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はじめに
本業の傍らで株式投資する兼業投資家にとって、将来有望な銘柄を手始めに選別することが最も難しいことは言うまでもありません。株式上場を果たしている銘柄は膨大であり、自分に合った投資方法を考慮しながら自力で選別しようと思えば、かなりの時間と手間を要します。一般的な探し方で想定しただけでも、その銘柄の過去も含めての業績やチャート、現時点でのニュースなどを随時チェックしなければなりません。これを各銘柄において実践するのは、本業で資金源を稼ぐ兼業投資家であればこそ骨が折れます。
そこで各銘柄を吟味する時間がない方でも使えるのが、このスクリーニング機能です。スクリーニング機能を利用すれば自分好みの条件を設定しておくだけで、後はコンピュータが自動的にめぼしい銘柄を探し当ててくれます。
そこで今回の記事では、スクリーニング機能を利用して時短で優良銘柄を探し当てるために、その基本的な機能や実践的なスクリーニング方法について解説します。
株式投資におけるスクリーニングとは?
スクリーニングという言葉には「ふるい分ける」という意味があるように、このスクリーニングとは特定の条件をあらかじめ設定しておき、その条件に合致した銘柄だけを選出してくれる便利な機能のことを指します。
条件を設定する際に自分の投資方法を反映することもできるため、自分が重視したい条件を事前に入力しておくだけで自分好みの銘柄を自動選出することが可能となります。この章では株式投資におけるスクリーニングの基本的な知識について解説します。
株におけるスクリーニングの概要
株におけるスクリーニング機能では高収益の見込める銘柄や成長企業の銘柄、高配当銘柄といった銘柄の詳細な特徴を条件として設定することで、コンピュータが自分の投資方法に合致する銘柄を自動的に選別してくれます。このスクリーニング機能そのものは、各証券会社に株式投資用の口座を開設するだけで、無料で利用することができます。また各証券会社において機能が微妙に異なりますので、株初心者でも分かりやすい工夫が凝らされたスクリーニングがそれぞれに用意されています。
つまり独自の条件を組み込んでいる証券会社を最初に選んでおくことで、後々の銘柄探しがかなり楽になることは言うまでもありません。スクリーニングの詳細に関しては、各証券会社のホームページをチェックしてみるといいでしょう。
スクリーニングで何が分かる?
銘柄探しの時短に活用できるスクリーニングでは前述したように、投資家にとって有益な銘柄を探し当てることが可能となります。次項であるスクリーニングの検索条件と重複する部分もありますが、スクリーニング機能で分析できることとしては以下の内容が挙げられます。
・株の規模
→発行済株式数や時価総額などを元に各銘柄を分類したものです。大型株、中型株、小型株の3種類があり、株の規模が小さいほど株価の変動幅が大きくなる傾向にあります。
・割安株
→PERやPBRといった株式指標を元に、各銘柄の割安性を分析できます。ただし現時点で注目を集める銘柄では、一時的な割高株に変化して見えることも少なくありません。スクリーニングで探し当てた銘柄が本来の割高株であるかどうかを判断する際には、実際のチャートを見て判断するべきと言えるでしょう。
・成長株
→企業自体の収益性や経常利益の年度ごとの変化率といった部分から、その成長が著しい銘柄を分析することもできます。また株式上場している市場によっても特色が異なりますので、企業の成長に伴い利益の総額を上げたい場合には、今後の成長が期待される銘柄が集まりやすいマザーズやジャスダックから選別してみてもいいかもしれません。
これ以外にも様々な銘柄を検索できるスクリーニングですが、そもそもどのような検索条件が含まれているのでしょうか。
スクリーニングの検索条件とは
スクリーニングする際に設定できる検索条件は、各証券会社で微妙な工夫の差こそありますが、大まかな内容は共通しています。共通部分である検索条件については、以下の通りです。
・上場済の市場
→複数の市場で重複する銘柄もありますが、一市場のみで上場を果たしている銘柄も相当数あります。そのため市場をあらかじめ決定してからスクリーニングしなければならず、自分の投資方法に沿う市場を事前に知っているかどうかが重要です。
・株の規模
→株価が購入時の数倍にも化ける銘柄を探すためには、この株の規模を考慮しておく必要があります。株の規模が大きくなるのに比例して株価の値動きは緩慢になりやすい傾向がありますので、長期投資を狙うようであれば大型株を、短期投資を狙うようであれば中・小型株を選別する方がより効率的と言えます。
・指数採用銘柄
→株式特有である各指数を採用しているそれぞれの銘柄のみ、スクリーニング機能で検索することができます。
・投資金額
