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株を始めるその前に
株式投資を始めたい!早速口座を開設して取引してみよう。その行動力は素晴らしいですね。ですが、水を差すようで申し訳ありません。ちょっと待って下さい。
株を始めるその前に、あなたに知っておいてほしいことがあります。
一つずつ紹介していくので、それぞれ答えを出せるか自問自答してみてください。
株を始めるその前に①:なぜ株を始めるのかの理由を考える
あなたが株を始めようと思った理由を改めて考えてみてください。
今の会社の給料では足りなくなったからですか?
給料が上がらず将来に不安を覚えたからですか?
年金などあてにならないと感じたからですか?
それとも、余暇の趣味としてですか?
株をはじめる理由は人それぞれです。
どれが正解ということはありません。どんな理由だったらいいというものでもありません。ただ、これから副業であろうと専業であろうと、個人投資家として活動していくことを決めたなら、
あなたが最初に株を始めようとした理由を改めて考えておくことは大切です。
株式投資はいつも勝てるとは限りません。
投資にリスクはつきものですから、勝てるときもあれば負けるときもあります。
そして株で負けた時、始める理由が明確になっていなければ「なんだかやる気がなくなった。」と辞めてしまいます。せっかくはじめた株式投資なのに、それではもったいないです。
株式投資はしっかりと勉強し、正しく運用すれば、副業の個人投資家だとしても専業になることができます。
そして一般的な定年退職より早いタイミングでリタイアすることができ、しかも年金をもらうよりも多くのお金を使って生活していくことができるでしょう。
きっとあなたも株式投資を選んだということは、その魅力に感じた部分があるはずです。そして、実現したいライフスタイルや願望があるはずです。
うまくいかないことがあっても、理由を明確に意識することによって心を折らずに続けることができます。失敗も経験として、次の取引に活かすことができます。
ぜひもう一度、株を始める理由について考えてみてください。
株を始めるその前に②:株の最低限の知識を持とう
株式投資は、証券会社で口座を開設し、資金を入金すればすぐに株式取引をすることができます。2週間もあればどの証券会社を選んだとしても取引を開始することができているでしょう。
ですから本当に、何の知識がなかったとしても株取引が出来てしまいます。そしてビギナーズラックで、利益を出せるかもしれません。
ですが、株を始める前に、株の勉強をしておいた方がいいのは確かです。専門的すぎる必要はありませんが、株式投資とはなにか、どうして価格が変化するのか、利益の出し方は何があるのか、基本的な知識は身に付けておいた方がいいです。
何も知らずに行き当たりばったりでやるのもいいです。自分で手法を編み出していく過程は面白いでしょう。ですが、最低限の知識を持っておくことで避けられる失敗もあります。
知っていれば10,000円の損失を抑えられたのに、知らなかったばかりに10,000円損したとなるのは悔しいです。
そもそも株式投資というのは、企業が資金集めのために発行した株を証券会社や証券取引所を通じて直接購入して、その企業の株式を保有することをいいます。
金融の世界では直接金融と間接金融というのに大きく分かれますが、この株式投資は直接金融になります。
たとえばあなたがトヨタの株を購入したとすれば、それが全体のほんの一部の割合だったとしても立派なトヨタという企業の所有者、オーナーとなります。この資本主義の世界で会社は株主のものというのが通例ですから、トヨタがあげた利益の一部を配当として、保有している株式の数に応じて受けることができます。
また配当を得られるのは、株主権利確定日に株式を保有していることが条件なので、買う前に確認するようにしましょう。
私たち個人投資家が取引できる株は上場企業の株式に限定されています。
「株式会社~」という企業はどこでも株式を発行していますが、市場では売買されません。たとえあなたが応援したい企業があったとしても、そこが上場企業でなければ市場を通じての株式の保有はできないことになっています。
さらに株式投資の基礎知識として知っておいてほしいことは、稼ぎ方についてです。株式投資では大きく3つの手法で稼ぐことができます。
1つ目が株価の変動による差額から収益を得るキャピタルゲイン
2つ目は株式を保有していることによって企業があげた利益の一部から還元されるインカムゲイン
そして、おまけとして3つ目に株主優待があります。
投資家の多くは、株式投資で利益をあげるためにキャピタルゲインを狙います。
チャートをみたり、企業から発表される情報を集めて分析し、本来あるべき価格より安値で売られている銘柄を見つけて、
そのタイミングで買い、株価が上がったタイミングで売って利益を確定させます。
キャピタルゲインは、保有している株式の10%や大きい場合は50%の利益を狙えますが、インカムゲインの場合は2~3%程度が相場です。
それでも銀行口座に眠らせておくよりよっぽどマシです。
またキャピタルゲイン目的で買った株式は、大きな利益を出す可能性もありますが、同じだけ大きな損失を出す可能性があります。
一方で、インカムゲインならば会社の利益が大きくなれば増えますし、悪くなれば減りますが、配当に関して追加で資金投資が必要になることはありません。
確実な利益を狙うならインカムゲインの方がいいでしょう。
株を始めるその前に③:自分にあった投資スタイルを探す
スタイルには大きく長期投資と短期投資の2つがあります。
長期投資の中には、長く銘柄の株を保有して、じっくりと株のキャピタルゲインを狙う投資法です。その会社の成長を見守るという考え方もあるので、目先の値動きにとらわれる必要がありません。
