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はじめに
当面の資金繰りにも困っている政府が後押しする資産運用としては、主にiDeCoとNISAの2種類があります。iDeCoの場合は年金という形での長期運用である一方、NISAの場合は少額資金での短期投資を想定しています。NISAの場合はいくつかの注意点をきちんと考慮しながら運用することで、株式投資の利益に対する節税対策としても役立てることができます。
そこで、今回の記事では、NISAで資産運用するのにおすすめできる証券会社および銘柄の選び方について解説します。少額でもできる資産運用の方法を勉強したい方は、手始めにNISAの情報について知識を深めてみることをおすすめします。
そもそもNISAとは?
NISAとは
NISAとはそもそも「少額投資非課税制度」の略称であり、非課税投資枠内での投資によって得られた利益については課税が免除される制度となります。
このNISAにも実はモデルがあり、イギリスのISAがこれに該当します。ISAはイギリス国内において1999年より導入された制度なのですが、イギリス国民から今なお高い支持を得ている国策となります。また、近年では20歳未満から利用できる「ジュニアNISA」や、2018年から施行予定である「積立NISA」という、従来のNISAとは異なる投資方法を援助する制度も出てきました。この記事では最も基本的なNISAについてのみ言及しますが、興味がある方は調べてみてもいいかもしれません。
話はそれてしまいましたが、NISAで得られた利益は課税が免除される他にも、口座の種類による優遇が受けられる場合もあります。NISA専用ではない普通口座や特定口座での利益であれば、年間20.315%の税金が課税されてしまいますが、NISA専用口座であれば課税が一切されません。そのため自分の手元に残る利益が、上記した一般口座よりも多くなることもあるのです。
つまり、120万円以内での株式投資によって得られた利益であれば、非課税の対象金額となるので確定申告の必要はないという訳です。NISA運用による株式投資では、利益が出れば出るほど節税効果が表れると理解しておけばいいでしょう。
非課税投資枠を活用するための方法
①1人1口座までの開設
NISA口座は原則、1人1口座までの開設となります。これはどの証券会社や銀行を利用しても同様ですので、NISAを複数口座で利用することはできません。
②株式投資か投資信託の新規購入のみ
NISAの対象として扱われるものは、株式投資か投資信託の新規購入のみとなります。たとえ同じ銘柄を売却して再購入したとしても、新規購入ではないためNISAが適用されることはありません。
③年間120万円以内で購入した金融商品以外では適用されない
NISA自体は年間120万円以内で購入した金融商品以外では適用されません。また非課税枠の上限との差額によりいくらか余剰が出たとしても、その金額は追加分として翌年には持ち越せず、毎年1月には120万円までリセットされます。
④金融商品を購入した年を含めた5年間しか適用されない
NISAの非課税期間は限られており、金融商品を購入した年を含めた5年間しか適用されません。これをわずか数日でも越えてしまうとNISAが失効されてしまいますので、購入した年度から5年を超過してしまう場合には特別な手続きが必要となります。
NISAを活用する上での注意点
・NISAで購入した株をすぐに売却する
・非課税ではない一般口座へと、保有する金融商品をそのまま移管する
・時価総額120万円以内であれば、翌年の非課税投資枠を活用することで継続保有が可能になる
最後の項目として記載した方法は「ロールオーバー」と呼ばれ、ロールオーバーで移した金融商品が120万円ぴったりであれば、翌年には金融商品を新規購入することはできません。また時価総額120万円以上に値上がりしている場合であれば、全額ロールオーバーは当然できませんのでその過剰分を売却するか、もしくは一般口座へと別途移管する必要があります。
その一方で、ロールオーバーした金額が120万円以下であれば、その余剰の範囲内での新規購入は可能となります。例えば30万円のロールオーバーをした場合であれば、差額分の90万円以内での新規購入はNISAの対象として扱われるということです。
ただし、5年を過ぎてなお何の対処もせずに放置してしまった場合には、課税対象内の特定口座へと強制的に移管されることになってしまいます。これでは、せっかくのNISAが失効してしまいますので、この点は注意しておく必要があります。
