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はじめに
株を始めるにあたり「できれば損したくない」と思うことは当然ですが、一度も損失を出さずに利益を上げ続けることは到底不可能です。たとえプロの投資家であっても、損失を出さずに利益だけを上げることはできないため、大なり小なりマイナスを出すことはあります。株初心者では損失を出さないことを重視しがちですが、プロの投資家では損失額をいかに最小限に抑え切るかを重視します。そのためにも株価の動向を予想することができるかどうかで、投資の方向性が大きく変わってきます。
そこで今回の記事では、様々な判断材料を用いながら株の値動きを予想する方法について解説します。銘柄選びの際に活用できる様々な指標があるように、株価の動向を把握する上でもいくつか押さえておきたい情報があります。株価の動向を把握しながら損失を抑えた投資方法を実現するためにも、まずは株価の予想方法について確認していきましょう。
株価は予想できる?
この章では株価が本当に予想できるのかどうかについて考察していきます。
株価予想を立てる専門家たちがいることからも分かる通り、何らかの判断材料がある前提で株価の予想そのものが成立しています。株価の予想とは、どれほど先を見据えられるものなのでしょうか。
株価は予想できるのか?
株価を予想するということはすなわち、株の値動きの方向性を直近のチャートを確認して読み取れるかどうかということです。これについては株初心者が特に苦手とするところであり、「プロだったら予想を絶対に外さないから稼げるんだろうな」と、何故か盲目的に信じる人がいまだにいます。プロが何らかの神がかり的な予想を立てられると思っているのであればそれは勘違いです。
自分のお金を元手にエントリーするからには何の根拠もなく投資することはまずありませんが、プロだからといって予想が必ず的中するというものでもありません。実際には株の値動きがどうなるのかを予想することはプロにとっても至難の技であり、事前に立てた予想と大きく食い違う結果がチャート上で描かれることも少なくありません。
それではプロと初心者とでは何が違うのかというと、それは損失の出し方にあります。プロの投資家であれば株価の予想が外れた際に感情的になることはなく、予想を裏切り損失が出る方向に株価が値動きした時点で、すぐさま損失確定をします。これは自分の予想を否定する行為とも言えますが、自分の立てた予想をいつまでも盲信して損失を出すよりは、機械的に損切りする方が自分の資金を守ることに役立ちます。
その一方で株初心者であれば自分の立てた予想が何とか当たってくれないかと頑なにこだわり、予想を裏切る方向に株価が値動きしたとしても、なかなか損失確定することができません。含み損の時点から損失確定することを怖がり、損切りができないからこそ株初心者が出す損失額は膨らみやすい傾向にあります。
プロの投資家たちもまた自分の投資してきた経験から株価の動向を予想するための一定のルールを持ち合わせていますが、その予想は絶対的なものではないことを再認識する必要があります。
どれほど先を予想するのか
プロであっても株価の予想を外すことはよくありますが、どれほど先を予想しながら投資を行うのでしょうか。短期投資であれば早くて数分、長くても数日単位でのトレードを繰り返し行います。対して長期投資であれば短くても5年以上、長い場合では数十年かけて投資を行います。
数分先の株価でさえおよそ50%の確率で外れるというのに、時間の単位が大きくなるにつれて予想を立てること自体が難しくなってきます。長期投資のデメリットとして「長期的な予想を立てるのが難しい」とよく言われるように、予想を立てる今から時間間隔が空くほど、予想を立てるための根拠さえもその信頼性が低くなっていくものです。直近の株価を予想すること自体も、そもそも難しいことは言うまでもありません。
株価予想をしている人たち
株価予想を専門にしている人と言えば、アナリストがこれに該当します。株式投資を始めて間もない人であればアナリストはプロの投資家であると思いがちですが、実はそうではありません。プロのアナリストと呼ばれる人たちは自分自身で株式投資を行うことを禁止されているため、実際にはプロの投資家ではありません。推奨銘柄を挙げる根拠を理路整然と述べており、株初心者ほど「その銘柄を買えば確実に稼げるんだ」とつい飛びつきやすくなります。
しかしプロのアナリストたちは誰かが稼ぎやすいように、予想を立てる訳では決してありません。彼らの生活を立てるための仕事として、株価予想を立てているに過ぎないのです。
そのため「プロの言葉だから大丈夫」だと盲信してエントリーすると、一瞬で資金を食い潰されてしまいかねません。アナリストたちはプロの投資家ではないことを改めて認識し、その言葉を鵜呑みにしない方がよほど懸命と言えます。
株価に影響を与える物事
株価の予想を立てる難しさについては前述した通りですが、株価を予想するための方法というものはいくつか存在します。それは株価に影響を与える物事を理解し、その物事について日頃から情報収集しておくことで株価を予想しやすくなります。
