株を安く仕入れて高く売るには値上がりしそうな株を予想して当てる必要があります。
そのために株をやっている人は参考になりそうなあらゆる情報を必死で調べています。
株をよく知らない人でも聞いたことがあるものだと「日経平均株価」などがそれにあたります。
ですが、「どんな情報が参考になるか」を考える前に、まず「なぜ株価が変動するのか」を知っておきましょう。
この記事はストーリー仕立てになってますので、
登場人物になりきって読んでいただくことでなぜ株価が変動するのかを体感していただけます。
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日本ではマイナーな、とあるスポーツのワールドカップが今年は日本で開催されることになりました。
日本は1回戦突破すら難しいと思われていましたが、あなたはその競技が好きだったので、日本の試合じゃなくても決勝戦を見に行きたいと思って、定価の10000円でチケットを1枚購入しました。
しかし、決勝の2週間前に当日仕事が入ることがわかり、決勝を観に行けなくなってしまいました。
その知らせが入る前日に日本が1回戦を突破していたので、「もしかしたら決勝で日本が戦う姿が見られるかもしれない」とワクワクしていたあなたですが、行けないのにチケットを持っていても買ったときのお金がもったいないので、仕方なくチケットをインターネットオークションに出品することにしました。
公式サイトで売っている決勝戦のチケットはまだまだ完売には程遠い状況です。
スポーツ観戦、決勝戦のチケット | 株式 | |
定価 | 主催者が決めた価格 | 発行する企業が決めた価格 |
オークション | 株式市場 | |
価格の変動要因 | 日本の勝ち上がり
定価の公式チケットが余っている |
株価が上がりそうという期待 |
ダフ屋 | 仕手、投資家 | |
一般的な価値 | 試合が見られること | 配当がもらえる、経営に参加できる |
市場での価値 | 価格が吊り上がりそうなこと | 価格が吊り上がりそうなこと |
【問題】
あなたならいくらでチケットを出品しますか?
ただし、座席ごとの見やすさなどは同じだとします。
【答え】
安いものから順番に売れていくはずだから、定価の10000円と同じか、それよりも安く出品する。
【つづき】
いくらで出品しようか考えた結果、オークションに出品されているチケットの最安値が9500円だったので、あなたはそれよりも安い9400円で出品することにしました。
しかし、出品から3日たっても全く売れません。
「最安値で出品しているのになぜ売れないのだろう?」と疑問に思いつつも、日本の2回戦をテレビで観ることにしました。
この試合に勝てば準々決勝(ベスト8)進出という大一番、日本は下馬評をくつがえし見事勝利しました。
誰もが予想しなかったことだけに、マイナーなスポーツながら「日本が優勝するかもしれない」とメディアでも大々的に報じられました。
あなたはうれしい気分で眠りにつきましたが、翌朝、驚くべきことが起こりました。
今まで売れる気配すらなかった、9400円でオークションに出品したチケットが落札されて、そればかりか、なんと公式サイトの定価10000円のチケットが完売し、さらにオークションでの最安値が12000円まで上がっていたのです。
【問題】
なぜ急にチケットが売れるようになったのでしょうか?
【答え】
メディアが大々的に報じたことでミーハーなファンが増えて、その人たちが決勝戦のチケットを欲しがったから。
【つづき】
あなたは「オークションに出品するのをもう少し遅らせれば12000円で売れて2000円得したのに」と思う一方、チケットの転売がお金になることに気が付きました。
オークションでの最安値が12000円からどんどん上がっているのを見て、この先も値上がりし続けるだろうと思い、あなたはチケットを13000円で2枚購入しました。
さて、3日後の夜、日本は準々決勝で勝利し、準決勝進出を決めました。すると、その直後から値段がさらに吊り上がっていき、次の日の朝にはオークションでの最安値が18000円になりました。
13000円で購入しているので、いまオークションに出品して転売すれば一枚あたり差し引き5000円の利益が出ます。
【問題】
なぜチケットの値段がさらに上がったのでしょうか?
チケットの値段は今後どう動くでしょうか?
あなたなら現在の18000円で転売しますか?
【答え】
日本が準決勝進出を決めたことで、日本の決勝進出の確率がさらに高まったから。
チケットの値段は準決勝の結果次第で変わる。
日本が準決勝に勝てばチケットの値段はもっと上がると思われるので、まだ転売しないという判断も良し。
日本が準決勝で負ければチケットの値段が下がるかもしれないので、今のうちに転売してしまうという判断も良し。
【つづき】
あなたは1枚だけ18000円で出品し、もう1枚は日本の決勝進出を信じてまだ出品しないことにしました。
18000円で出品したチケットはすぐに落札されて、5000円の利益が出ました。
そして迎えた3日後の準決勝、残念ながら仕事でテレビ中継を観られず、試合終了から30分後にニュースで日本の準決勝敗退を知りました。
チケットの値段が下がってしまうかもしれないと思ったあなたは、急いでオークションの最安値をチェックしました。
そこであなたは愕然としました。なんと試合終了からわずか30分の間に12000円まで下がっていたのです。
あなたはすぐに11900円で出品しましたが、さらに安く出品する人が3人現れました。
それに対抗して自分も値段を下げるのですが、同じように値段を下げる人が次々と現れて、いつの間にかチケットの最安値は3000円まで下がってしまいました。
結局、その3000円で落札されましたが、差し引き10000円の損失を出してしまいました。
【問題】
なぜチケットの値段はこんなにも下がってしまったのでしょう?
【答え】
買い手がつかないのにチケットの出品数が増えすぎてしまったから。
【解説】
準決勝で日本が負けてしまい、新たにチケットを買いたいという人がいなくなってしまった。
さらに、“日本の”試合を観ることを目的としていた人たち(メディアが報じた後にチケットを買ったミーハーなファン)は、決勝を観に行く気がなくなってしまったためにチケットをオークションに出品した。
加えて、転売を目的としていた人も大きく値段が下がってしまう前に売り抜けようと思って、すぐにチケットをオークションに出品した。
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さて、物語はこれで終わりですが、このストーリーの「チケット」を「株」に置き換えて読み返してみると、株価の変動の仕組みがお分かりいただけるかと思います。
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