株価の変動を予測する大きな指標はいくつもありますが、その中でも特に重要な為替の動きについて説明したいと思います。
それと、海外の市場動向や見るべき重要な指標についても説明していきます。
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為替の動きと株価の関係性
ニュースを見ていると、女子アナが「円安ドル高」とか言っているのを聞いたことがあると思います。
これは、アメリカの1ドルが日本円でどのぐらいの価値があるかという為替の指標なのですが、この為替というのは、経済にものすごく大きな影響を与えています。
為替に大きく影響するのは、やはり貿易関係の会社です。
円高になると、輸出関連のビジネスに大きな影響ができます。
実は、日本というのは、輸出主導の経済状況となっていますので、過度の円高というのはマイナス材料になってしまいます。
例えば冷蔵庫10万円の商品があったとしましょう。
1ドルが100円の場合、この冷蔵庫はアメリカで1000ドルで販売されますよね。
これは、1000ドル=10万円という式がなりたちます。
しかし、もし1ドルが80円だった場合。
同じ10万でも1ドルが80円なので、1000ドル=8万円にしかなりません。
となると、2万円足りませんよね。
でも、それだと、日本では2万円分が損してしまいます。
アメリカ側からみたら、同じ1000ドルでも日本では2万円不足するわけです。
そうなると、利益が大きく下がってしまいますね。
それでは、こまりますから、日本円で10万にするために2万円プラスすると、ドルでは、250ドル上乗せが必要ですよね。
2万円を80円で割ると、250になりますよね。
つまり、プラス250ドル追加ということです。
そうなると、1250ドル=10万円となってしまいます。
すると、どうでしょうか?
輸入するアメリカ側からしたら、同じ商品なのに25%も高くなってしまいます。
そうなると、輸入しずらくなりますよね。
つまり、日本からの輸出がしずらくなるということになるわけです。
ですから、円高になると、輸出割合の大きい、自動車とか家電メーカーが敏感に株安になってしまいます。
逆に輸入産業は円高のほうがいい
では、すべてにおいて円高がマイナスなのかというとそういうこともありません。
輸出産業の場合は、痛手になりますが、輸入産業は逆に外国から安く商品を仕入れることができるようになります。
例えば、鉄鋼メーカーなどは原料を主に外国から輸入しています。
こうなると、安く外国から仕入れることができるので、業績的にはプラスに働きます。
今の日本は、円安ですよね。
ですから、今は、輸出が有利に働き、輸入は原料を高く仕入れているという状況となるわけです。
為替というのは、海外とのやりとりで必ず出てくる数字です。
円とドルだけではなく、ユーロと円や、世界にはいろいろな通貨があります。
ドルやユーロは大きな経済指標となりますが、中国の元やオーストラリアドルなどもあります。
株を学ぶ上で、為替についても知識を得ておくとより世界経済にアンテナが立つと思いますから、こちらの指標は常に注意しておきたいところですね。
海外の市場動向の重要性
アメリカは世界経済の中心にあります。
そんなアメリカの市場動向は日本にも大きな影響を与えています。
ニューヨーク市場の株が上がれば、日本の株が上がり、下がれば日本の株も下がる傾向にあります。
もちろん、アメリカだけが日本経済に影響しているわけではありませんが、やはり世界経済の中でもアメリカの影響力というのは無視できない指標となります。
まず、アメリカの景気状況は日本にも大きな影響を与えます。
日本にとってアメリカというのは、大きな貿易の相手国ですから、アメリカの景気が下がると日本経済にも影響が出ます。
そしても、もう一つ重要なことは、アメリカの投資家が仮にニューヨーク市場が暴落して損を出せば日本株を売って穴埋めをしてくるということです。
こうなると、やはり日本の株も下がってしまいます。
アメリカ以外の重要な国
世界の経済でアメリカの影響力というのは相当なものです。
しかし、近年は以前よりその地位は下がっています。
代わりに影響力を持ってきているのは、中国です。
アメリカももちろん重要ですが、中国の市場動向も同じく注意したいところです。
例えば、上海市場や香港市場も日本に大きな影響を与える市場です。
最近は、中国の株価が暴落しその影響が世界中に出ましたね。
このように、アメリカはもちろん中国などの市場も見て相対的に日本の市場動向も見ていくことで、より株式市場について理解が深まると思います。
ニューヨーク市場
ニューヨーク証券取引所はロンドンや東京都並んで3大証券所の一つになっています。
株価指数は、「ダウ・ジューンズ社」が代表的な銘柄を選定して発表する「ダウ工業株30種平均」がよく使われています。
チェックしておきたい重要な経済指標
重要な経済指標の一つに日銀短観というのがありますが、それ以外にも重要な指標がいくつかあります。
機械受注統計
内閣府が毎月設備用機械類の受注状況を調査さいた経済指標です。
主要な機械の製造業者を対象にしてどれだけの受注があったかを調査し集計された指標です。
これは、設備投資の先行指標として注目される指標の一つとなっています。
ただ、この指標は実際に金額的に大きな案件でも契約のあった月に計上されるので、次の月は反動で下がる傾向にあります。
ですから、単月だけの動きだけではなく、ある程度の比較期間が必要となる場合があります。
経済成長率(四半期)
これは国内総生産(GDP)の伸び率を表している重要な指標の一つです。
一定期間においての国民経済の規模の拡大速度をしめしています。
前年や前四半期と比べでどのぐらい増減したかをパーセンテージで表した指標です。
完全失業率
労働力人口(15歳以上)に占める完全失業者の割合のことです。
基本的には景気が悪くなると失業者が増えるので重要な指標の一つとなっています。
失業率(完全失業率)=(完全失業者÷労働力人口)×100
ちなみに、完全失業者の定義ですが、
- 仕事がなく調査中に一度も仕事をしなかった
- 仕事があればすぐに就くことができる
- 調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(求職活動の結果待ちも含む)
これら3つの条件を満たした人のことを言います。
鉱工業生産指数
日本の鉱業や製造業の活動状況を総合的に表す指標として経済産業省が作成し公開している経済指標の一つです。
鉱工業には、鉄鋼や電気機器、精密機器や食料品、たばこ、医薬品などなど数多くの品目が含まれています。
国のGDPに占める割合が大きいことで、景気の状況を知るために重要視されています。
市場関係者の予想を見る
これらの重要指標を見る際に、大事なのは、市場関係者がどのような予想を立てていたのかということです。
予想に大きな開きがあれば株価は大きく動く場合があります。
そのような見方で指標とチェックしましょう。
特に、チェックしておきたいのは、市場に大きな影響力を持つ、機関投資家の予想です。
経済シンクタンクや証券会社のHPで情報収集をしてどのような予想が立てられているかを事前に見ておきたいですね。
まとめ
株価の動向を見るために重要な多くの指標を紹介していました。
為替や、アメリカ市場・中国市場の動向。
そのほかの重要指標などなど、たくさんチェックするところがありますね。
株価というのは本当に何が起こるかわかりません。
絶対ということはありません。
しかし、このような多くの判断材料を持っておくことでその精度は上がります。
このほかにももっとたくさんの材料がありますが、まずはこれらの基本的な指標だけは押さえておくとよいでしょう。
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