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はじめに
株式市場とは常に変動を繰り返していることは、大前提として存在している。しかし、これらの値動きにはある程度の理由から発生していることが分かっている上に、尚且つそれらはある程度想定される幅で変動するものである。
では実際にすべての値動きが想定される中で変動するかというと、それは勿論否である。そしてその想定値を大きく上回った値動きを、株の用語で「上振れ・下振れ」と呼ぶ。
では実際その上振れ・下振れとはどのようなものなのか。そういった基礎的な部分を本記事にて解説するので、株の初心者は是非一読いただきたい。
株の上振れとは
ではまず最初に上振れの概要から解説していこうと思う。
株の上振れとは
そもそも上振れとは「数値や指標などが想定しているものよりも上がること」と定義づけられている。では、株における数値や指標とは何を指すのであろうか。
株における上振れとはもちろん、企業の株価を指して使われることが一般的である。
では、株価における想定を上回った上昇とはどのようなタイミングを指すのであろうか。
そもそも株価における想定値というものが何を指すのかをまずは解説していこうと思う。
株価における想定値は幾つか存在しているが、その中でも有名なものは「コンセンサス予想」が挙げられるかと思う。
ではこのコンセンサス予想とは一体何なのであろうか。
株式市場において、個々の株式について複数の証券アナリストが出す1株あたりの純利益や株価のレーティングを集計し、それを平均した値の事を「コンセンサス予想」と呼んでいる。
言い換えればコンセンサス予想は、その時点における証券アナリスト・エコノミスト等の市場参加者たちの期待値を指しているともいえるだろう。
そのため、例えば某企業の公表利益がコンセンサス予想の値と大きくかけ離れた場合、株価は大幅に変動する。何故ならコンセンサス予想は、1株当たりの純利益や株価レーティングだけでなく、近年では債券相場や外国為替市場の動向などについても集計され発表されている。コンセンサスとは本来、意見や証言などの全員が一致すること・または全体の合意等を指す言葉であるが、こと市場におけるコンセンサス予想とは全員の合意から出すものではなく、予想される数値の平均値・最頻値を提示したものにすぎないのである。
ただ、もちろん一般に予想同士を結合することにより予想の制度は高まります。これは理論面からみても実証面からみても明らかにされています。そしてこの結合の最も簡素的な形が、平均値をとることで算出される「コンセンサス予想」である。
このコンセンサス予想であるが、様々な専門家の意見の集約ということもあり、市場の傾向を読み取るのに非常に有用なものではあるが
「市場を常に正しく読み取っているわけではない」
「長期的な目で見たときに相場の大きな転換点を読み違えやすい」
等の批判がある。
長くはなったが、上振れとはコンセンサス予想に限らず、それら様々な想定値・予想値を超えた値動きをした際に言われる株の値動きの種類であるといえるであろう。
では実際にどのような際に上振れは発生するのであろうか。
次項ではそれらの具体例を挙げていこうと思う。
上振れの発生する原因
では実際に上振れとはどのようなタイミングで発生するのであろうか。本項では具体例も兼ねて解説していこうと思う。
上振れを引き起こす要因のうち、外的要因としては国家施策における経済の加速や、内需拡大などが挙げられるだろう。
例えば、単純に国内ないし国外含む世界的に好景気の波が来ているのであれば、株価もそれに比例して上昇するであろう。そしてその上昇値が先述した予想などより大きく上がった際、それは上振れと言えるであろう。
また、上振れを起こしうる内的要因としては、もちろん企業内での業績が好調になるなどの要因が挙げられるであろうが、これは外的要因が機に起こる上振れよりもケースとしては少ないと言えるであろう。
というのも
「業績発表の内容が良かったにも関わらず株価が下落した」
「業績にプラス要因として考えられる商品がリリースされたのに株価は上がらなかった」
等のケースは珍しいものではない。
これらの株価変動を起こす原因は「その銘柄の価値として業績がいいことが大前提である」ということから起こりうる現象なのである。
単純に株価が上がる要因というのは、細分化すればキリが無いが、理由としてはただ一つである。
それは「特定の銘柄に買い注文が集まり、その勢いが売り注文を上回る」という場合のみなのである。
であるため、特定の銘柄に買い注文が集中する理由を考えることは必要ではあるが、そこばかりに気を取られても仕様がないのである。
そのため、上振れの発生する要因を長々と説明したが、結局は
「誰も想像しない程に買い注文が集まり、それを起因に株価が想定以上の上がり方をする」
という所に尽きるのだ。
そのため、元々業績の良い企業が更に業績を上げるのでは、上り幅は誰も想像しえないものであるかと言えば否であるが、業績の悪かったないし知名度のあまり高くなかった企業が好転しうる発表をした場合、その上り幅は大きく想定値を上回り、「上振れ」と呼ばれるほどのものになるのだ。
では実際に上振れから株式投資において利益を出すためにはどうするべきなのであろうか。
次項ではその解説を進めようと思う。
上振れから利益を出すためには?
