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はじめに
株をはじめると一口に言ってもさまざまなスタイルの株トレード手法があります。自分の資金力や、使える時間によっても人によってどのスタイルが向いているかはすべて変わってきます。
この記事では、どのような種類の投資スタイルがあり、それがどういう人に向いているのかについて説明していきます。
デイトレード
言葉ぐらいは誰でも一度は聞いたことがあると思います。このスタイルは言葉通り、1日の中で取引を完結する取引手法で、場中に何度も取引を繰り返します。デイトレードには、「スキャルピング」(後述)という方法もあります。これは、数十秒から数分の本当に短い時間で、売買を繰り返す手法です
メリット
「一日の間に複数の取引機会がある」というのが、デイトレードのメリットです。トレードはその都度完結するので資金効率が良くなり、少ない資金で利益を得ることができます。
正しいトレード手法でも負けが続くことはあります。取引機会が少なければ、積み重なった負けが一時的に大きな損出となってしまいます。デイトレードの場合はトレード回数が多くなるので、1か月単位での成績は安定してきます。もちろん、トレード手法が間違っていれば安定して負けるので、ここは勘違いしないようにして下さい。
株の持越しがないというのも、デイトレードの大きなメリットです。どんなに短時間であっても、株を保有しているということはリスクを抱えているのと同義です。市場がクローズしている深夜の時間帯に有事があっても、保有株の売却をすることはできません。デイトレードは、どんなに長くても大引けの時点でノーポジになりますから、宵越しのリスクを抱える必要はありません。
デメリット
資金効率が良いということは、逆に言えば負ける時もあっという間ということです。連敗が重なると、驚くほどのスピードで資金が減っていきます。つまり、ハイリスクハイリターンということになります。これが「デイトレードはギャンブルに等しい」と言われる所以でもあります。
細かい売買を繰り返すので、手数料が嵩むという短所もあります。取引環境を整えなければならないので、初期の設備投資もかかります。高性能PCにマルチモニター、できれば最低でも6画面は用意したいところです。
場中はこのマルチモニターをずっと見ていなければいけません。これは精神的にも肉体的にも大きな負担となります。これもデイトレードのデメリットと言えるでしょう。
※資金の回転率というものを知っておきましょう
例えば50万円の資金を1銘柄に全部投資してた場合、その銘柄に投資している間は、その50万円でほかの銘柄を買うことはできません。
でも、その銘柄を売ってしまって現金にすることで新しい銘柄を購入することができます。
このように、株で資金を投入している時間が長ければ資金回転率が良いといい、短いと資金回転率が悪いといいます。
スキャルピング
スキャルピングとは、少ない利益を狙って、短時間で売買を何度も行う取引手法です。
数秒から数分のトレードを何度も繰り返していきます。予想と違えばすぐに損切りをして、コツコツ利益を積み上げていく投資スタイルです。デイトレードとスキャルピングは日中時間に余裕があり、ずっとチャートを見ていられるような人におすすめです。
メリット
トレード機会の多さは、スキャルピング最大のメリットです。値動きを上手く掴めば毎日コツコツと利益を積み重ねることができるので、わずかな期間で大きな利益を得ることができます。
相場があまり活発に動いていなくても少しの値動きで利益を上げられるということからも、デイトレと同じで常にチャートを見ているので突然の変動のリスクがないことも挙げられます。
デメリット
スキャルピングでは5分足、10分足レベルでのトレンドを見極めなければならないので、高度なテクニカル分析能力が求められます。しかも、それを瞬時に判断しなければいけません。コンマ何秒の差で損益が数万円違うということは当たり前のように起きます。
そのため、快適なネット環境も必要不可欠となります。外出先でノートPCやタブレットをWifiに繋いで勝てるほど甘くありません。短時間でのトレンドは秒単位で変化しますので、根気と集中力も必要です。トレンドが変わった瞬間を捉える相場観を養うことも重要になります。
スキャルピングで勝つためにはロジックよりもセンスや感覚が求められます。画面上にチャートを表示させなくても売買タイミングを見極めて素早く発注する反射神経、利益が出ないと思ったら手を出さない大胆な行動力なども、勝つために必要な要素です。一般的に、トレード時間が短くなればなるほど、高度なスキルが求められます。