ここまでの内容をきちんと踏まえたら、次は、利用する証券会社の比較と新規購入するための銘柄を選んでいきます。
NISAでおすすめ証券会社と銘柄
おすすめの証券会社
株式投資でのNISA運用を想定するなら、まずは証券会社に新規口座開設をするのが必須となります。手数料や品揃えの面では確かにネット証券がおすすめですが、ネット証券ではNISAの説明を十分聞くことができません。NISAを利用した資産運用の方法を時間をかけて直接聞きたい場合であれば、証券会社に直接出向いて口座開設する方がより理にかなっています。
その際に、大手証券会社を利用することで投資信託という選択肢も増やせる他、コストの安いネット取引も併用できる場合があります。ただし、NISAでは株価の変動に弱いというデメリットがあるため、株式投資する銘柄や金融商品はその点を踏まえて選ぶ必要があります。また、証券会社の中にはNISA向けのキャンペーンを実施しているところもあり、手数料無料を謳う証券会社も少数派ながらあることは確かです。
そのため、以下の条件を加味して証券会社を選ぶといいかもしれません。
①売買手数料の安さ
②NISA向けキャンペーンの有無
③金融商品の品揃えが豊富か
ただし、NISA専用口座を開設するためには、その証券会社において総合口座を別途開設していることが条件としてあります。そのため、NISA運用を終了してなお投資を続けて行きたいと考える場合であれば、総合口座に関する手数料の安さも、併せて確認しておきましょう。
NISA運用で、おすすめの銘柄
NISA運用のための銘柄選びをする前にまず注意しておきたいのが、NISAを活用する際のメリットです。 NISAを運用することで購入価格からの値上がり分による利益と、長期投資による配当金が課税の対象外となります。
そのため、長期投資のメリットである株主優待だけがいくら充実していてもそもそも株主優待では課税されませんので、株主優待だけに特化した銘柄はNISA向けであるとは一概に言えないかもしれません。
また、NISAでは利益と損失を相殺できる「損益通算」の対象外である側面から、その銘柄を保有する会社の業績が慢性的に右肩下がりの場合には、配当金や株主優待が充実していても、NISA用の銘柄として選択するべきではないでしょう。
その他にも、一般口座では受けられる3年間の損失繰越が適用できないこともあり、損失を被った年でも課税対象として扱われてしまうデメリットがあります。NISA口座とNISA以外の一般口座を併用する場合には、NISA運用では損失の繰越控除が受けられない点にも注意する必要があります。
NISAおすすめの判断基準
NISAの非課税期間は基本的に5年間で終了するため、その期間の長さを活かせる銘柄を選ぶ必要があります。株初心者が特に狙いたい銘柄の判断基準としては、高配当が期待できるものがおすすめです。NISA運用により新規購入した国内銘柄であれば配当金が非課税になり、かつ株主優待も問題なく受け取ることができます。
この、高配当という判断基準とともに資産運用が安定している企業を選ぶことが大切です。
例えば、ROE※1やROA※2の数値も併せて確認することで、借金を含めた総資本や株主資本をいかに効率良く運用できているかを判断することができます。
ただし、配当金を非課税で受け取る上で、さらに1点だけ注意すべきことがあります。配当金に関する受け取り方法を「株式数比例配分方式」に、あらかじめ設定しておく必要があります。
株式数比例配分方式 | 自分が保有している国内銘柄の配当金を、各証券会社における預かり数量に応じ、証券会社の口座で受け取ることができるサービスとなります。 |
※1 ROE(株主資本利益率):株主による資金が、企業の利益にどれだけつながったのかを示す指標。
※2 ROA(総資産当期純利益率):会社の総資産を使ってどれだけの利益を上げることができたのかを分析するための指標。
まとめ
NISAは、株価の値下がりに対する対応力には欠けるものの、資金源が少額になりやすい兼業投資家では非常に有意な資産運用の方法ではあります。
ルールが多少煩雑な点はありますが、一度理解してしまえば後は一般の株式投資と同様です。
少しずつの資金からでも将来の資産を蓄えたいと望む方は、この機会にぜひNISA運用を検討してみてはいかがでしょうか。
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