株主が投資の回収をするためには株式の譲渡以外には方法がないので、株式には強い譲渡性が必要となる。しかし、それにはしっかりとしたルールが定められている。この記事では株式譲渡について詳しく知りたい方のための情報をまとめている。
■■■ 目次 ■■■
株式の譲渡の自由と定款での制限について
自由な譲渡と制限
冒頭で説明したとおり、株式は強い譲渡性が必要だ。しかし、その一方で望ましくない株主が出てきた場合、その株主を排除する必要がある。そのために、会社は譲渡性に制限を加える事が可能となっている。会社が発行する全部の株式について譲渡を制限したり、一部の種類の株式だけ譲渡を制限することができる。
譲渡制限の定めとは
株式の譲渡制限がおこなわれると、株主が投資を回収するのが不便になるので、譲渡制限を新しく設ける定款変更手続きは厳格におこなわれる。もし、全部の株式に譲渡制限をする場合は、株主総会で議決権を行使することが可能な株主の頭数で2分の1以上、議決権の3分の2以上が賛成する必要がある。この場合、定款で加重(重くすること)は可能だが、軽減はできない。
定款変更に反対の株主は、持ち株の買い取りを会社に請求することができるようになっている。株式の譲渡制限がされることは、登記によって示す必要があり、株券にもそのことを記載する必要がある。
自己株式(金庫株)の取得
会社が自社の発行する株式を取得すると、出資の払い戻しと同じことになる。自己株式の取得は株価操作や取締役の地位防衛の手段になるなど、株価によっては株主に不公平をもたらすことになる。
このようなことを防止するために、自己株式の買受けや処分については手続き、財源、買い付け方法や取締役の責任などが定められている。株主総会が株式数・対価や期間(1年以内)を定めて決議すれば、会社は自己株式を取得することが可能になっている。
決議
取得の相手株主を特定しないかぎり、株主総会の普通決議で大丈夫だ。この総会決議は、定めた枠の範囲内で取得することを、取締役会(設置していない会社では取締役)に権限を与える。
財源
配当に回すことができる剰余金のみ
買受け
市場取引、公開買付け、特定の株主からの取得
会社が取得した自己株式は、消却や処分をしてもよい。逆に、そうしないで保有しておくこともできる。保有していると会社自身が株主だが、議決権や剰余金の配当を受ける権利などはないので、そちらは注意しておこう。自己株式を処分すればその相手が株主になり、新株発行をするのと同じことになる。処分の相手や価格の定め方が不公平にならないように、新株発行と同じ手続きをする必要があるのだ。
ちなみに、自己株式の消却というのは、会社が買い戻した自己株式を消滅させることをいい、自己株式の処分というのは、会社が買い戻した自己株式を売却することをいう。
処分というと、捨ててしまうイメージがあるが、処分は売却。消却は消滅とおぼえておこう。
その他の譲渡制限
会社の設立登記前や新株発行前での譲渡
会社の設立登記前や新株発行前には、まだ株式はない状態だ。この状況で、株式引受人の地位(権利株)を譲渡しても、当事者間では有効でも、会社との関係は無効となる。
独占禁止法による譲渡制限
独占禁止法上、金融会社がある会社の株式の5%超を持つことは原則として禁止されている。
子会社による親会社株式の取得
議決権の多数を所有するとか、取締役の多数を派遣するなどして、A社がB社の財務や事業の方針の決定を支配している時、A社を親会社、B社を子会社と言う。子会社が親会社の株式を取得することは原則禁止されている。会社の合弁や分割などの例外はあるが、その場合も相当の時期に処分しなくてはならないことになっている。
突然ですがあなたに質問です。この先日経平均株価は上がるでしょうか下がるでしょうか?正解者には豪華プレゼントがあります。
この記事へのコメントはありません。