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はじめに
仮想通貨投資が盛り上がりをみせています。ビットコインを始め、複数の仮想通貨が登場し、一部では投機的な資金も流れて大きく値上がりをしたり、一気に価格が下落したりと連日ニュースにも取り上げられています。
投資対象となる金融商品は、その多くが日経平均株価などの経済指標と連動するものです。ビットコインなどの仮想通貨について、あまり報道がありませんがどうなっているのか気になるところです。実際ビットコインと日経平均株価には関連性があるのかどうかをまとめてみました。
まず、仮想通貨の代表格であるビットコインの値動きについて見ていきましょう。ビットコインは数ある仮想通貨の中で最も古いものです。とはいってもその誕生は2009年とまだ10年も経っていません。
しかしながら、およそ9年の間に様々な要因によってビットコインの価格は大きく動いています。一体、どのようなことが起きてビットコインの価格が変動したのかご紹介したいと思います。
現在のビットコインの価格に慣れていると、その価格変動に驚かされますが最初から値動きが激しかった訳ではありません。
まず、最初にビットコインの値段がついたのが、2009年10月6日のことです。いわゆるマイニングの対価として日本円で約0.07円でした。その後、10月12日に初めて法定通貨であるドルと交換されて約0.09円となりました。
実際にビットコインが決済に使われたのは2010年5月22日のことで、それでもまだ0.2円ほど。通貨としての認知度が高まるのは、この後、世間に知られるようになってからのことです。
今や悪名が広がってしまいましたが、ビットコイン取引所Mt.Goxのサービス開始が2010年7月18日のことです。その当時で約7円ですから、その時に買っていたら・・・とつい思ってしまうほどですね。
その後、バグが発見されたことなどに起因として一時的に価格は低迷しますが、Mt.GoxがTibanne社に買収されたり、ビットコインがTIMESに紹介されるなどを経て、初めてのビットコインバブルがおこります。
最初のビットコインバブルが起きたのが2011年6月12日のことです。メディアに注目されたことで、約1400円までビットコインの値段が跳ね上がります。ただ、その後すぐにMt.Goxがハッキングに遭い、1週間の取引停止などにあいます。ビットコインのみならず、顧客情報なども流出し、問題が深刻化すると共に、ビットコインの価格も下落しました。
その後、急激な値上がりを経験するのは2013年になってからとなります。大きなバブルとしては、2013年3月16日にキプロス危機があり、キプロスにある銀行で現金がおろせないといったことがあり、法定通貨への信用低下が影響してビットコインの価格が高騰しました。
その後、2013年の12月には日本でもニュースになったり、最高値を更新していきます。10万円を超えたことで、その価格の高騰がニュースになることも度重なります。しかし、2013年12月5日に中国がビットコインの取引を停止するなどで大きく価格が下落し、そのボラティリティの高さも注目されるようになりました。
さらに、2014年にMt.Goxは閉鎖されましたが、国内取引所としてZaifやBitFlyerといった今でも稼働している仮想通貨取引所が次々と開設されていきます。取引所の数が増えるとともに、流通量も増えてビットコインの価格は、5万円近くまで上がりました。
ビットコインの値動きの現在
その後、順調に時価総額が上がっていったビットコイン。2017年1月5日には、2013年以来の最高価格をつけます。ここから加速度的に価格が高騰していき、2017年8月にビットコインからビットコインキャッシュが分裂する頃になると、ビットコインの価格は50万円近くまで高騰しました。
2017年12月に、ビットコインの価格は一時的とはいえ、200万円を超える価格にまで高騰しました。連日の報道も過熱していきましたが、2018年2月現在、110万円台をキープしています。
仮想通貨取引所のコインチェックで仮想通貨のネム(NEM)が、不正アクセスによって盗難に遭うなど、仮想通貨投資に関するニュースがビットコインの価格にも影響を及ぼしています。しかしながら、ビッグカメラやHISといった日本の大手企業が決済手段としてビットコインを認めていることなどから、その価値が無価値になることもなく、ビットコインの価格は基本的に激しい値動きの中で上昇基調を再び描いている状況です。
今後も新たな仮想通貨は増えていくことでしょう。しかし、最初に作られたビットコインの存在価値は今後も失われることなく、様々な影響を受けながらもその価値が広く知られるようになるのではないかと考えられます。
