株の出来高とは
株の出来高とは、株の売りと買いの数のことを指す。売買高とも言う。
出来高とは、売りと買いが成立した株の数のことを言う。人の数ではなく株の数であることに注意してほしい。投資家の中にはこれをとても気にする人もいる。
株の出来高とは
上記のように、株の出来高とは、株の売りと買いの数をさす。つまり、売り方と買い方が、その値段なら良いということで取引をするということだ。
「出来高」というのはいわゆる「株用語」。売り方と買い方の両者の納得によって取引が成立することから、売買高と呼ぶのが実際に近い印象だ。
そもそも株式とは、企業が資金を集めるために発行するもの。こうした資金を調達するためには銀行から融資を受けるのが一般的だが、投資家から出資を募るという方法もある。
この時、出資した人の権利を証明するために発行するものが「株式」、株式を発行した会社が「株式会社」、出資をした人が「株主」となる。
投資家は、この株を売り買いすることで資産を増やすという寸法だ。
この株式投資が、インターネットが普及したこと、少量の資金でも投資できるようになったことが影響し劇的に増えることとなった。現在では投資家は資産運用の手段として、特別なものではなくなっており、現在では主婦やOLなども参入している。
ここで、株の出来高とはどういったものなのか把握しておこう。
出来高が増加する要因
株の出来高が増加する要因には以下のような理由が挙げられる。
- ニュースや決算などの要因
何らかのニュースや好決算などが発表されることで、これまで取引されていなかった株の出来高が急速に増える場合がある。
こうなってくると、爆発的に出来高が増え株価も急上昇する。
こうしたニュースの一例としては、スマートフォンコンテンツやタブレットの新作発売などといったものが挙げられるだろう。
大きく上昇した後は、一旦株価と出来高は落ち着き、その後緩やかに上昇していく傾向にある。
- 銘柄の上昇に伴う短期投資家たちの戦場化
銘柄がニュースや好決算などにより人気化すると、出来高増加と株価上昇に伴い値幅が大幅(多い時で20%ほど)に変わる。
そうなると、短期投資家たちが参入し始め、一気に株価の変動が起こる。
この短期投資家たちは基本的にはニュースや決算などには興味はなく、出来高が増え値動きが起こったことを前提に動き出し、銘柄が盛り上がって人気化しているところで短期取引を行って利益を得ようとする。
そのような短期投資家の参入によって、その株はさらに人気化し、出来高も上がっていく。
- 株式分配などによる値段の変更
株が人気化すると当然株価は上がる。
上記のように銘柄が20倍になったと仮定すると、銘柄が1000円だったとすると20000円になってしまう。そうすると、最低取引単位が100株だったとして、その株を買うには2000000円も必要となってしまう。
このままでは、一般の投資家は手が出せない。そこで、株価を下げないために株式分配を行う。そうして20000円の株式を1:5の割合で分割すると1株4000円となり、100株でも400万となる。
こうなることで、値段も安くなり資金力のない一般的な投資家も参加しやすくなる。
人気化した売買が復活して出来高のさらなる上昇が期待できるのだ。
④完全な人気株化による素人投資家の参入
この辺りになってくると、すでに人気化した株に遅れて買いに参入する投資家が出てくる。いわゆる証券営業を通して買いに来たり、自分でネットを通して買ったりと取引形態は様々だ。
基本的に彼らのスタンスは中長期投資となる。そのため、一度買うとなかなか売りに来ない。株価が下がっても売らないので、一時的な株価下支え要因となってくれる。
- 外資系証券などの空売りの買い戻し
外資系証券も空売り(株式の価格が下がると利益が出る)を行う。
空売りを行うということは、株価が下がれば利益が出るが、逆に上昇したら損になるということである。ということは、外資系証券のような資金力のある期間ともなれば一つの銘柄の株価を下げるために大きな資金を使って空売りをして強引に株価を下げようとしてくる。
外資系証券は株価が上がれば上がるほど空売りを仕掛けてくるが、いくら資金力があっても市場の大きな流れに負けるときはある。
つまり負けたときに多量の空売りの買い戻しを行なってくるので、その瞬間資金が大量にその株式に流れ込んでくることになる。
このときには当然株価も出来高も再び大きく伸びることになる。
出来高と株価の関係性
出来高の上がるポイントを押さえたところで、出来高と株価の関係性について述べておく。
株価が個別企業の活力を表すモニターだとすれば、出来高はその裏付けとなるエネルギーといっても良いだろう。
市場人気を集めるようになると出来高は膨らみ、人気が衰えると出来高は下がる。そして、その後を追うように上昇・下落するのが株価である。
それでは、「出来高がよければ株価も上がるのではないか?(資産が増えるのではないか?)」というのが通説だろうが、そうはいかないケースもある。
ここでは、そんな一例を紹介する。
海運株の中で最も堅牢な商船三井の株価で見ていこう。
この商戦三井、2011年8月初旬から9月中旬までの約1ヶ月の間に、意味のある出来高増加局面は4回あった。
株価下落家庭で出来高が増加した8月初旬の「1回目の出来高増加」はいわゆる「投げ」が出たもの。
その後、8月中旬の「2回目の出来高増加」はザラバ(寄り付きと大引けの間に行われる商い)により1回目を下回り、翌日にはさらに大引けし最安値を更新している。しかし、その後出来高は膨らんでいない。これで、投げは1回目で出尽くしたと読める。
「3回目の出来高増加」以降では株価が戻り始めており、出来高の増加も1回目や2回目とは背景が異なってくる。ここでの注目は、買い方の台頭である。「株価が割安圏にきた」という相場観などから、株を買い始める人が出てくる。
そして、9月中旬の「4回目の出来高増加」がやってくる。ここで積極的な買い方をする人が増加すると、株価も上昇し始める。ここで、商船三井は出来高・株価揃って上向きに転じた。
このような売り方と買い方のちょっとした攻防が入ることで、出来高と株価は完全には連動しないことがわかる。「どこで買い、どこで売るか」の読み合いだが、「出来高は株価に先行する」のは間違いなさそうだ。
出来高と売買代金の違い
ここで、出来高と売買代金の違いについて明記しておく。
出来高と売買代金についての例えは、八百屋さんで例えてみるのが一般的だ。
1本100円の大根が5本売れたら、出来高は5本、売買代金は500円である。もしその八百屋さんで1個150円のトマトが10個売れたら、売買代金は1500円。
ここでその日、大根5本・トマト10個しか売れなかった場合、出来高は15個、売買代金は2000円となる。
この大根とトマトが、取引所の個々の銘柄にあたる。ここで、出来高だけが重要ではないということがお分かりではないだろうか?
