非常に高い確率で利益の見込める株として、熟練の投資家から株取引を始めたばかりの初心者にまで人気の株、それがIPO株です。
IPO株はなぜこんなにも人気なのか、なぜ高確率で投資家に利益を生むのか。
今回は、初心者でも簡単に挑戦のできるIPO株をわかりやすく説明しようと思います。
どんな株から手を付けたらいいのかわからない、そんな初心者の方、まずこれを読んでIPO株への挑戦を一考してみてください。
■■■ 目次 ■■■
IPO株の概要
IPOとは「Initial Public Offering」の略で、日本語に訳すと「新規公開株」や「新規上場株」となります。
株式上場に際して、新たな株式が公募される、または、上場前に株主が保有している株式が売りに出されます。これらを証券会社を通じて投資家が投資する株のことをIPOと呼びます。
このIPOという手法を企業が行うことで、企業の一部上場に合わせての設備投資や従業員の増員を行えるというメリットが存在します。
そして、このIPOで売りに出された株は非常に高確率で利益を見込めるという理由から投資家に人気のあるものになっているため、通常は抽選で購入者を決めています。
なぜIPO株は利益を出せるのか?
IPO株は市場に上場する際、まず一時的な株価として「公募価格」が設定されます。
そして、この公募価格はすでに上場している企業であれば、その時点での株価等を参考に決定することができますが、IPOは新規で上場する株式。参考にされるのはその企業の現在の実力、そして将来性です。
公募価格の決定方法は、まず、証券会社と実際に運用や管理をする社団や法人などの機関投資家が仮条件を決定します。その場合の仮条件は2.000~2.500円といった形である程度の幅を持たせています。
そして、ここで仮条件を個人投資家に開示、個人投資家がその条件でどの程度買いたいかといった市場調査を行います。この市場調査を「ブックビルディング」といいます。
その調査結果を集計、その時点での市場の状況やブックビルディングの結果を考慮し、証券会社と企業による合議の結果、最終的な公募価格が決定します。
その際、IPOを行う企業側からすると、公募価格をあまり高く設定してしまうと株が売れなくなる心配、そして、上場初日で大きく買いが入ってくれるようにと公募価格を低めに設定する企業の思惑があります。
そのため、上場初日には買いが多く殺到し、初値が公募価格を上回ることで、容易に利益を出せるのです。
IPO株におすすめの証券会社
IPO株は非常に高い勝率を誇りますが購入できない可能性も存分に存在します。
抽選方法は証券会社によって異なりますが、まずは口座を持つべき主要な証券会社をいくつかご紹介しましょう。
SBI証券
SBI証券はIPO取り扱い銘柄の実績が多く、多くの投資家が利用している証券会社でもあるので、必ず口座は開設しておきましょう。
そして、この証券会社でIPO株の取引をする最大のメリットは「IPOチャレンジポイント」という制度を用いているところです。
IPO株は抽選制ということは先述しましたが、その抽選に申込み外れてしまった場合、「IPOチャレンジポイント」が1ポイント貰えます。
SBI証券さんが扱うIPO株の総数のうち、個人化投資分に回る約三割がIPOチャレンジポイント枠として別枠で用意されています。
そして、このIPOチャレンジポイント枠は、抽選に申し込む際、ポイントを多く使った個人投資家から順番にIPO株の購入権が当選していくというシステムです。
多くポイントを使った人から当選するという制度のため、どの程度のポイントを利用すれば当選するかは、その銘柄ごとの人気によりますが、IPO株の抽選に参加するだけで付与されるポイントのため、普段から参加してポイントを貯め、ここぞというときに使う。といったこともできるので、使って損はない制度です。
SMBC日興証券
IPO株は、株式市場にて売買される通常の株とは違い、あらかじめ決まった株数だけ売りに出される株式です。
そして、この決まった株数は複数の証券会社に割り振られ、そこから個人投資家に抽選で売りに出されます。