→自分の資金源の範囲内に収まる金額を入力することで、無理のない株式投資を行うことができます。最低発行株式数の金額は各銘柄で異なりますので、この検索条件をあらかじめ設定することで、自分の投資金額以内で購入できる銘柄だけに絞り込みます。
・コンセンサスレーティング
→株式投資を本業としているプロのブローカーアナリストが、各銘柄を5段階評価した平均値を表したものがコンセンサスレーティングとなります。強気の5から弱気の1までの振り幅でスコアが割り振られますので、この数値が高い銘柄を選別することで、より確実に利益を上げやすくなります。
・業種
→現時点で自分が注目している業種がある場合には、この検索条件を設定しておくことで自分が投資したい業種のみの銘柄に絞り込むことも可能となります。
これらの検索条件をスクリーニング前には設定しなければなりませんが、自分の投資方法を事前に決定しておかなければそもそも検索条件が設定できません。株初心者でも分かりやすい具体的なスクリーニングの条件については、以下で紹介しますので参考にしてください。
投資方法に合わせたスクリーニング
この章では自分の投資方法に合わせた実践的なスクリーニング方法について解説します。前章までの知識を踏まえての話になりますので、自分が投資したい銘柄の詳細を理解した上で以下を一読することをおすすめします。
高収益の見込める銘柄を見極める
収益性の高い銘柄を見極めることで、安定して右肩上がりになりやすい銘柄を探すことができます。その具体的な検索条件については、以下の通りです。
・ROA(純資産利益率)
→企業自体の収益性を示す指標の一つであり、計算式は以下のようになります。
ROA=利益÷総資産
計算式の利益の部分に何を当てはめるかで、求められるものの意味が若干異なります。借入金を含む全資産をどのように活用しているかを判断するための指標ですので、ROE(自己資本利益率)と組み合わせて活用することで借入金と株主資本の割合を判別することが可能となります。
・ROE
→株主からの資金を示した自己資本が、総資産の何割に当たるかを示す指標となります。その計算式としては以下のようになります。
ROE=利益÷自己資本
ROE=一株あたりあたり利益(EPS)÷一株あたり純資産(BPS)
この数値が高いほど、資本構成としては安全性が高い企業とみなしやすくなります。
・PER(株価収益率)
→一株あたりの収益性を算出する指標であり、計算式は以下のようになります。
PER=EPS÷発行済株式数
企業の利益に対してどれだけの株式が買われているかを算出し、この数値が低いほど株価が本来の利益よりも割安であると判断しやすくなります。企業の過去の動向とともに業界全体の平均値とも比較することで、より活用しやすくなります。
・過去5年間増収比率
→今期を含めた過去5年間でどの程度増収できたかを、比率で表した指標となります。
成長企業の銘柄を見極める
成長企業の銘柄を見極めることで、損失のリスク回避に役立てるとともに、自分が得られる利益の底上げを期待しやすくなります。その具体的な検索条件については、以下の通りです。
・PER
・ROE
・経常利益変化率
→これまでの経常利益における変化を比率で表した指標であり、いくつかに分けて設定することでより確実に成長企業の銘柄を絞り込むことができます。前年比だけでなく、例えば3〜5年分の前年度比や前年度同四半期比といった複数の年度にまたいで条件設定した方が、直近だけの利益に踊らされずに済みます。
高配当銘柄を見極める
高配当銘柄を見極めることで、長期投資する際に期待できる株主優待や配当金を充実させることができます。その具体的な検索条件については、以下の通りです。
・ROE
・時価総額
→株の規模を測る際に活用できる指標であり、その計算式は以下のようになります。
時価総額=株価×発行済株式数
この数値が大きいほど緩やかに流動していくため、安定的な高配当を期待する場合には大型株を探せる条件を設定しておく必要があります。
・配当利回り
→株価に対する年間でどれだけの配当を受け取れるかを表した指標であり、その計算式は以下のようになります。
配当利回り=一株あたり年間配当額÷購入株価×100
同じ配当利回りであっても購入時点での株価によって割安性が異なります。ただし成長企業では配当利回りが小さくなる可能性が高いため、ある程度成長し終えた企業でなければ高くなりにくい側面はあります。
まとめ
兼業投資家の時間のなさを上手に補えるスクリーニングは、自分の投資方法に合わせた検索条件の掛け方を知っておくことで、より効果的に活用しやすくなります。銘柄選びにあまり時間が割けない方ほど、このスクリーニング機能を使いこなして自分の投資方法に最適な銘柄を見つけられるよう、日頃から練習してみてはいかがでしょう。
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