むしろ、大切なのは売買代金の方である。値段の低い銘柄が人気なら出来高は増えるが、売買代金は増えない。もしも、1日の売買代金が大根、トマトの合計2000円のみだったら、その八百屋さんの商売は苦しくなる。
八百屋さんに1日2000円のお金しか入って来ないのでは大変なのと同じように、株式市場にも長い間2兆円以下のお金しか入ってきていないのが現実だ。
このため、昨今のマーケットは限られた資金量でトヨタ自動車などの主力株を手がけ、そしてトヨタの動きが鈍くなったら、出遅れている銘柄を次々を買い漁る。つまり、全ての銘柄を一斉に買うだけの資金量はないのだ。
このため、売買代金が増えないで、出来高が多い時は株価水準の低い低位株が買われていると判断できる。
出来高も、売買代金が多くなってきたら、外資系投資家などの新しい資金が入ってきたと判断していいだろう。
このように、株を運用していく上で出来高というものの重要性は言うまでもない。
しかし、先に述べたように「出来高と株価は完全には連動しない」ため、安易な運用は避けるべきだろう。
ここからは完全な経験則であるが、
- 株価上昇の初期は出来高も上昇する。先行期待で買いが買いを呼び、共に売りも出るため両者増加。
- 株価下落の初期過程では出来高が減少。売り逃した投資家が利食いを控える。買い方も一段の下げを期待して買いを見送る。
- 天井・大底圏では商いが急速に縮小する。天井圏では買い方が警戒感を抱き、売り方は強気になって売り渋る。大底圏では買いも売りも見送られる。
という法則があることは頭に入れた方がいいのかもしれない。あくまで、出来高は波なのである。
出来高は人気のバロメーター
1000円の銘柄を100株売りたい人が、同じ銘柄を1000円で100株買いたい人を見つけて売買が成立すれば、出来高は100株ということになる。
1000円で200株売りたい人が、1000円で100株買いたい人と売買をしても、売りと買いの株数が合致しないので、出来高は100株となる。
需要と供給が合致して、売買が成立したのが100株であるため出来高も100株になるということだ。
しかし、1100円で100株売りたい人がいたとして、1000円で100株買いたい人がいたとしても値段で合致していないため出来高は0株となる。売買が成立していないためだ。
株数と値段が合致してはじめて売買というのは成立するので、出来高というのは、テクニカル分析でとても重要な指標となる。
これは、Yahoo!ファイナンスの詳細ページだ。ためしにトヨタで打ち込んでみた。赤枠の部分が出来高となる。これは、15日に、約1000万株以上が取引されたという意味である。
これだけ需要と供給が起きたということがわかるのだ。これは、その銘柄の人気度を表すバロメーターのようなものと解釈すると良いかもしれない。
試しに、低位株のブロードメディアと比較してほしい。
この銘柄は、出来高が10万株にも満たない。トヨタ自動車と比べると100倍の差があることがわかる。
つまり、トヨタ自動車のほうが人気があり、積極的に売買が行われているという一つの指標となるわけだ。
出来高が高いということは、それだけ投資家の関心が高いことを意味している。
関心が高いということは、決算が良かったとか、上昇する材料が出たとか売買する理由があるということだ。そうなると値動きも大きくなる。
買いたい人や売りたい人がその銘柄に集まってくることになるので、売買が盛んになるのだ。株価が上昇する場合、出来高が増加する傾向になる。
まとめ
自分が普段保有している銘柄の出来高の平均値を出しておくと良いだろう。そこから、明らかに出来高が上昇している場合、何かしらの買い材料が出たり、決算が良かったりなどで売買が盛んになってきていることがわかるのだ。
そうなれば、上昇トレンドに突入する場合があるので、売りのタイミングを見て利益を得ることができるだろう。
チャート分析をして動きを見るのももちろん大事だが、この出来高の数字はそれと合わせて見ておく重要な指標として覚えておくとよい。
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