しかし、この株数の振り分けにおいて大きな差が出るのが「主幹事」と呼ばれる役割を持つ証券会社です。証券会社はIPO株を扱う際、主幹事と委託幹事に分けられます。そしてこの主幹事とは企業が新規上場する際、メインでサポートする証券会社を指します。
この「SMBC日興証券」は他の証券会社に比べ、主幹事を務める機会が非常に多いのです。
主幹事になった証券会社にはIPO株のおおよそ八割から九割程度のIPO株が割り当てられます。そして、IPO株の割り当てが増えると、それだけ他の証券会社を使うより抽選に当選して購入できる可能性があがります。
ただし、出る株数が他と比べて例えば100倍だとしても、単純に当選確率が100倍になるというわけではなく、勿論抽選に参加する人数が増えれば増えるほど倍率は上がります。それでも、他に比べて圧倒的に株の絶対数が多い証券会社であるため、比較的高確率でのIPO株の購入が見込めます。
そういったことからも、このSMBC日興証券はIPO株の取引において非常に効果的な働きが見込めるといえるでしょう。
マネックス証券
マネックス証券はIPOの幹事も多数請け負っておりますが、最大の特徴はIPOの抽選方式に「完全公平抽選」を採用しているところにあります。
これは、申込数に関係なく、申込者一名につき1抽選権が与えられることで、誰にでも平等に当選のチャンスが生まれるといったものになります。
投資資金量に関わらず、運さえあれば当選するため、一般の投資者にも平等の当選率になるため、非常に口座を作る価値のある証券会社といえます。
楽天証券
この証券会社は取引実績や資産額に応じて当選確率が変動するシステムを採用しています。
具体的には、半年間の月間平均手数料が15.000円を超えている場合は当選率3倍の「IPOシルバー」となり、半年間の月間平均手数料が10万円以上、または預かり資産が1億円を超えている場合は「IPOゴールド」となり、当選率は5倍にもなります。
これは、要するにお得意様になればなるほど優待され当選確率が上がるというもので、楽天証券をメインで使用する場合、非常にお得な制度といえます。
IPO株の当選確率を上げる方法
専門的で難しい知識も必要なく、初心者でも安定して利益を見込めるIPO株ですが、大きな欠点はやはり、抽選に当選しないと株を買うことすら叶わないということでしょう。
ここでは、当選確率を上げる方法を幾つかご紹介しましょう。
こちらのコツを役立てて、ぜひIPO株ゲットを目指してみてください。
証券口座を複数開設しよう
まずするべきことは、「証券口座を複数開設する」ことです。
様々な証券会社がIPO株を取り扱っていることは先述しましたが、それに伴って各証券会社によって取り扱っている銘柄は異なってきます。
つまり、ねらい目のIPO株が出るとなっても、そのIPO株を取り扱っている証券会社に口座がないことには抽選に参加する事すら出来ないのです。
であるがゆえに、複数の証券会社の口座を持ち、IPO株の抽選を受ける権利を確保することは非常に大切といえるでしょう。
また、同じIPO株の銘柄でも、複数の証券会社が幹事になり取り扱うこともあります。
そのようなときも、複数の証券会社の口座を持っていれば、その分同じ銘柄に対して複数の応募がかけられ、一つの証券会社から一回応募するのに比べて単純に2倍3倍の確率での当選が見込めるのです。
資金をできる限り多く準備しよう
IPO株は証券会社に口座を開設するだけでは抽選を受けることができません。
IPO株の抽選に参加するためには「抽選時にその株を買うだけの資金が口座に入金されている」ことが条件になっています。
ここ数年の公募価格と単元数から割り出したIPO株を購入するために必要な資金は、90%以上が50万円以下となっています。
一回応募するためには最低でも50万円前後の資金を口座に準備しておくことが必要になります。
もし、複数の証券口座を開設しいくつかのIPO株に同時に申し込んだとしても、買い付け余力が足りていないと抽選資格を得る事ができないのです。
お得意様制度を活用しよう
SBI証券の場合は入金額を増やすことで複数回の抽選を受けられるという特徴があります。