この章ではその具体的な物事について、各項目に沿って解説していきます。
天災
一見すると株とは関係なさそうな天災であっても、株価の動向に影響を与える場合があります。例えば天災の被害が甚大な企業があれば、その被害を修復するために将来の収益がマイナスになりやすいため、結果として株価は値下がりする可能性が高くなります。
その一方で天災の被害を復興する関連の銘柄であれば、仕事量が一時的に増大することから、その株価は値上がりしやすい傾向にあります。
具体例を挙げるならば土木や建築業界における銘柄は復興銘柄とも呼ばれることがあり、天災時ほど株価がプラスの影響を受けやすいことを知っておくといいでしょう。
事業不振
株価の予想を立てる上で企業の事業動向を探ることは不可欠ですが、事業の方向性を図るためには業績予想を立てる必要があります。
この業績予想を立てる方法としては主に2種類あり、企業自身が発表する業績予想と、東洋経済社が独自に出す四季報予想とがあります。
企業自身が発表する業績予想については、これまでの事業の進捗ぶりを根拠としながら立てる場合が多いのですが、その企業の特性によって若干ですが内容が左右されてきます。
例えば製造業を主体とする大手企業の場合では弱気な見解を示すことが多くなり、反対にIT関連の事業を展開する新進気鋭のベンチャー企業の場合では強気な見解を示すことが多くなります。
企業だけの業績予想では信頼性に欠けるため、多くの投資家たちが併せて見るのが四季報予想となります。この四季報予想とは東洋経済社が独自の目線から客観的に立てる予想となりますので、主観的な要素が排除される特性から多くの投資家たちの支持を得ています。この四季報予想と企業自身との業績予想を見比べて、それぞれの数値でどれだけの誤差があるかによって、企業自体が強気か、それとも弱気かを図ることにも役立てられます。
これらの業績予想を参考にした上で、事業不振がうかがえた場合であれば、その銘柄の株価は今後とも値下がりしやすい傾向にあると言えるでしょう。事業としての収益性が見込めない状況下では市場としての評価を得にくいことが想定されますので、事業不振の兆候が見られた際には早めに損切りするか、もしくは新規エントリーを控える方が無難と言えます。
事業の成長
それに対して事業の成長が過去の業績や業績予想からうかがえるようであれば、株価が値上がりしやすい状態にあることが分かります。前述した四季報予想で強気の見解を示された銘柄であれば投資家たちの注目度が高まりやすく、買い注文が入りやすい可能性があります。
四季報予想における強気、あるいは大幅強気の銘柄を逐一探すことで株価の値上がりを予想することができます。
また四季報予想については四季報オンラインという有料のWebサービスを利用することで、最新版の情報をより早く確認できます。企業ごとの業績発表の内容に基づき情報が更新されていますので、いつ頃業績発表があるかを事前に把握しておくだけでも株価の予想を立てることに役立ちます。
事業の成長を図る上でもう一つ忘れてはならないのが、企業の業績予想に関する上方修正の確認です。事業内容の進捗に応じて随時修正がかかることはもちろんですが、繰り返し上方修正が行われた銘柄については市場としての注目度が高まりやすい傾向にあります。上方修正されただけでは株価の値上がりを予想する根拠としては今ひとつ弱いですので、上方修正された時点で出来高が増加しているのか、あるいは株価チャートが新たに高値を描いているのかを併せて確認しておく必要はあるでしょう。
その他
株価の予想とは直接違うかもしれませんが、割安株を見つけることで株価の値上がりを予想することもできます。割安株については中・長期投資で利用価値が高いのですが、それを探す具体的な目安としては以下のようになります。
・同業他社が経営破綻、もしくは解散したことによる株価の値下がりが見られる
・社会情勢や経済状況などにより、市場全体としての株価の値下がりが見られる
・株主優待や配当金に関する権利確定日の翌日にあたる
割安株とは優良企業がその業績とは無関係な影響を受け、一時的な株価の値下がりが見られる前提の上で成り立ちます。その企業自身の問題により株価が値下がりしている場合では割安株とは判断できないため、この点は注意しておく必要があります。
また株価チャートの動向から株価予想を立てる際に役立つのが「ローソク足」です。ローソク足の用途は以下のようにいくつかあるのですが、この中から自分が活用しやすいものだけでも覚えておくと株価予想を立てるのに便利かもしれません。
・移動平均線
・ボリンジャーバンド
・酒田五法
・価格帯別出来高
・RSIなど
まとめ
株価の予想を正確に立てることは容易ではないものの、一定のルールに基づいて確実な根拠を持ちながら予想を立て、慎重にエントリーしていくことが重要です。
また損失が出ると分かった時点でなるべく早急に損切りするようにし、損失額を最小限に抑える努力も忘れてはいけません。自分の予想は外れる可能性があることを常に理解しながら、自分の予想を冷静に否定できるように心がけましょう。
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