上振れから利益を出すための方法であるが、これは言わずもがな難しいことではない。
その方法は「所持していた株が上振れした際に売却をする」という一点に尽きるであろう。
簡単なことのように言ったが、その実これは非常に難しいことでもある。
それは単純に「上振れは誰も予想できないから上振れである」という所に帰結する。
そう、それは株価予想のプロをも出し抜くことが無き限り、上振れを予想して買い、上振れに気づいて売る、という事に他ならないのである。
なので、現実的なことをいうのであれば、自身の所持している株が「うっかり」上振れをするという機会以外に、上振れの恩恵を受けることは困難なのである。
さらにその上、その株価上昇が上振れだと気づかず、企業の急成長であると勘違いした場合、上振れ後に下落するリスクを加味せずぬか喜びをしているうちに、結果株価は元に戻るか、それ以下の金額まで下落する可能性もあるのだ。
そのため、上振れで利益を出すということは、運しだいになるうえ、狙って利益を出すというのは非常に困難なのである。
勿論上振れの恩恵にあずかることが出来れば大きな利益を出すことも可能だが、それは副産物として考えたほうが良いだろう。
株の下振れとは
ここまでは株の上振れについて説明してきた。上振れが想定以上の株価上昇を指すのであれば、想定以上の下落が勿論存在するということに他ならない。それが「下振れ」である。
そこで本章では想定以上の株価の下落を指す「下振れ」について解説していこうと思う。
株の下振れとは
先ほど上振れの章にて解説させて頂いた内容を読んでいただいた方であれば凡そ想像がついているかと思われますが、株式投資における下振れとはつまり「想定以上の株価の下落」を指す言葉である。
基本的に通常のキャピタルゲインをメインに株式投資を行っている投資家であれば、株価の上昇はプラス要因にしかなりえないことがほとんどだが、下振れが発生するとなるとそうはいかないだろう。
下振れとは先述したとおり「想定値以上の株価の値下がり」を指す現象である。それはすなわち、株式投資のプロたちであっても想定しきれない大幅な値下がりを意味する。
これは後述するが、下振れの発生する原因を考えれば考えるほど、その値下がりは尋常ではないものになりえるのだ。それはつまり、先述した株価の値上がりの逆要因である「売り注文が買い注文を大幅に超えて発生する」ことにほかならず、下振れの発生した株の価値が株価という観点以外から見ても大幅に下がってしまったことを指しているのである。
株の下振れが発生する原因
前項にて下振れは株の価値が大幅に下がることを意味すると記述したが、原因を考えてみると、何も企業の責任と一概に言えるものではないのだ。
たとえば下振れの発生する要因の一つに「国の信用不振」という面もある。
これは企業がどうであるという話だけではなく、国の方針にその企業が則っておらず、また、国の施策に対して不利益を被る企業に対しても、想定値以上の値下がりは発生するのである。
また、その他にも下振れとは少し変わってきてしまうが、例えば国内にて大災害が発生したとする。もちろんそうなってしまえば国内の株価は大きく変動するだろう。
例えば記憶に新しい東北大震災を例に挙げてみよう。
東北大震災で非常に大きく株価が下落した銘柄と言えば「東京電力」株であるだろう。これは福島原発の一件が大きく影響し、株価が大幅な下落をしている。これはプロの投資家であろうが何であろうが想像などできようもないものであり、下振れと呼ぶには少々ふさわしくないが、想定値以上の大幅な下落として非常にわかりやすい一例であるともいえる。
しかし、東北大震災では大幅な下落をした株だけではないことも同時に覚えておくべきだろう。
東北大震災を機に株価が上昇した銘柄というものも少なからず存在している。その中でも最も大きな上昇率を記録したのが「住友大阪セメント」である。
この銘柄は、コンクリート製造物のセメント修復を得意とする企業であり、復興の特需を見越して大きく株価を上昇させた銘柄である。
また、東北大震災では同様に大手ゼネコン系の銘柄が軒並み株価を上げていることからも、同様の大きな出来事であっても、下がる株があれば上がる株がある、ということに他ならないのである。
下振れから利益を出すためには?
下振れから利益を出すには、と銘打ってはいるが、実際に自分の所持している銘柄が下振れしてしまっては、下振れからの株価上昇を見越してナンピン買い等して持ち続けるか、早々に見切って損切をするかの2択を迫られるだろう。
しかし、先述した通り、下振れをする銘柄があるということは、上振れをする銘柄があるということでもある。
例えば自動車メーカー2社が競合他社として鎬を削っている場合、片方の銘柄が大きく値を下げた場合、もう片方の競合が値を上げる、ということは少なからずケースとして存在している。
そのため、下振れする株を予想して先に空売りをする、といった非現実的な話をすることは無く、自分の所持している株は勿論、自分の所持している銘柄の競合他社や関連株についても造詣を深める必要があるのだ。
株は不要な知識などはなく、ましてや株初心者であれば勉強は常にし続けるべきなのである。
まとめ
株の上振れ・下振れについて解説させて頂いたが、如何だっただろうか。
本サイトでは同様に株初心者に向けた情報を発信する記事が多数存在している。
自分が未だ株初心者であるという自覚がある方は是非、他の記事を併せて読んで自分の造詣を深めることをお勧めさせて頂く。
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