例えば、100株の買い付けで抽選を受ける場合は1回しか抽選が行われないのに対して、500株の買い付けで抽選を受ける場合は100株を一口とした5倍の5口、抽選を受けることができます。もちろん、この方法で複数回の抽選を受けるためには、その分の買い付け資金が口座に存在することが条件になりますので、ある程度余裕を持った資金を持つことが大事になってきます。
また、「IPOチャレンジポイント」を利用することもオススメです。
SBI証券は割り振られたIPO株のうち約70%は完全抽選によって行われます。この完全抽選が多くの株数で申し込むことでIPO株に当たりやすくなっているというものです。
そして、残りの30%がポイント抽選の枠になっています。これは使用したIPOチャレンジポイントの多い順に当選者が決まる方式です。
このIPOチャレンジポイントのため方は、IPO株に申し込んで“外れる”度に1ポイント付与されます。このポイントを貯め続けることで、ここぞというときに使用することで当選が見込めるといったものになっています。
そして、このIPOチャレンジポイントを使用して仮に外れた場合でもポイントはなくならず、また戻ってきますので、外れてもチャレンジポイントは減らず、まったく無駄はない仕様になっています。
しかし、抽選の結果「当選」または「補欠当選」となった場合、必ず購入申し込みをしてください。これらは当選もしくは補欠当選になった時点でポイントは消費されます。そしてそれを放置してしまうとポイントはただ消失してしまうため、今まで貯めた努力が水泡に帰す形になってしまいますので、ポイントを使用した抽選に申し込んだ場合は必ず当落の確認を心がけましょう。
また、先述したとおり楽天証券をメインで使用しているならば、やはりお得意様になればなるほど優待されるため、当選する可能性が高まります。
当選確率が平等な証券会社を選ぶのもあり
先述したとおり、マネックス証券は、申込数に関係なく申込者1名につき1抽選権が与えられることで、誰にでも平等に当選のチャンスが生まれます。
比較的資金の少ない初心者や一般投資家にもおすすめです。
主幹事を担う証券会社から応募しよう
IPO株を扱ううえで主幹事と幹事が存在することは先述しましたが、これらを理解することで簡単に当選率を上げることが見込めます。
主幹事の説明は先述しました通りで、通常の幹事となった証券会社より多くのIPO株を取り扱います。これにより、主幹事の証券会社から抽選に参加することで単純に当選数が多くなっている分、当選確立を上げられるということです。
銘柄によって主幹事はどの証券会社が担うかは変わってきます。これらを調べる方法としてはYAHOO!ファイナンスからIPO情報を確認することができます。
回数的には大手の野村證券が多くなっています。
が、このような総合証券会社の場合、IPO株の大多数が金融機関や大口の投資家に回ってしまいます。そうなってしまうと初心者や一般の投資家が入り込む余地がなくなってしまいます。
それでも調べてみると、SBI証券やSMBC日興証券等の証券会社による主幹事も見つかります。
その際は、他の証券会社から申し込むより主幹事の証券会社から申し込むことで、比較的容易く当選率のアップを見込めます。
IPO株の取引ガイドと必勝法
IPO株は最初に説明した通り、専門的な知識のない初心者でも非常に安定して利益を生める銘柄、というのは間違いありません。
しかし、株式という土壌で起きる事であるが故、もちろん損失を被るリスクというものも常にはらんでいます。
それらのリスクをしっかりと理解したうえで、対処法やリスク回避を行うことで初めて安定した利益が生まれます。
知っておくべきIPO株のリスク
2012年から2016年までのIPO株において初値が公募価格を上回った確率はなんと約84%と、八割以上の確率で公募価格を上回っています。
これは単純にIPO株を公募価格で購入し、初日に売りに出すだけで利益の出た銘柄です。非常に高確率といえるでしょう。
しかし、逆を返せば残りの約16%は公募価格が初値を上回ってしまう(=負けてしまう)ということにもなります。そして、この現象を公募割れといいます。
では、どういった銘柄が公募割れを起こすのでしょうか?
