円まで値上がりをしたとします。すると、購入段階での株価と値上がり後の株価では1株2000円の差額が出る為、100株持っていれば20万円の収益になります。
しかし、この信用取引の手法を使うと、100万円の元手から300万円分の株式投資が可能です。それはつまり、同じように1万円の株が1万2千円になった時に300万円分の株を買っていれば、通常の株式投資では20万円の利益だったところ、一気に三倍の60万円分の利益を上げることが出来るのです。
これだけ聞くと非常に有用なものに聞こえるかもしれません。しかし、それには勿論非常に大きなリスクがあります。
それは「自分の所持金額以上の投資が出来てしまう」という所です。これが何故問題かというと、例えば100万円の元手から信用取引を使い300万円分の株式投資をしたとします。しかし、この購入した銘柄が倒産してしまった場合、この300万円分の株式は価値が0になってしまいます。その際100万円分の元手を超えた差額の200万円は証券会社に返済する必要が出てくるので、それはつまり200万円の借金を株で背負うということになってしまうのです。
通常であれば投資にかけた資産以上の損失を出すことはないはずの株式投資ですが、信用取引という手法を使うことで一気にリスクの大きなものになってしまうのです。
元々信用取引は、少ない元手でも大きな利益を生むために始まった制度ではありますが、うまい話にはそれ相応のリスクが付きまといます。信用取引の場合は通常の株取引であれば起こりえない不測の損失が起こりかねないのです。
もちろん、突然株価が半値ないし0になるということはめったにありませんが、「絶対に起きない」とも言えません。
少し前ですが、2006年のライブドアショックでは、ライブドアの時価総額は10分の1にまで下落しました。
半分どころの下がり具合ではありません。投資家の中には信用取引をしていた人もいるでしょうか、そうした方々があの瞬間に数千万円近い借金を背負うことになったのです。
株で借金をする理由①株の借金を株で返そう
株で借金をするそもそもな理由を先ほどお伝えしましたが、株の借金をきっかけにしてさらに借金を重ねる人もいます。
そういう人の発想は「株の借金は株で返そう」です。
一度信用取引で多額の利益を得た場合、通常の現物取引の利益では満足できなくなる人が大勢います。稼げている間はいいのですが、時には大きな損失を出してしまうこともあります。
そこで冷静に状況を分析し、「次、負けないためにどうするか」「なぜ大きな損失を出してしまったのか」考えることができればいいのですが、そんなに強い人はなかなかいません。
信用取引のあの刺激的な魅力になれた人は、労働してお金を稼ぐことも避けるようになります。
「1度あれだけの利益を出したのだから次もまた勝てるはずだ」と、株の借金を株で返そうとして、その資金のためにさらに借金をしてしまうのです。
株で借金をする理由②損切りラインをずらす
そもそも株価は変動するものです。ですからたとえば、信用取引で株を買ったのに株価が下落して損失を抱えてしまったときでも、その株を持ち続けていて、株価が上がったタイミング売れば、損失額を減らすか、運が良ければ利益を出すことができてしまいます。
一時的に株価が下落してしまったからといって、すぐに損切りするのではなく、「きっとあと少しで上がるはずだ」「持ち直してくれるはずだ」と期待してしまいます。できるだけ損失額は小さくしたいと考えるのは普通のことです。
ですが、ここで損切りラインをずらしてしまうことは非常に危険です。逆にどんどん傷口を広げていく可能性があります。30万円の損失で終わっていた話が300万円の借金になってしまうこともあるのです。
損を出したくないという気持ちは十分にわかりますし、私だってできるなら損失額を減らしたいと考えます。ですが、損切りラインだけは絶対に破らず、心を鬼にして損切りするようにしています。そしてしっかりと損切りラインを守った方が、結果的に復帰も早くできることが多いです。
株で借金をする理由③また上がるだろうという過信
さきほどの借金をする理由と少し重なる部分もありますが、「また上がるだろうという過信」もまた、原因の1つです。
株価は下がるもので、上がるもの。だから、このまま株を持ち続けていたらいずれ、買ったときよりも高い金額になってくれるだろう、という市場状況を無視して完全な自己都合で判断してしまう人もいます。
特にその株が過去に急騰したものであれば、たとえ下落したとしても持ち続けてしまいたい心理が働きます。実際、購入して間もないころに急激に伸びた銘柄がありました。そこから大きく株価は下落して損失になってしまいましたが、一度急騰した過去があるので「また上がるだろう」と借金をしてまで持ち続けていました。
