シャトレーゼが上場しない理由とは?

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はじめに

 

コンビニスイーツの台頭やスーパーの安売りにより最近では影が薄くなりましたが、アイスクリームや生洋菓子の安売りでシャトレーゼが一躍有名になりました。現在でも直営店舗か、もしくは通販でのみ商品を取り扱う経営方針に創業当初からこだわり続けています。製造から販売までを一貫して自社のみで行う理由として、斉藤社長のとある経験が根底に深く根付いていました。

本記事では地元民に愛され続けるシャトレーゼの業績と、何故上場しないのかという根本の理由について考察していきます。

 

 

1章 これまでのシャトレーゼの業績

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この章ではシャトレーゼがこれまでに打ち立てた業績について説明します。近年の施策へと話を進める前に、まずはその歴史から見ていきましょう。

 

 

シャトレーゼの歴史

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シャトレーゼの歴史自体は1954年、山梨県甲府市から始まります。旧オリオン通り(現在では、オリオンスクエアと呼ばれる)に、今川焼き風のお菓子の実演販売店である「甘太郎」を創業し、焼きたての甘味を手軽に頬張れることから人気を博しました。好調な業績の良さを受けて有限会社甘太郎を設立し、創業からわずか5年後には直営店10店舗を運営するまでに至りました。

 

ただし夏場になると熱々のお菓子が敬遠されることは自明であり、当時の有限会社甘太郎社長の兄である斉藤寛さんは故郷に大和アイス株式会社を設立し、アイスクリームの製造・販売に着手します。大手メーカーに押し負けることもありましたが、それでも販路を模索した末に大手デパートへと度々売り込みます。この時に思い出の品として有名な高級金時計を購入するよう圧力をかけられた時点で、大手デパートへの卸売を諦めたと言います。自社工場からの直通販売へと方針転換を余儀なくされたところで、シュー生地の間にアイスクリームを挟んだシューアイスを考案し、相場の約1/5の価格である10円で販売すると瞬く間に大ヒット商品となりました。

シューアイスの販売方法から自社商品を安く売る経営方針を固めたその後も、順調に成長し続けた両社は合併することとなります。フランス語の「城」と「ブドウ」を掛け合わせた造語から名付けて、「シャトレーゼ」へと商号変更します。合併した時点から兄である斉藤寛さんが社長へと就任し、シャトレーゼは本格始動していくのでした。

 

あくまで工場直売店のスタンスを維持するため、シャトレーゼはその本社を山梨県にある食品工業団地へと移転します。また契約農場から素材を仕入れるために白州工場を、物流センター的な役割を担うために豊富工場を新設しました。こうした種々の役割を担う工場を増設したことで、工場直売店のスタンスをとりつつも全国展開へとこぎつけることができたのです。

そして2000年代に突入すると複数のリゾート事業を買収し、食品以外の営業にも注力し始めます。一時期は斉藤社長が会長へと就任して一族以外の意見も取り入れようと試みますが、外部から招いた社長との意見の相違により、わずか5ヶ月後には斉藤会長の子供が社長の座につく運びとなりました。

 

また2008年には公式HP上にインターネットショップを新設し、さらなる新規顧客の獲得を図るとともに、翌年の2009年には博多工場を足がかりにして九州進出を果たします。

2010年には「株式会社シャトレーゼホールディングス」へと商号変更し、分割会社として「株式会社シャトレーゼ」も設立しました。以降も自社ブランドの海外進出と、九州地方での販売強化を掲げて国内外問わずシェア率向上に努めています。

 

 

近年のシャトレーゼの状況

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次項の内容とも重複しますが、近年ではアジア圏への店舗進出および拡大を主軸としています。

2012年にはオランダの菓子メーカーであった「メートル・ポール」を買収したことで、オランダ1号店を新設しました。また2015年には九州で老舗の菓子メーカーであった「さかえ屋」を傘下に組み込むなど、店舗数拡大に貢献する施策へと尽力していることは言うまでもありません。

 

 

シャトレーゼの施策

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近年で見られるシャトレーゼの施策としては以下の通りです。

 

・メートル・ポール買収によるオランダへの出店

・さかえ屋を引き入れての九州進出強化

・シンガポールにアジア1号店オープン

・マレーシアや中国、韓国にも新規オープン

・ドバイのショッピングモールに1号店オープン

・香港でエーワンベーカリーと共同経営する新形態の店舗を3店舗オープン

・クリスマス商戦に向けての商品販売など

 

アジア圏においても日本のお菓子の人気が高いことを考慮し、少子高齢化により顧客の絶対数が少なくなりつつある日本よりも海外進出を優先することで、着実な業績拡大を目指していることがうかがえます。

 

 

 

