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はじめに
株に手を出したことのない初心者が株式投資を怖がる理由の一つとして挙げられるのが、「株価が値下がりして損失が出たら、お金をどれだけ失うか分からない」という不安です。確かに株式もまた金融商品である以上、経済的価値が付与されます。その価格の変動によってお金を稼げる訳ですが、市場の動きとは自分の思い通りに行かないことがほとんどです。時には予想もしなかった株価の値下がりが起こり、大きな損失を被ることもあるかもしれません。
その損失額をなるべく少額に抑える方法として言われるのが、ロスカットです。株価の値下がりが見られた時点で早急にロスカットすることで被害を最小限に抑えるのですが、投資家たちの中にはロスカットが不要だとする声もあります。ロスカットについては賛否両論あり、その必要性は依然として確固たるものではありません。
そこで今回の記事では、株式投資でのロスカットの必要性について解説します。「株初心者ほど早く損切り確定をしろ」という声と、「ロスカットしなくても利益を出せる」という声では、いったいどちらの意見が正しいのでしょうか。
そもそもロスカットとは?
この章ではロスカットにまつわる基礎知識について解説します。次章で紹介する波乗り投資法をより深く理解するために必要な知識となりますので、まずはここから始めていきましょう。
ロスカットとは
そもそもロスカットとは、一般的には株価の値下がりによる損失額をなるべく最小限に抑えるための方法のことを指します。
株初心者ほど一度株価が値下がりしたところで、「時間が経てばまた上がっていくだろう」と安易に思い込みがちです。しかし自分の思い込みとは裏腹に値下がりしていくこともよくあり、過剰な期待を寄せて保有してしまったがために大きな損失を被ってしまうこともまたよくあることなのです。
その期待を簡単に捨て去りロスカットできればいいことは分かっていても、実際にロスカットをした時点で現状の損失額が確定してしまうことは怖いものです。そのため株初心者ほど損失額が発生することが怖くなり、なかなかロスカットできずに損失額をより大きくしてしまうことが多くなります。
こうして損失額ばかりを被ってしまうといつしか株式投資そのものに嫌気がさし、結局は稼ぐどころか借金だけ増やしてリタイアしていく人がほとんどです。損失額をいかに小さく抑えられるかが大事なのですが、株初心者では損失を確定しないことを重要視してしまう傾向にあります。
強制ロスカットとは?
そんなロスカットができない投資家こそ積極的に利用していきたいのが、この強制ロスカットです。
この強制ロスカットとは別名で「逆指値注文」とも呼ばれることがあり、一定額以下の株価に到達した時点で、自動的にその銘柄をロスカットしてくれる注文方法のことを指します。一般的には現状の株価から10%値下がりしたら、ロスカットのタイミングだと言われています。ただし株価の値動きの変動幅が広い銘柄では10%だとすぐさまロスカットされやすくなるため、20〜30%で設定しておく方がいいこともあります。
このロスカットは銘柄を新規購入した時点で事前に設定しておけるため、ロスカットが怖くてどうしても自力ではできない場合には、強制ロスカットを利用して機械的に損失確定させることも必要となります。
ロスカットとナンピン買いと含み損
またロスカットに関する専門用語として、「ナンピン買い」と「含み損」とがあります。それぞれの用語の説明としては、以下のようになります。
・ナンピン買い
株式を購入する際に一度きりで済ませてしまうのではなく、分割して購入していく方法のことを指します。値下がりした時点で少数ずつ購入することになりますので、全体としての平均購入価額を引き下げることが可能となります。例えば1000円で100株、500円で100株買った場合を想定すると、1株あたりの購入価額の平均は750円まで引き下げられます。
これだけ見ればメリットが多いようにも感じますが、それに対する大きなデメリットも存在します。このナンピン買いでは1株あたりの購入価額は引き下げられる一方で、さらなる値下がりが発生した際に多大な損失を被りやすいことが、その最たるデメリットとして挙げられます。
時間的な分散投資としても有効ではありますが、結局はナンピン買いをしたところでロスカットするタイミングを事前に考えておかなければならないのは同様です。ロスカットが怖くてできない場合には、そもそもナンピン買いを控えた方が賢明とも言えるでしょう。
・含み損
ロスカットをすることができない際に、損失確定できていない内在的な損失のことを指します。株初心者ほど含み損から実際の損失確定をすることに抵抗を覚える傾向にあり、また初心者に限らず「含み損のままでも、値上がりするまで保有していればいいじゃないか」と考える投資家たちも相当数います。
確かに含み損のまま放置しておいてその後値上がりしていき稼げる場合もあるにはありますが、割合で言えばかなり限られています。またその銘柄を長期的に保有する場合であれば、資金が凍結しやすく、かつ将来性の高い銘柄を見つけた際にも購入できない可能性も浮上します。含み損をすることで生じるデメリットを理解してなお保有し続けたい場合であれば、株価が順調に値上がりするまでその銘柄を保有しておいてもいいかもしれません。それでもロスカットをせずに利益を上げることは、本当に可能なのでしょうか。
ロスカットはしないほうが良い?波乗り投資法とは
この章ではロスカットをしない投資方法として、波乗り投資法について紹介します。ロスカットが怖くてできないのであればそもそもロスカットをしなければいいとして、この投資方法が誕生しました。その内容について、以下でさっそく見ていきましょう。
含み損をロスカットしない?