この戦略は見事に失敗しまうのですが、「また上がるだろう」という希望的観測による投資は大きなリスクを伴うことを教えてくれました。
株で借金をする理由④リスクを知らない
株のリスクを知らなかったために借金をしてしまう人もいます。「貯金しておくよりはいいだろう」となんとなくで勉強することなく投資を始めた人や、「なんとなく楽に儲かりそう」という気持ちで投資に取り組んだ人に多いパターンです。
儲かることばかり考えて、株のリスクを知ろうとしなかったのです。株は買った値段よりも高く売れたら利益が出ますし、安くしか売れなかったら損を出します。
「元本割れ」というリスクが存在しています。
また信用取引を行うと、「空売り」ができるようになります。株価の下限は0円と決まっていますが、上限はありません。
今日100円だった株が1ヶ月後には1000円になっている可能性もゼロではないのです。
ここでもし空売りをしていた場合、損失も天井知らずに大きくなってしまいます。
「儲かるらしい」という情報だけで株式投資やその中でも信用取引を始めると、リスクを知らないせいで大きな借金を背負ってしまうことにもつながります。
株式投資はリスクとリターンのバランスです。リターンばかり考えるのではなく、そのリスクについても知るようにしましょう。
[リスクについてはこちら]
株で借金をする理由⑤ 借り入れたお金を使ってしまう(負けを取り戻すために借金)
そして最後は、負けを取り戻すために借金してしまうパターンです。これが一番株式投資から借金に繋がる要因になっております。余剰資金で株式取引をやっていれば、そして、現物取引で株をやっていれば借金を背負うことなんてありえません。
しかし、先述致しました信用取引であれば、レバレッジをかけるということはつまり、自分の資金以上の金額はある意味借金をして投資をしているという事実があります。
さらに、これは後述いたしますが、消費者金融ならびに闇金等にお金を借りて投資をしてしまうと、株で損失を出した場合、自分の余剰資金でやっていれば実質的に自分のお金が減る場合もございますが、借金を被ることは無かったはずが、損失を出す=借金に直結してしまいます。
それはつまり、株式投資では有り得ない形での借金を抱えてしまうということになり、余剰資金を超えた投資をしてしまうと、最終的に借金をし、その返済に追われてしまうといった負のループに陥ってしまうのです。
これも先述しました通り、株の借金を株で返そうとすると常に巨額のナンピン買いをするかのような状況になりかねず、ある程度の利益を出してもまだ足りず、最終的にリスクの高い投資方法に手を出し、失敗してしまうというようなことも容易に考えられます。
こういったことからも、借金をしてまで株式投資をするというのは、単純に金額の問題だけでなく、想像をはるかに超えたリスクがそこに存在していることを知っている必要があるのです。
株で一番重要なのは「正しい情報を手に入れること」です。そのためにはセミナーに参加することや、情報を常に発信しているメディア、メールマガジンなどで最新の情報を手に入れることで自分の中の情報を最新にしていく必要があるのです。
株で借金をした人の成れの果て
「まさか自分が」と思うような人ほど株で借金をしてしまっています。名前は出せないですが、実際に借金をした人に話を聞いてきました。
何が彼ら彼女らを借金へと進ませたのでしょうか。そしてその後、どうなったのでしょうか。他人事ではなく、いつか自分もなるかもしれないという危機感を持ちながら読んでください。
株式投資歴3年Yさん
Yさんは株の短期取引をメインに行なっていました。
最初は10万円を入金して慎重に取引していたのに1年も経つと、慣れもあって取引額が増えていきました。取引額を増やしたものの全く儲かりませんでした。逆に資金が減っていくばかりです。
そしてそれを取り戻そうと、キャッシングしてお金を注ぎ込みました。
「株で負けたお金は、株で取り返す引かない」と思い込んで、それはまさに底なし沼のようでした。気づけば借金は291万円。しかも原因は株です。
奥さんには愛想を尽かされ、残ったのは借金だけです。今Yさんはお酒も飲まず、遊びもせず、ただ借金を返すためだけに働いているうな状態で、こんな生活があと3年続くそうです。
株式投資歴1年Mさん
株式投資歴1年のMさんは、友人が株式投資をやっていると聞いて取引を行うようになりました。はじめはその友人の話を聞きながら同じ銘柄を買っていたのですが、慣れてくると自己判断で「上がりそう」と思う銘柄を取引するようになりました。
そしてもっと儲けようと思って、信用取引に手を出してしまいます。全く勉強していない状態から完全な自己判断で銘柄を選び、さらには信用取引を行ってしまうという最悪のパターンです。
