配当金とは、企業が出した利益の一部を株主に還元するというもので、株式投資の魅力の一つでもあります。
実は、配当金は銀行に預金をしているよりもずっと利回りがよくお得です。
配当金の基本知識を初心者の方でもわかりやすく紹介します。
■■■ 目次 ■■■
配当金とは?
配当金とは、企業が利益を出したときに株主に利益の一部を還元するお金の事です。
保有する株数に比例して配当金は分配されるので、持っている株数が多ければ多いほど、配当金もその分多くもらえます。
例えば、ある銘柄Aの株を保有している時に1株あたり100円の配当金がもらえるとしたら、100株持っていれば100円×100株で1万円貰えることになります。
配当金をもらうための条件は?
配当金をもらうためには条件があります。
それは、その銘柄の権利(株主権利)を獲得していなければならないという事です。
株主権利
株主とは株式を保有する人の事をいいますが、その銘柄を保有していることで株主が持つことが出来る権利の事を株主権利といいます。
株主に与えられる権利は大きく分類すると以下の3つです。
配当金等を受け取る為には「権利」を獲得しなければなりません。「権利」を獲得していて初めて配当金を受け取ることができるのです。
では、どうすれば権利を獲得する事が出来るのでしょうか?
「権利」を獲得するには、権利確定日に株主名簿に載っていなくてはいけません。
権利確定日
権利確定日とは、株主名簿に株主として名前が記載される日のことで、株主優待・配当・株主分割などの権利が獲得できる日のことです。
つまり、どれだけ長い期間株を保有していようが、この権利確定日に権利を獲得する事が出来なければ(株主名簿に載ることが出来なければ)、配当金等を受け取ることは出来ないのです。
逆に保有期間が短かったとしても、権利確定日に権利を獲得することが出来れば(株主名簿に載ることが出来れば)、配当金等を受け取ることが出来ます。
ただし、権利確定日の当日だけ株を購入しても、それでは権利を獲得できません。
権利確定日に権利を得る(つまり株主名簿に名前が載る)為に重要となってくるのが、「権利落ち日、権利付き最終日」です。
この2つのキーワードを解決することで、以下の疑問を解消することが出来ます。
権利落ち日、権利付き最終日
「権利落ち日、権利付き最終日」とは、権利確定日の3営業日前の事を指します。
そして、権利付き最終日の翌営業日を「「権利落ち日」」と呼びます。
つまり、権利を得るためにはこの権利付き最終日までに株を購入して保有している必要があり、権利付き最終日の翌営業日(権利落ち日)には、もうすでに権利を得ているのでその株を売っても問題ないのです。
ちょっと例を見てみましょう。
例1)権利確定日が2017年5月11日(木曜日)だった場合
権利付き最終日は、権利確定日の3営業日前なので8日(月曜日)、
権利落ち日は、権利付き最終日の翌営業日なので9日(火曜日)となります。
つまり、11日が権利確定日となっている銘柄があった場合、3営業日前である8日(権利付き最終日)にその銘柄の株を保有していることによって、権利を得ることが出来るのです。
そして、権利付き最終日の翌営業日である9日(権利落ち日)では、すでに権利を得ているので売却しても問題はありません。
例2)権利確定日が2017年5月15日(月曜日)だった場合
権利付き最終日は、権利確定日の3営業日前なので10日(水曜日)、
権利落ち日は、権利付き最終日の翌営業日なので11日(木曜日)となります。
※土日は株式市場が休み(非営業日)で、日にちを遡る時にカウントしません。
よって、権利確定日からみて1営業日前が12日(金)、2営業日前が11日(木)、
3営業日前が10日(水)となります。
例3)権利確定日が2017年5月10日(水曜日)だった場合
権利付き最終日は、権利確定日の3営業日前なので2日(火曜日)、
権利落ち日は、権利付き最終日の翌営業日なので8日(月曜日)となります。
※祝日も株式市場が休み(非営業日)なので、日にちを遡る時にカウントしません。
よって、権利確定日からみて1営業日前が9日(火)、2営業日前が8日(月)、
3営業日前は2日(火)となります。
このように、権利付き最終日に株式を保有することにより株主権利を獲得する(権利確定日に、株主名簿に株主として名前が記載される)事が出来るのです。
配当金はどうやって受け取れるの?
証券会社に開設している口座(証券口座)で配当金を受け取ることが出来ます。
(指定した金融機関の口座や郵便局等で受け取ることも可能ですが、証券口座で受け取るのが手間も少なく一番簡単ですし、次の投資資金としてもすぐ使えるので証券口座での受け取りが便利です。)
配当金も株の利益と同様に税金が掛かり(所得税15%、住民税5%で合わせて税率20%)、
自動的に源泉徴収されます。
よって、受け取る時に約20%の税金が自動的に引かれて入金されることになります。
(備考)
税率20%と説明しましたが、厳密に言うと、平成25年から平成49年までの25年間は
所得税15%に対して2.1%の復興特別所得税が上乗せされ、所得税は15.315%となるので
税率20.315%が正しいことになります。
この記事では、所得税を15%として扱い、両方合わせて税率20%として説明します。
どんな銘柄を買ったらいいの?