最近は、他の仮想通貨も認知されるようになってきました。それゆえ、ビットコインの価格も様々なものに影響されるようになっているのですが、よく取りざたされるのが日経平均株価になります。実際のところ、二つの数値に関連性はあるのでしょうか。
そもそも、なぜビットコインの値動きが日経平均と関連するか否かが語られるのかといえば、日経平均株価とビットコインの価格の値動きが似ているからといえるでしょう。
世界中には、投資資金があふれています。そのお金がどこに向かうかによって、経済指標も大きく変わり、日経平均もビットコインの価格も変動するわけです。実際、現状日経平均とビットコインの値動きはチャートを見ても似通っています。
原因としては、日本人の投資意欲が高まっていて、法人・個人問わず投資資金が日本株やビットコインに向いていることが考えられます。実際ビットコインの取引は、日本が最も盛んに行われており、全体の56%を占めています。もちろん、世界一位の取引量であり、仮想通貨投資を牽引しているといっても過言ではありません。
そして、海外からの投資資金も日経平均やビットコインに流れているという実情があります。世界のマーケット全体を見てみると、石油や金などの現物価格は限界を迎えており、上昇見込みという点では、日本株や仮想通貨など投資対象となる金融商品が限定的です。
例えば、アメリカの景気が悪いと判断された場合、アメリカ株からは一斉に資金が引き出されます。それゆえ、株価が下落するわけです。ではその引き出された資金がどこに向かうかということなのですが、アメリカ以外の国に資金が流れるため、その対象が日本株だったりするわけです。
仮想通貨も同様で、既存の法定通貨に対して何らかの不安感が出た時に、仮想通貨に資金が流れるようになっています。ジンバブエの国家破綻が取り沙汰された時に、ビットコインに一気に資金が集中しました。投資資金がどのように動くかといった時、リスクを取れない資金が引き上げられて、リスクオフ商品でもある日本株や仮想通貨に変わるので、相対的に見て日本株や仮想通貨が値上がりするということになります。
この傾向は過去何度も起こっているため、ビットコインについては、日経平均と連動するような側面がある程度と認識していた方が良さそうです。ビットコインの値上がりについては、その背景に法定通貨への不信感や不安があると考えた方が賢明といえるでしょう。
ビットコインの値動きと日経平均の関連性の将来
日本人が投資環境を支えていて、リスクオフ商品であるという意味ではビットコインの値動きと日経平均は類似性が高く値動きも似た形になりやすい面があります。しかし、今後ビットコインの値動きが日経平均に重なるとは限りません。
なぜならば、すでにビットコインの価格は日経平均に比べてボラティリティが大きく、まるでジェットコースターのように日々めまぐるしく乱高下を繰り返しています。このボラティリティは、現在1日あたり5%〜7%となっており、まさにバブルのような状況です。
ビットコインが投資ではなく投機対象になっている分、日経平均との乖離は大きくなっています。ビットコインの価格が他の仮想通貨にも影響を及ぼしており、今後さらにこの傾向が強まることでしょう。
日本は少子高齢化が進んでおり、日本株への投資が仮想通貨よりも成熟が早いと考えられています。そうなると、さらに仮想通貨市場に資金が流れ込む可能性が高いといえるでしょう。あくまでも長期的な視野にたった場合ですが、市場が成長し、安全に取引できる環境が今後整備されれば、仮想通貨市場に世界中から資金が流れるとみられます。
ビットコインの値動きと日経平均には、それぞれ類似点と相違点があることが分かっていただけたでしょうか。両方ともに、日本の資金が市場を大きく支えているため、しばらくは二つの数値の連動がみられることでしょう。
ただし、ビットコインは法定通貨と対比してみられることが多く、ビットコインの価格は現在流通している世界中の法定通貨に対して不安感が高まると値上がる傾向にあります。日本株も日本株以外の株価や他国の不安感が高まった時に値上がる傾向にありますが、株式市場自体は成熟しつつあることを考えると、上昇余地というのは限界が見えてきているともいえるでしょう。
ビットコインについては、投機的な要素が強まり、各国の規制が高まっていますが、自由市場で十分取引されるようになれば日経平均を大きく引き離していくと考えられます。すでに、ビットコインの価格は大きく跳ね上がり、日経平均からの乖離がみられます。暴落もしていますが、1ビットコインが10年弱で100万円以上価値をつけていると考えれば、今後、日経平均よりもビットコインの値動きの方が大きく、上昇基調を描く可能性は少なくありません。
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