こんな人におすすめ
デイトレとスキャルピングは日中時間に余裕がありずっとチャートを見ていられるような人がおすすめです。
それほど多くの資金がなくてもリスク管理をしながらトレードできるので、とりあえず株をやってみたいという人もいいですね。
専業主婦で株を始めてみたいという人はこのスタイルがいいかもしれませんね。
スイングトレード
数日から数週間程度で売買を終了させる取引です。デイトレードと違い、少し腰を据えて取引をするイメージです。短期間の相場の波やトレンドをみて売買していきます。
この手法はチャートに張り付いている必要がないので、サラリーマンなど、日中にリアルタイムで株価を見ることができない人におすすめのトレードです。
メリット
スイングトレードの最大のメリットは、取引時間に張り付いている必要がないということでしょう。超短期のデイトレードやスキャルピングとは異なり、仕事を終えた後、取引時間外にゆっくりと銘柄を選んだりチャートの分析をしたりといったことができます。
スキャルピングのように、発注のたびに反射神経を求められることもありません。逆指値の位置も時間をかけて計算できます。ロスカットの幅も大きめになるので、小さな値動きに敏感になることもありません。数日という短期での決済なので、リスク管理もしやすくなります。
デメリット
中長期保有のデメリットは、取引時間外の不測の事態に対応できないといった点です。海外市場の動き、為替の動き、企業の業績下方修正、突然の倒産などです。特に、企業にとって重要な発表は夕方から夜間にかけて行われます。上方修正の場合には、予想外の利益を生むこともあります。
株価は日々変動するので、昨日は含み益だったのに今日は含み損になっているといったようなことは頻繁に起こります。ここであわてて決済してしまうようなことがないような強いメンタルも必要です。逆に、含み益だからといって予定より早く売却してしまうことも禁物です。
スイングトレードは、証券口座に現在のポジションと含み損益が常に表示されている状況になるので、欲と恐怖に負けないようにしなければいけません。初めての方は日々数万円単位で損益が変動するような経験がないと思います。これはかなりのストレスになりますが、それもリスクのうちと割り切ることが肝要です。
こんな人におすすめ
チャートに張り付いている必要がないので、時間的に余裕があります。
サラリーマンなど日中時間が拘束される人におすすめなトレードです。
それでいて、数日という短期での決済なのでリスク管理もしやすくなります。
デイトレードなどで慣れてきたらこちらのスイングトレードをやって利益を増やしていくのもいいかもしれません。
ポジショントレード
こちらは数週間から数か月保有するタイプのトレード手法で、比較的長めに投入します。
スイングトレードよりもさらに大きな利益を狙う場合は、こちらのスタイルがおすすめです。
ただ、長期で保有していると、一時的な値下がりが起きたときに対応できるようにしておかないと、デフォルトしてしまう可能性がありますので、ある程度の資金力は必要になります。
メリット
例えば、株式投資に回すことができる余裕資金が200万円あった場合、その全額を1つの銘柄に投資した場合、リターンは大きくなりますが、リスクも同等に大きくなってしまいます。
ポジショントレードでは複数の銘柄に投資をするので、どれかが暴落しても、ほかの銘柄が上昇しているといった形になることが多くなります、リスクの分散、徹底したリスク管理という点では、優れた投資スタイルと言えるでしょう。保有している銘柄の数だけリスクは分散されることになります。
もちろん、保有する銘柄の業種はバラバラである必要があります。トヨタ自動車(7203)と日産自動車(7201)の2銘柄を保有したとしても、リスクの分散にはなりません。
良く知られた株の格言に、「ひとつのかごに全ての卵を盛るな」というのがあります。ポジショントレードはこの格言を守る形でトレードをしていくということです。
デメリット
銘柄選択と資金や時間の分配など、計算が高度で難しくなります。基本的には常に保有株が複数ある状態なので、資金効率が良くありません。ひとつの銘柄に集中して投資をした場合に比べると利益は少なくなります。
ポジショントレードは、短期間で大きく資産を増やそうとする人には不向きなトレードスタイルと言えるでしょう。ファンダメンタルを意識できる知識量と、長期保有による忍耐強さも必要となってきます。トレードというよりは、資産運用といった方がイメージとしては近いです。