2章 シャトレーゼの株

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以上のことからも分かるように、シャトレーゼ自体の営業基盤は並々ならぬものがあり、株式上場を果たせば株主資本によりさらなる躍進が期待できそうなものです。それでは何故、上場企業の仲間入りを果たさないのでしょうか。この章ではシャトレーゼが上場した場合の予想も含めて言及していきます。

 

 

シャトレーゼは上場していない

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シャトレーゼホールディングスとシャトレーゼともに株式会社ではあるものの、株式上場をしている訳ではありません。シャトレーゼグループの持株会社として社名を変更しただけにすぎません。両社の事業内容としては以下の通りです。

 

・株式会社シャトレーゼホールディングス

代表取締役社長を斉藤寛さんが務めます。事業内容としては、お菓子やワイナリー、リゾート経営などの多岐にわたる事業の企画ならびに管理を担い、シャトレーゼグループの頭脳とも言うべき役割を果たします。

 

・株式会社シャトレーゼ

斉藤寛さんの子供にあたる斉藤誠さんが代表取締役社長を務めます。菓子事業についてのみ分割会社化したもので、こちらの事業内容としては菓子類や飲料、アイスクリームなどの製造・販売ならびにFC店の全国展開を掲げています。

 

公式HPの情報によれば資本金としてはシャトレーゼホールディングスが7,000万円、シャトレーゼが5,000万円を保有しているとありました。株式上場をすればより潤沢な資金源を確保できる可能性があるにもかかわらず、何故資本金の面でまで自社グループの範疇で補おうとするのでしょうか。次項ではその点について考察します。

 

 

何故上場しないのか

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シャトレーゼが株式上場を敢えてしないと想定するならば、それは上場することにより生じるデメリットのためだと考えられます。以下では上場につきまとうデメリットの具体例について見ていきましょう。

 

①上場するまでに莫大なお金と時間がかかる

上場すること自体に費用を要することもあり、企業負担のコストとしては上場審査手数料、引受手数料、監査報酬などがあります。企業そのものの規模や上場を想定した際に獲得できる資本金額の大きさに比例して、上記のようなコストは膨れ上がってしまいます。また上場するまでに相応の準備期間が必要であり、最低でも3年前後はかかると言われています。

 

②上場継続についても費用がかかる

一度上場すればそれで終わりという訳でもなく、上場後も別途コストがかかることになります。株主名簿管理料、年間上場料、監査報酬などの他にも、株主総会を運営するためにもコストが少なからず発生します。たとえ小規模の企業であったとしても、維持費用として年間5,000万円から1億円は必須となるため、金銭的な負担は大きくなります。

 

③株式関連の事務量増大

株式上場することにより株式の流動性が高まるため、株主が変更される度に都度手続きが増えることは十分考えられます。事務に割くための人件費も別途かかることとなり、金銭面だけでなく労務面でも負担が増えることを視野に入れなければなりません。

 

④企業側に情報開示の義務が生じる

一度株式上場を果たした時点で、有価証券報告書や事業報告書といった書類により投資家や株主らへと企業に関する情報開示を行う義務が生じてしまいます。情報開示に際しては、たとえ企業側として伏せておきたい事実であっても、公表しなければならないことは言うまでもありません。監査法人の介入によりかかるコストや事務量についても加味する必要があります。

 

⑤株主からの圧力により、短期計画に傾倒しがちになる

企業としての経営自体に株主が介入することから、直近の業績を伸ばすことに注視されやすくなる反面、長期的な目線による計画が立てづらくなります。また広く株主らの意見を取り入れることも必須となるため、社長が思い描く通りの経営方針を徹底できないリスクが浮上します。

 

⑥買収のリスクが高まる

株式上場とはすなわち、自社株式の売買の自由化に他なりません。自由売買により企業側にとって不利となるような投資家に自社株式を購入されるリスクが浮上します。

 

上場することによって得られるメリットよりも上場しないメリットを選び取ることで、経営方針の徹底を優先したと言えるでしょう。

 

今後上場した場合の予想

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仮に、今後上場することがあるならばそれは海外での店舗数拡大の目処が立ってからの可能性も考えられます。

店舗数を拡大することにより業績拡大にも十分寄与できる状況であれば、株主の新規参入により経営方針を曲げざるをえないリスクが回避しやすくなるためです。今年の1月に入りエーワンベーカリーとの共同経営により香港1号店をオープンしたばかりですが、これより向こう5年間で150店舗まで店舗数の拡大を図ることを斉藤社長自らが明らかにしています。海外進出への道行きもここまでは順調なため、その途上でどうしても資金繰りに困ることがあれば株式上場も視野に入れるかもしれません。

 

 

まとめ

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自社工場での製造に徹底するシャトレーゼですが、海外市場を視野に入れての躍進は当分終わりそうにありません。日本製スイーツが海外にどこまで通用できるかを期待する意味でも、今後の活躍から目が離せません。


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