結果、Mさんは投資歴1年にも関わらず借金を作ってしまいました。今では「株はもう懲り懲り」と毎月の給料から株で作った返済にあてています。ボーナスもすべて借金の返済に回ってしまったようです。
株式投資歴11年Tさん
趣味で始めた株式投資。
はじめは長期投資で年利5程度回していたのですが、徐々に欲が出てきました。「有頂天になってはいけない」そう言い聞かせていたのに、一度保有していた株が急騰し、
一夜で200万円の利益を出したことで何かが飛んでしまいました。
それからは投機的な投資を続け、経験もあったおかげで着々と資産を増やしていくことができました。なのに、ある企業が証券取引法違反容疑で株価が暴落してしまいました。そのときは借金とまではいかなかったのですが、資産の大部分を失ってしまいました。
ショックにより冷静な判断ができる状況ではありませんでした。Tさんは損失を取り戻すために資金作りとしてキャッシングをし、そのお金で信用取引を行いました。
結果は、大失敗です。借金は500万円に達しました。Tさんは毎月8万円の返済となり、会社の給料だけでは足りず生活は切り詰め、金・土の夜には警備員のアルバイトもしてなんとかしのいでいる状況です。
株で借金をしてしまったら〜救済措置
株で借金をする理由、そして株で実際に借金をしてしまった人たちのことを見てきましたが、もし株で借金をしてしまった場合、何か救済措置はあるのでしょうか。
借金返済をする債務整理をできるが…
結論から言えば、株が原因で作った借金でも債務整理を行うことはできます。ですが、法律的には株による借金は債務整理の対象外とされているため、正しい手順を踏む必要があります。
なぜなら株は、免責不可自由として指定されている「浪費や賭博、射幸行為(ギャンブルなど)」に抵触するのではないかという議論もあるからです。
任意整理・個人再生・自己破産という手段
まず債務整理には任意整理・個人再生・自己破産と大きく3つの種類があります。
自己破産をすれば借金はなくなりますが、デメリットも多いです。さらに、自己破産は「借金の理由がギャンブルや株などの射幸行為」であると判断された場合、免責不許可事由に該当する可能性もあります。
自己破産を選択する前に、まず任意整理、個人再生を考えてみて下さい。債務整理の種類によって対応が違ってきますので、1つずつ説明していきます。どの手続きであっても信用情報に傷がつく「ブラック」になりますので、その点はご留意ください。「ブラック」として情報が登録される期間は借金完済後5年間、全国銀行個人信用情報センターには完済後10年間となります。
任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに直接債権者と交渉することによって借金の減額を行う手続きです。ここでいう債権者は証券会社になります。借金の額が少なければこの手段が取られることが多いです。借金の減額の幅は小さいですが、「破産者」になることは避けられます。株式会社の取締役や弁護士、税理士などは欠格事由で退職となるので、その点は注意してください。
ちなみに、債務整理の中ではこの任意整理がもっとも多く行われており、弁護士費用も他の債務整理に比べると安くなっています。借金の理由は問わないというのも、任意整理の特徴です。利息制限法に基づいて、借金の総額から上限金利を上回る利息が差し引かれ、今後に生じる利息の支払いも免除されます。
支払いは分割払いとなるのが一般的で、原則としては3年以内に返済を終えることとなっています。個人再生などと違って、自宅に裁判所からの連絡がきたり、多様な書類が届いたりといったことはありませんので、家族に内緒で手続きを進めることも可能です。ただし、株式会社の取締役や弁護士、税理士などは欠格事由で退職となるので、その点は注意してください。また、この手続きはあくまでも「任意」なので、債権者が減額に応じるかどうかは交渉次第ということになります。
個人再生
個人再生は「民事再生法」に基づいて行われる手続きです。基本的に「支払い能力はあるが、このままではいずれ破産する恐れのある人」を対象とした制度となっています。借金の理由がギャンブルなどでも適用されますが、「将来において継続的又は反復して収入を得る見込みがあること」が条件となります。また、借金の総額が5000万円以下でなければ個人再生を使うことができません。
個人再生は交渉ではなく裁判所を通して行われる法的手段ですので、任意整理とは異なり大幅な借金の減額となります。減額される比率は借金の総額によって法律で決められていますが、一般的には借金の80%程度がカットされます。自己破産とは違い、家や自家用車などの財産を残すこともできます。