こんな人におすすめ
ある程度資金的に余裕があり、長期の視点で利益を狙いたい人におすすめです。
時間的には、それほど拘束されることはないので、サラリーマンなど時間が拘束される人にもおすすめです。
ただ、長期になればなるほど、相場の波を読むことは難しくなりますから、一時的な損失などにも耐えられるような資金とメンタルが必要になります。
初心者でいきなり長期保有は精神的に厳しいところもあると思うので、ある程度慣れてからこのスタイルにチャレンジするのもよいでしょう。
長期保有
数年単位で株を保有するスタイルです。トレード手法ではなく投資スタイルと言えます。さらに言うと、利回りのいい貯蓄というイメージのほうが強いかもしれません。株主優待や配当などを狙えるスタイルでもあります。
ある程度の資金を持っていて、貯金するよりは、利回りのいい株を保有しておこうというイメージの方はいいかもしれません。
メリット
長期保有なので、日常において株価を気にする必要はほとんどありません。最初から長期で保有すると覚悟を決めた投資スタイルですから、むしろ毎日のように気にしない方が精神衛生上も良いかと思います。
トレードというよりは完全に投資です。売買をする機会も少ないので、取引手数料も少なくて済みます。取引のたびに徴収される税金も安く済みます。仕事や家事に忙しい人でも取引が可能な手法なので、無理なく資産運用をすることができます。
長期保有の最大のメリットは、「複利の効果を得ることができる」という点でしょう。配当金や利息をそのまま投資資金に回しますので、期間が長くなればなるほど単利との差が歴然となってきます。
銘柄だけではなく、分野や時間軸を分散することができるので、短期投資に比べるとリスクコントロールが容易です。短期的な値動きに左右されることもありません。一時的な乱高下は、時間の経過とともに適性株価に戻ります。それは歴史が証明しています。
デメリット
長期保有最大のデメリットは言うまでもなく、「利益を得るのに時間がかかる」という点です。短期的に上下する株価は無視するというスタイルですので、一時的な値上がりでも気にせずに保有を続けます。利益を確定するまでには年単位での保有が必要となってきます。
予測が難しいというのもデメリットでしょう。5年後、10年後の企業の業績や株価の分析というのは、極めて難易度が高いと言えます。特に長期保有の場合には、テクニカルよりもファンダメンタルズ分析をする力が求められます。
銘柄選択を誤った場合は、資金と同時に時間もロスすることになります。無駄にしてしまう時間の単位が大きくなるのも長期保有のデメリットです。
成功すればとても大きな利益を手にすることができますが、大きな損失を抱える可能性もあります。事前の徹底した利益確定タイミングと損切りラインの設定は不可欠です。そして、何があってもそれを守る強いメンタルも求められます。数年単位で保有した株をロスカットするのは、かなりの精神力を必要とするでしょう。
こんな人におすすめ
ある程度、多額の資金を持っていて、貯金するよりは、利回りのいい株を保有しておこうというイメージの方はいいかもしれません。
将来、10年後に大きく伸びそうな銘柄を探し、そこに対して長期視点で株を保有して将来に大きな利益をとるという方法もありますね。
まとめ
このように株式投資と、言ってもこれほどさまざまな種類の投資スタイルがあります。
最近では、デイトレやスキャルピングが流行っていて、それで成功している人も増えています。
昔は、ポジショントレードで利益を出すやり方が一般的でしたが、時代の変化とともに投資スタイルの主流も変わってきています。
では、最近はやっている、デイトレをやれば成功するのか?
ということですが、それは、「NO」です。
短期保有したからうまくいくとか、長期保有したからうまくいくとか、そういうことはありません。
大事なのは、自分が得意なスタイルを見つけることです。
自分のライフスタイルや資金面や性格などいろいろなものを考慮して、自分に合った投資スタイルを見つけていくことが一番重要になります。
初心者のうちは、リスクが低い短期保有から始めてみるのがよいでしょう。
そのなかで、株取引がとういうものなのかということをしっかりと学んでいきながら、常に自分のスタイルを探す努力をすることが大切だと思っています。
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