気にしないとはいっても、リスク管理のために最初は買っても値下がりにしにくい銘柄がおすすめです。
そのためには周囲の経済状況や会社自体の業績の分析も重要になりますし、チャート分析も慎重に行うことが求められます。
ウォーレン・バフェットという有名な投資家も、このスタイルの投資を行っています。
もう1つの短期投資は、短い期間での利益を狙います。短期投資の代表例がデイトレードです。1日のうちに売りと買いの決済を終わらせて、翌日に持ち越すことはしません。売買タイミングを見計らうために市場が開いている間はずっとチャートを見て、取引する集中力が必要です。
この場合、会社の業績や経済状況はあまり意味を持ちません。何よりも「今」の値動きを重視するので、チャートが中心の取引となります。
とにかくチャート分析で売買タイミングを計り、利益をあげていきます。1日に何度も取引をするので、その1回1回の結果に一喜一憂しない精神力も大切です。
「イングランド銀行を潰した男」ジョージ・ソロスや、「ジェイコム男」BNFさんなど短期間で数億円単位の利益をあげる投資家が有名です。
株を始めるその前に④:株式口座の選び方
投資スタイルを決めたら、次に口座開設をします。証券会社によって取扱銘柄や手数料、ツール、提供される情報量に差があるので、慎重に検討することが大切です。
ですので口座を選ぶときは、短期投資か長期投資か以外にも、より具体的に
・国内株を扱うのか外国株や投資信託を扱うのか
・国内株を扱うとしても東京証券取引所だけでいいのか、名古屋証券取引所や札幌証券取引所、福岡証券取引所の銘柄も取引するのか
・取引代金は1回あたりいくらなのか。1日ではいくらなのか。
・1日何回くらい約定する予定なのか
・NISA口座で運用するのか、一般や特定口座で運用するのか
というようなことを念頭におきながら、各証券会社を比較していきます。
デイトレードを投資スタイルとして選ぶなら、1日定額で手数料が決まっている証券会社の口座を開設するようにしましょう。手数料は、1回1回は取引額に比べたら大したことないかもしれません。
ですが何十回、何百回と取引を繰り返していると馬鹿にならない金額になります。1回の取引金額が少ないときには手数料が安かったとしても、運用を続けて資産が増えて、1回の取引額が多くなると手数料が割高になることもあります。
1度口座を開設したから、ずっとその口座で取引をし続けなければならないわけではありません。あなたの投資スタイルが変わったり運用額が変わるなどしたときに都度、口座も見直すようにしましょう。
そしてこれから株を始める場合、大まかなスタイルが決まったら、特別なこだわりが無い限りは基本的に手数料が高いか安いかだけでどこの口座を開設するか判断しても大丈夫です。
その口座で取引を繰り返しながら「もっとこういうツールがあったらいいのに」「この銘柄を扱いたい」「もっと投資に関する情報がほしい」となったら、そのときの要望にあった口座を開設するようにすれば無駄がありません。
株を始めるその前に⑤:株の勉強方法をイメージしておこう
株式投資を始めたら、ただ取引をするだけでなく株について勉強していくことが大切です。そしてこの勉強に終わりはありません。
まずこれから株を始める方が大切なことは「勉強時間を確保する」ことです。
今までの生活にプラスして株式投資を行い、勉強をしていくことになるので、今までと同じ生活をしていては時間ができません。
意識的に時間を作らなければ勉強する時間が取れず、ただなんとなく取引をし続け、負けて退場ということになってしまいます。
1日1時間でもいいです。会社の人と飲みに行く回数を減らしたり、テレビやYoutubeを見る時間を減らしたりして、勉強する時間を捻出するようにしましょう。
それでは具体的な勉強内容ですが、まずは基本的なファンダメンタルズ分析やチャート分析について学びましょう。株式投資では成長する会社に投資することが大切です。
ファンダメンタルズ分析では、財務諸表などから企業価値を把握し、今その銘柄が割安なのか割高なのかを判断する指標なります。これによって成長企業を見つけて、投資銘柄を決めていきます。
ただ、ファンダメンタルズ分析では毎日の値動きと時差が出てきます。そのために短期的な投資タイミングを誤ってしまうこともあります。
そうらないように刻々と変わる株価を捉えて、適切な投資タイミングを見つける方法がチャートを使ったテクニカル分析です。
これら2つの分析手法は株式投資の基本となりますので、しっかりと押さえておきましょう。ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析について、入門書と専門書の2冊ずつ読み込めば、最低限知っておくべきことは身に付けることができます。
その後、実際の株式投資やリアルタイムの情報については、口座を開設した証券会社から提供されているセミナーや動画、レポートなどを資料として学んでいきます。そしてある程度勉強して、株価の値動きなどをある程度予測できると思えたら、実際に株式投資を行うようにしましょう。
株式投資は口座さえあれば誰でも取引できるので、勉強せずにはじめることもできます。もちろん実践しながら学ぶと身につけるスピードも速いですが、その分損を出してしまう可能性も高いです。
もし「今すぐ株式投資を始めないといけない!」という特別な事情がない限りは、口座を開設したあと、1ヶ月程度は株式投資の基本を身につけるために勉強することをおすすめします。
株を始めるのに必要なこと
ここからはより実践的な、株を始めるのに必要なことをお伝えします。
株を始めるのに必要なこと①:株の資金はいくらから始めるべき?