その反面、裁判所への出頭や書類の送付、家族の収入証明書提出が必要になるなど、任意整理に比べると手続きが煩雑になるというデメリットがあります。家族に内緒で手続きを進めることは不可能と言えるでしょう。返済期間は任意整理と同様に、原則として3年以内となっています。
自己破産
自己破産とは、裁判所を通して借金の返済義務を免除してもらうための手続きで、借金を解決するための謂わば最終手段になります。
この自己破産は他の手続きとは大きく異なり、全ての借金がなくなる代わりに非常に大きなリスクを持っているため、詳しく解説させていただきます。
自己破産を申し立てするには2つの申し立てが必要で、破産の申し立てと免責の申し立てを併せて行います。ここでいう免責とは「借金を帳消しにするための手続き」を指します。この二つの申し立てを行い、免責の許可が降りて借金が免除されます。
この面積の手続きには「同時廃止」と「管財」の2種類があります。
同時廃止とは、資産を持っていない人のための手続きで、管財とは、ある程度の資産を持っている人、もしくは「面積不許可事由」に該当する人のための手続きです。この免責不許可事由とは、負債を抱えた理由がギャンブル等の問題ある原因だと考えられる事由の事を指します。
その際、没収された資産は債権者に配分されますが、この資産がどのように配分されるのかに非常に大きな手間がかかるため、可能であるならばこれは管財よりも免責確定で手続きをすることを推奨いたします。
自己破産は借金を完全に免責できる謂わば最終手段です。しかしこれには勿論それ相応のデメリットがあります。それらのデメリットについてもこちらで解説させていただきます。
まず1つ目のデメリットは「周囲の人間に迷惑がかかる」というものです。
自己破産をすることで借金の取り立てがすぐに家族に行くということはありません。しかし、家族がその借金の連帯保証人になっている場合は別です。債権者には連帯保証人に取り立てる権利が生まれるのです。そのため、自己破産をする際は連帯保証人の有無を確認する必要があると言えます。
また、車や家などの資産が没収されることになると、間接的にその家や車を利用している家族や同居人に迷惑をかけることになってしまいます。
次のデメリットはクレジットカードが使えなくなる・ローンが組めなくなるという事です。
自己破産を行うと、個人信用情報機関のブラックリストに名前が登録されます。このブラックリストに名前が登録されるとそのリストから名前の消える数年間はクレジットカードの利用が出来なくなります。
他にも就ける職業に制限がかかることや財産が没収される等のデメリットはありますが、上記二つに比べると周知の事実であることと、デメリットとして小さいことであるため、今回は割愛させていただきます。
また、自己破産に関しては世間一般で認識されているものとの誤解があります。
例えば会社や学校など周りの人に知られてしまうのでは?といった心配もあるかもしれません。しかし、これもまた誤解で、戸籍に情報が載ることもなく、周りの人たちに知られることは基本的にありません。
また、家を借りられなくなるという話もありますが、これも少し間違っております。家を借りる際に保証会社に頼む場合は審査が通らなくなる場合がありますが、保証会社を通さなければ家を借りることは可能です。
こういったデメリットは存在していますが、どうしても借金で首が回らなくなった場合は、人生を悲観するところで終わらず、自己破産という手段が存在していることを覚えておいていただけると、万が一の際にあなたの命をも救うことがあるでしょう。
闇金には手を出さないこと
これは言わなくても当たり前だと思うかもしれないですが、絶対に闇金から借金をしてはいけません。
貸金業を営むには、財務局や地方自治体に登録をしなければいけません。つまり、闇金とは「貸金業の登録を行わずに、業としてお金を貸している業者」のことを指します。
登録をしている貸金業者は、「貸金業法」「利息制限法」「出資法」の3つを遵守しなければなりません。貸金業法では、貸付上限が制限されている総量規制、違法な取り立ての禁止、金利上限、生命保険による返済禁止などの規制を受けることになります。また、利息制限法により金利の上限は15%から20%、出資法で金利上限は20%とされています。
これらの規制を守らなかった場合は契約自体が無効となり、借り手に対して返済を求めることができなくなります。当然ですが、闇金業者はこのような規制を受けたり、法を守ったりするようなことはありません。
注意しなければならないのは、登録番号が掲示されているからといって、安心してお金を借りてはいけないということです。最近では闇金による被害の実態などが広く報じられるようになったために、闇金からお金を借りる人が少なくなってきました。そこで闇金業者は架空の登録番号を掲載し、あたかも正規の貸金業のように振る舞うという悪質な手口で、お金を貸そうとするのです。この対策として、金融庁が公開している「登録貸金業者情報検索」を使うことを推奨します。これを利用すれば、登録されている業者なのか偽造された登録番号なのかを簡単に調べることができます。