ロスカットとはそもそも含み損が出た時点で損失確定させ、マイナスの金額をなるべく最小限に抑えるために行うものとされています。ただしこの波乗り投資法では以下のルールに則って投資するだけで、ロスカット自体をすることはありません。
・資金を投資前から分割しておく
・売りか買い、どちらかのポジションに分散する
・株式相場の状況に合わせて、どちらかのポジションで利益確定する
・一つの銘柄だけを保有して、複数の銘柄を保有しない
この波乗り投資法では厳密なまでに資金を管理するとともに、行うのは常に利益確定だけとなります。ポジションを両方とも持っておくことで市場の変動に合わせやすく、株価が値上がりした際には買いポジションを持ち、値下がりした際には売りポジションを持つことにより、利益を上げることが可能となります。
また投資する際には売りと買い、両方のポジションを分散して持っておくことで、相場に合わせた売買を行いやすくなります。全てを売りポジション、もしくは買いポジションに偏らせてしまうと、株価がどちらかに傾いた時だけしか対応できず、結果としてリスク回避どころかリスク選好の投資方法にもなりかねません。
ロスカットせずに利益を上げ続けるためには含み損をあえてロスカットせず、利益確定することだけを追求して投資するようにしましょう。
複数の投資ポジションを持つ?
一般的に言われる分散投資について考えると、投資先を複数に分けることでリスク回避をすることができると言われています。しかし投資する際のポジション自体は買いのみであることが多く、そのため下落相場ではロスカットをすることで何とか損失を抑えざるを得なくなるのです。
しかしこの波乗り投資法では売りと買いのポジションを複数持つことで、リスク回避に役立てることができます。ただ売りポジションというと空売りになってしまいますので、株式投資の基本を勉強した投資家であれば、この「波乗り投資法は危険極まりない投資方法ではないか」と思うかもしれません。
空売り自体がそもそも危険な投資方法とするならば、買いポジションだけに固執した現物取引による投資方法はどうでしょうか。たとえ上昇相場では有利に働いても、下落相場は常に不利な状態が続くことが予想されます。
それに比べればどちらの相場でも利益をあげられるこの投資方法は、従来の投資方法よりさらに優れていることがお分かりいただけるかと思います。
分散投資のリスクマネジメントは逆にリスク?
また複数の銘柄や業界にまたがる分散投資では、市場全体としての下落相場への対応力は今一つであると言わざるを得ません。いくら分散投資していても全体として下落相場が形成されてしまえば、損失額が大きく膨らむことはまず間違いありません。そのため波乗り投資法では一銘柄だけを厳選し、かつ売りと買いの両方のポジションを持つことで、リスク回避しやすくしています。その銘柄を選ぶ際の条件については、以下の通りです。
①財務体制が安定して機能している
②活発な値動きがある
③売買代金が高額をマークしている
④信用取引の有無を調べる
こうした条件により安心感のある銘柄に投資する訳ですが、選ぶ際の条件もとても分かりやすいため、株初心者でも簡単に実践しやすい投資方法と言えます。
波乗り投資法は優れている
以上の内容から、波乗り投資法がいかに優れているかがお分かりいただけたでしょうか。投資方法は難解であるほど優れているものではなく、単純なルールで誰にでも実践しやすいものの方がより優れていることは言うまでもありません。
まとめ
ロスカットの必要性があるということはすなわち、買いポジションのみに固執して下落相場でのチャンスを逃していることに他なりません。この波乗り投資法を利用すればロスカットする必要は一切ありませんし、上昇か下落のどちらでも対応可能となります。
厳密に資金を管理しつつ利益を上げたい場合には、ロスカットなしで投資してみてはいかがでしょうか。
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