まず気になるのが、株の資金はいくらから始めたよいかだと思います。
これはあなたが取引したい銘柄を保有するのに必要な資金があれば、最低限それだけで始めてもいいです。
たとえば日産自動車の株は単元株数が100株に設定されています。
今この記事を書いているタイミングでの株価は1088円ですから、108,800円あれば株式を保有することができます。
株式投資をするのに数十万円~数百万円は必要だと思っている方も多いですが、実は、10万円もあれば始めることができてしまいます。
ただやはり株式投資をするのであれば収益を獲得することが目的でしょうから、それならば100万円程度あったほうが現実的です。値上がり益で5%獲得したとして、10万円なら5000円でも100万円なら5万円にもなるからです。
また株価が値下がりして保有している資産価値が下落する可能性もありますから、そうしたときでも落ち着いて対応できるように100万円は株の資金として準備しておきたいところです。
株を始めるのに必要なこと②:低予算ならミニ投資から
低予算で始めるならミニ株がおすすめです。株を購入するときは、単元株数という最低売買単位で買わなければなりません。
ですが、その単元株数が100株だったり1000株だったりして、皆が名前を知っているような大きな安定した企業の株式を購入しようとすればまとまった資金が必要になります。
そこまでまとまったお金がなかったり、資産のほとんどを1つの銘柄に突っ込みたくなかったりする方には「ミニ株」という方法があります。単元株数の十分の一で売買できる投資法です。
単元株数が100株の銘柄であれば、10株から買うことができます。
ミニ株を扱っている証券会社は限られていて、扱える銘柄も決まっていますが、これから始める方には投資に慣れる上で利用してみるのもいいでしょう。
ミニ株で投資をしている場合、株主優待については各社で決められた単位の株数を持っていなければ対象外になるので、株主優待目当てであればミニ株ではなく普通に投資するようにしましょう。
株を始めるのに必要なこと③:初心者必見の波乗り投資法とは?
波乗り投資法は下山敬三氏が考案した投資法です。ポイントはトレードする銘柄はたったひとつに絞り、損切りをせず、元本を分割することにあります。
ロスカットもせず、チャートも見ない投資法ということで話題になっています。特徴的なのは、下山氏自身が「株価は上がるか下がるかわからない、予想は外れる」という主張をしていることです。
多くの手法では株価を予想する目的で分析したり、ルールを設定したりしていますが、波乗り投資法は株価を予想できないという前提のもとで積み上げられた手法というのが独特です。そして、やることは非常にシンプルなので株式投資初心者の方にとっては必見の投資法です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
セミナーもありますが、書籍も出ているので興味があれば読んでみてください。
株を始めるのに必要なこと④:株は長く続けたものが勝つ
株式投資は長く続けたモノが勝つというのが鉄板です。それは、キャピタルゲインだけでなく、インカムゲインも株式から得ることができるからです。
たとえば、1株1500円の株を1000株買ったとします。
この株式の配当利回りは5%です。仮に株価が下落して1300円になると20万円の含み損になります。短期的に見ると20万円の損失は大きいです。ロスカットのためにすぐに売却を考えると思います。
ですが、配当利回りを考えてみましょう。
株価が1300円になったとしても配当利回りが変わらなければ、1株につき65円の配当金を受取ることができます。1000株あるので65,000円です。
つまり配当金での収益を考えれば
4年保有し続けると、20万円の含み損も配当のおかげで実際は60,000円の利益になります。10年保有し続けたら65万円の配当金です。
このことからも、短期間では含み損になったとしても、長期的には配当金で利益を出せるようなこともたくさんあります。業績によっては無配になる銘柄もありますが、慎重に検討すれば、最初からそういう銘柄に投資することも避けられます。
株は長く続けたものが勝つというのには、こういう原則も関係しています。
まとめ
株を始めるのに必要なことについて、この記事では紹介してきました。
株式投資は取り組みやすい反面、よく考えずに取引をして損失を出し、すぐに退場してしまったり、勉強しなかったりする方が大勢います。
特に会社員をしながら副業で株式投資を始めようという方にこういう傾向があります。
あなたがこれから株式投資を始めるならそうした一般的な個人投資家とは違う、
取り組む前から準備して最高のスタートダッシュをきれるようにしておきましょう。
この記事で紹介したことを順にやっていくだけでも、株式投資の基本を押さえて取引ができるようになります。
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