その、購入するための根拠を探す為には、しっかりと銘柄の情報を調べなければなりません。
配当金を目的としている場合、重要な指標となるものは「配当利回り」です。
配当利回りとは
配当利回りとは、株価に対して1年間でどれくらいの配当金を受け取ることが出来るかの割合を示した指標の事です。
例えば、
上記の様な銘柄、配当金の情報があったとします。
パッと見た感じだと銘柄Bの方が配当金が高いので、良い配当だと思ってしまいがちですが、
銘柄Bは銘柄Aより株価が高いのです。
つまり、ある資金でどちらかの銘柄1つに絞って株を購入しようとした場合、
銘柄Aの場合は、1株当たりの配当金が銘柄Bより低いが、その分買える株数は増えます。
銘柄Bの場合は、1株あたりの配当金が銘柄Aより高いが、その分買える株数は減ります。
こうなってくると、どちらの銘柄のほうが配当が良い株なのかわからないでしょう。
もし株価が同じなら、配当金額が高い銘柄Bの方が配当が良いと判断することが出来ますが、株価が違うので単純に比較できません。
このような時に、判断する際の指標となるのが配当利回りです。
配当金の計算をしてみよう
配当利回りの計算式は以下とおりです。
例えば、ある銘柄Aの株価が1万円で、1株あたりの配当が100円だとして場合
100 ÷ 10,000 × 100で配当利回りは1%となります。
つまり、A株を100株(100万円分)保有していたとしたら、1万円(税金考慮前)の配当金を受け取る事が出来るのです。
先ほどの例を見てみましょう。
銘柄Aの配当利回り = 230 ÷ 13,000 × 100 = 約1.77%
銘柄Bの配当利回り = 300 ÷ 17,800 × 100 = 約1.69%
よって、銘柄Aの方が銘柄Bに比べて配当利回りが高い(配当がいい)ということがわかります。
もちろん、株価は刻々と変わっていくので銘柄Bの方が配当利回りが高くなるということもあります。
また、配当金は業績によって増減する可能性があり、株を購入する時点ではあくまで予想値であるので、この配当利回りはあくまで株を購入するときの参考材料として考えればいいでしょう。
配当金に掛かる税金は?
株取引をしていて利益が出た時に掛かる税率は20 %(15%が所得税、5%が住民税)ですが、基本的に、配当金にも同じ税率が掛かります。
配当金を受け取る時にはすでに源泉徴収されているので、20%の税金が引かれた残りを受け取ることになります。
(備考)
配当金の税率が基本的に20%と言ったのは、配当金は確定申告をすることができ、確定申告する際には「申告分離課税」か「総合課税」のいずれか選択することになります。これによって、税率が変わってくるからです。。
(確定申告しなければ、20%の税金を源泉徴収されるだけで終わりです。)
「申告分離課税」は、他の所得と合算せずに分離して税額を計算する方法の事で、株式等の譲渡により所得が生じた場合の税額の計算方法と変わりません。
(配当金も上場株式等の譲渡損と損益通算することが可能ですので、この申告分離課税は一般的に譲渡損と損益通算する場合に選択されます。)
「総合課税」は、配当所得とそれ以外の所得を合算して税額を計算する方法の事で、一般的な収入と同様に、収入に応じて様々な利率(超過累進税率)の税金が掛かります。
「総合課税」では配当控除を受ける事が出来るので、所得によっては20%の税率より低く済む場合もありますが、ただ、逆に20 %より税率が高くなる場合もあります。
下記の早見表を見てみるとわかりやすいと思います。
課税される所得金額に応じた税率、配当控除率の速算表
表を見るとわかるように、配当金を含めた課税所得が695万円以下の場合は、源泉徴収の時(20%)より税率が低いですが695万超の場合は税率が高くなります。
注目の高配当銘柄!ランキング一覧表
高配当利回り銘柄
Yahooファイナンスというサイトでは配当利回りランキングというものが載っています。
(1株配当、配当利回りは会社予想値ベースなので、確定ではなくあくまで予想です。画像はある期間の例です。)
利回り比較
先ほど1位~10位までの高配当予想のランキングを載せましたが、これは現在のYahooファイナンスの情報を基にしたデータです。
他にも、日本経済新聞というサイト(日経記者予想ベースの配当金(今期予想)から算出)では、
となっています。(画像は執筆現在のものです。)
両サイトで同じ銘柄が載っているのもあれば、載っていないのもあります。
これらの違いは、配当金額をどのように予想しているかによって異なってきます。
例えば、会社の予想値等から算出している場合もあれば、前年度の配当金等から予想して算出している場合もあります。
一概にどっちが正しいとは言えませんが、両方に載っているならば高配当な可能性が高いと考える事が出来ます。
誰にとってお得か?
当たり前ですが、株価というものは上がったり下がったりします。
配当金目当てで株を買ったとして、もらえる配当金以上に株価が値下がってしまう可能性もなくはありません。
例えば、
1株10,000円の株を100株(100万円)購入し、50,000円の配当金をもらえたとしても、
株価が下がって1株9,000円(100株で90万円)になってしまったら、トータルで見たら5万円の損失になってしまいます。
ただ、逆に株価が上がる場合ももちろんあります。
株価が上がって1株11,000円(100株で110万円)になったら、配当金と合わせて15万円の利益となります。
(株価が1,000円下がったら5万円の損失、1,000円上がったら15万円の利益です。)
値下がったら配当金で損失を埋める形になりますが、値上がったら配当金だけでなく、株価上昇分の利益も得る事が出来るのです。
まとめ
ここまで配当金についていろいろと説明してきました。
今回紹介した内容は、あくまで基礎知識です。
もっといろいろな事を知りたい人は、配当金に関わる株価の動きなどを自分自身で調べて見るといいかもしれません。
少しでも情報を知っているだけで、何も知らない時よりはその後の行動に様々な選択肢が生まれてきます。
例えば、
「権利付き最終日付近に配当金狙いで購入すると、同じ考えの投資家によって株価が割高になってしまうかもしれないから、権利付き最終日よりもっと前に買っておこう」
などと、考えることができるのです。
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