上場した時点で業績が赤字の企業の銘柄
株式という土壌である以上、将来的に伸びしろのない会社は個人投資家も投資を敬遠するものです。
投資家による買い付けが無ければもちろん株価は上がらず、結果として公募割れを起こすのは必然といえるでしょう。
新規公開株数の多すぎる銘柄
こちらは、IPO株を多く出したせいでその分上場初日に買い注文以上の売りが入ってしまい、結果として初値を下げてしまったケースです。
IPO株は買う前に公開株数を確認できます。IPO株の抽選に当選したからと言ってなんでもすぐ買うのではなく、しっかりとその銘柄を見定めることも大事です。
公募価格が仮条件の上限値でない銘柄
IPO株は先述した通り、機関投資家等が決めた2.000円から2.500円のように、猶予を持った仮条件に対し個人投資家などがブックビルディングを行ったうえでの市場調査で最終的な公募価格が決定されます。
しかし、この時点で猶予を持った仮条件における上限価格にならない銘柄は、既に不人気なのが明確になっていると言えます。
不人気な銘柄が上場初日から買われるかというとそれは非常に難しい話で、結果的に、初値が公募価格を下回り公募割れを起こしIPO株を買った投資家が損をしてしまうという結果に至ります。
IPO株で確実に利益をあげるための必勝法
IPO株を持つうえで押さえておきたい情報はまだまだ多くあります。そのなかでも初心者が絶対に知っておくべき情報を解説していきます。
IPOが高確率での利益を生む最大の理由は購買価格と初値の動きが大きいことにあります。しかし、ここを勘違いして「IPO株は上場してから値段が上がり続ける株」と認識してしまうケースが初心者には多く見られます。これは株を取引するうえで非常に危険な思考であるのです。
先述した通り、公募割れが起きれば、抽選に通って公募価格で入手しているにもかかわらず少なくない損失を被る可能性もあります。
この公募割れはどの銘柄で起こるのか100%予測できるものではないので回避することはたやすくはありませんが、事前にそのIPO株の情報を仕入れ精査すればある程度見えてくるものになります。
そのためにも、どのような銘柄が公募割れを起こすのか、といった情報はしっかり念頭に置く必要があります。
そして、もう一つの理由は「IPO株は非常に値動きが激しい銘柄」というところにあります。IPO株は初値が決まった後、さらに株価が急騰する銘柄も存在しますが、初値をピークとして一気に暴落する銘柄も多く存在します。一時的に急騰したとしても数か月ないし数日で初値割れ・公募割れを起こす可能性をはらんだ株式なのです。
これらによる損失を避けるためにとれる対策として非常に有効的なのは「初値売りを徹底する」ことです。
初値売りとは、上場初日に売り注文を出すことで、所持しているIPO株に初値が付いた瞬間売却をすることができ「初値‐公募価格」の差益を確実に得ることができます。
IPO投資は初値売りが最も確実に利益を得ることのできる投資方法なのです。そして、この投資法があるゆえに、IPO株は上場後大きな株価の変動が起こりやすいのです。上場後も持ち続けていたい銘柄以外は、基本的にこの「初値売り」を徹底することがIPO株においての必勝法といえるでしょう。
その他にも、大口の株主が一定期間後に一気に株を売りに出すことも考えられます。それらのリスクもこの「初値売り」を徹底することで回避することができるのです。
まとめ
IPO株は初心者でも非常に安定して利益を生めるお宝銘柄であることは間違いありません。
しかし、IPO株をはじめるにあたり初心者が絶対に持っているべき情報というものも存在します。
適当な知識で挑んだところで、まず当選しないという問題。
そして、当選したとしても損失を被る可能性。
こういったことを回避するためにも、正しい知識を付ける必要。
抽選を突破するためのコツ。
これらの情報は初心者を助け、利益を生むための種になり得ます。
また、初心者にはセミナーを有効利用することもおすすめです。ただし、そういったセミナーであっても善し悪しはあります。それの検討も初心者の方には強くお勧めします。
IPO株という勝率の高い株で勝負するためのチャレンジ、折角であれば万全の状況で挑めるよう準備は怠らずにすすめてみましょう。
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