闇金に関してもっとも問題なのは、「闇金だとわかっているのに借りてしまう」ということです。先にも記したように、正規の貸金業者は総量規制による貸付上限を守らなければいけません。仮に他の業者で借金を重ねていた場合、新たにお金を借りることは規制により不可能となっています。それが、次に説明する「総量規制」です。
総量規制
総量規制は2010年6月に施行された借入金額の上限を制限するもので、年収の3分の1までしか借り入れすることができないという規制です。
この規制ができる以前は、高額な借金をするのは無理でも、複数の借入先から借金を重ねることで、結果的に多額の借り入れをすることができました。これがいわゆる「多重債務」です。この多重債務者になってしまったことで自己破産という結末を選ぶ人が増加したため、貸金業法が改正されました。借入額の「総量」を税込年収の3分の1までと定めたのです。
ちなみに、クレジットカートでのショッピング分割払いなどは、これに含まれません。「割賦販売法」という法律が適用されます。車のローンや住宅ローンも含まれません。使用目的が決められていない借金に対してのみ、総量規制が適用されます。
この総量規制によって、どこの貸金業者からも借り入れをすることができなくなり、「たとえ闇金だとしても、お金を借りないとどうにもならない」という事態に陥ってしまう人が増えています。消費者を守るはずだった総量規制が、闇金などの悪徳金融業者を助長する結果につながっているのでは、という声は広く根強く聞かれます。
しかし、このような状況に陥ってしまったとしても、闇金には手を出してはいけません。状況が悪化するばかりでなく、違法行為を厭わない闇金業者の取り立てや、雪だるま式に増える借金で首が回らなくなってしまいます。
繰り返しますが、絶対に闇金からお金を借りてはいけません。
株で借金をしないためのリスク対策5選
大きな借金を作ってしまうかもしれない株式投資。では、株で借金をしないためにはどんなリスク対策が取れるでしょうか。以下ではリスク対策として5つ紹介します。
まずは冷静に、借金額を見つめよう
借金をしないためのリスク対策を紹介したいのですが、その前に、万が一株で借金を作ってしまった場合のことをお伝えします。
ここで大事なのは、すぐに借金を取り返そうと無理するのではなく借金額を冷静に見つめることです。借金額はいくらなのか。今の状況から完済するには何ヶ月かかるのか。リスクがない形でお金を稼ぐアルバイトなどはできないか。
現状をしっかりと見つめて対策を練っていきましょう。
家計簿をしっかりつける習慣を。生活費を冷静に見つめよう
株で借金をしないためには生活の余剰資金でのみやることが大切です。これは貯金とはまた別の考え方で、「数年方っておいても問題ない資金」のことです。3年間貯金し続けられる金額と考えるとわかりやすいです。
そして余剰資金を把握するためには日々の生活費を把握する必要があります。
毎月どれくらいのお金を使っていて、どれくらい貯金できているのか。知人の冠婚葬祭などで出る急な出費は別で確保しておく、など家計簿をしっかりつける習慣がリスク対策になります。
短期取引の人は「ギャンブル依存症」という自覚を常に持とう
株式投資の中でも特に短期取引の場合は、「ギャンブル依存症」という自覚を持っておくことが必要です。株価を短期的に予測することはほぼ不可能とまで言われいて、短期取引をしている人はギャンブルをしている人とほとんど変わらないと言われます。
実際、ファンダメンタル分析はあてにならないことが多いです。
テクニカル分析に特化して短期取引で着実に利益を出している人もいますが、
実はそういう人ほど「これはギャンブルと変わらない」という意識でいました。
短期取引をする人の中にはすぐに結果がわかるからいい、儲かるか損するかそのスリルがいい、という人もいます。ここに思い当たる節があるなら「ギャンブル依存症」という自覚を持つことが大切です。
自覚があるだけで、過度な投資は避けることができるからです。
ローンがある人は特に注意
ローンがある人は、収入の中からその返済にあてるための資金を用意しなければいけません。そのため使える資金が少なくなってしまうのが普通なのですが、
「利息よりも高い利回りで運用できれば効率的だ」と考えてしまうことがあります。
そうなると返済にあてるはずだったお金を投資に回してしまうことになり、結果としてよりお金を減らすことにつながるからです。
ローンがあるとそれを早く返そうと無茶な判断をしてしまいがちです。ですから、ローンがある人ほど注意する必要があります。
安全とは言えない短期取引
短期取引の場合、必然的に値動きの激しい銘柄を中心に扱うことになります。そうしなければ、手数料も含めて利益を出すことが難しいからです。
そのため短期取引の場合、値上がりすれば利益もそれだけ大きくなりますが、同じだけ値下がりすれば大きな損失を出してしまいます。株の短期保有であれば、長期取引よりも安全だと言われていますが、実際は、暴落の危険性を含んだ銘柄であることも多いです。
短期取引だからといって安全とは言えません。むしろハイリスクだと考えて慎重に取り組みましょう。
キャシング・カードローンにはなるべく手を出さない。
手軽にできる借金の方法として「キャッシング」があります。クレジットカードにキャッシング機能が付いている物も多いので、お買い物をする感覚でお金を借りて、それを株式投資の資金に充ててしまうという人は、後を絶ちません。
キャッシングで借りたお金の用途は自由ですので、株やギャンブルなどに使っても法的には問題ありません。ですが、キャッシングの利率はたいてい16%から18%となっています。この利率でお金を借りるということは、これを上回る利回りを株式投資で出さなければいけないということです。この数字をコンスタントに叩きだすのは、株式市場のプロである機関投資家でも難しいというのが現実です。
これだけの金利でも利益を出す自信があるのならキャッシングも有効だと思いますが、そもそも、それだけの腕があるのなら、キャッシングをしなければならないような事態にはなっていないでしょう。過去にたまたま大きな利益を得たことで気が大きくなっている、あるいは、その時の快感が忘れられない、そのようなことではないでしょうか。
確実に金利を超えるリターンを得られるという根拠がない限り、キャッシングは株式投資の資金調達方法としておすすめできるものではありません。
株による借金のまとめ
株式投資をする上で何よりも重要なのは、徹底したリスク管理をすることです。予想外の暴騰や暴落は、株式市場においては日常茶飯事なのです。
もし、自分の保有している株がこのような値動きをした場合、信用取引であれば一瞬にして多額の借金を抱えるといった結果になる可能性もあります。これは運が悪かったわけではありません。株で借金を背負わない人は、銘柄選択眼や売買タイミングの読みよりも、リスク管理が上手なのです。
わずかな資金で多くの投資をすることができる信用取引は、株式市場の活性化という点では、その一翼を担っている面が少なからずあります。しかし、安易に手を出すのは危険です。リスクとリターンの比率を常に考慮し、最悪の事態が発生した時に資金がマイナスになるという悲劇を避けるための徹底した資金管理と強いメンタル、これらを兼ね備えた人でなければ、信用取引の利用は避けるべきです。
いつか株価が上がるという曖昧な根拠によるナンピン、過去の「偶然による」大儲けの記憶が消せずに次々と個別銘柄に資金を注ぎ込んでしまう大量買い、これらは全て借金の引き金となります。
これまでの勝ちが偶然であったかどうかの判断は容易です。借金をしなければ株式投資を続けられないといった状況になってしまった時点で、すでにそれは実力ではなく、たまたま勝っていただけなのです。
有名な投資家は必ず何度か破産しているという言い訳をする人もいるでしょう。ですが、その影では、膨大な数の名もないトレーダーが借金によって散っていったという事実が黙殺されています。
トレーダーの中には、闇金からお金を借りてまで株式投資を続けるような人も存在します。こうなると、もはやトレーダーでもなんでもない、ただの依存症です。
株で負けたお金を株で取り返そうとしてはいけません。負けを認めることもまた、トレーダーとして重要な素質なのです。ここで紹介したような債務整理の方法で資金の再生を図り、何年かかってでも再び自己資金で株式市場に戻ってくれば良いのです。株式市場は逃げたりしません。
「今が絶好の儲けのチャンス」と借金を重ねる人もいますが、このようなタイプも株式投資には向いていません。株で勝つためには何年に一度のチャンスよりも、なんでもない毎日の中に勝機を見いだせなければならないからです。
株式投資に限らず、ギャンブルの勝者は過去の「負け」を忘れることができずに苦しみ、敗者は過去の「勝ち」の余韻を引きずると言われます。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議な負けなし」
この言葉は、真実を突いているのです。借金をする前に、もう一度冷静になって考えてみてください。
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