所持している株を貸す?貸株の仕組み解説

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はじめに

安く買った株が高値で売れれば、投資冥利に尽きます。投資の目的は、投資金額以上の利益を得ることです。また企業からの配当金や株主優待特典(サービスや商品)も、投資家にとって魅力のひとつです。『売却益』『配当金』『株主優待』は投資家なら常に意識していると思います。株で利益を生み出す、もうひとつの方法をご存じでしょうか。

それは『貸株サービス』です。昨今『株主優待』はテレビで取り上げられたこともあり、有名になりました。一方で『貸株サービス』について語られた番組はほとんど観たことがありません。

そこで今回は『貸株』についてメリットやデメリットを比較しながら、掘り下げていきたいと思います。

 

 

 

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貸株サービス

 

『貸株』という名前だけみると、信用取引のようなハイリスクハイリターンを連想するかもしれません。初心者の投資家のなかには、企業の株主優待の内容は調べても、『貸株』の中身まで勉強する人は少なく思えます。むしろ『貸株』の存在すら知らない人もいるかもしれません。そもそも現在保有している株と『貸株』はどのような関係があるのでしょうか? 詳しくみていきましょう。

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貸株とは

『貸株』とは証券会社に貸すことで金利を受け取れる株のことを指します。保有している株がとある条件を満たせば『貸株』に変貌するのです。株を売らないで利益(=金利)を得られる夢の制度などありえるのでしょうか?

各証券会社のホームページには『貸株』あるいは『貸株サービス』とあります。『貸株』の仕組みは単純です。証券会社が『貸株』を機関投資家などに貸し出します。証券会社のメリットとしては貸し出すことで手数料収入を得ます。その手数料の中から、われわれ投資家(保有株を貸した人)に金利として還元します。

ここでひとつ疑問が生じます。なぜ、機関投資家などは『貸株』を購入するのでしょうか?『貸株』が必要な状況を考えると、おのずと答えがみえてきます。

たとえばA株の値段が下がると予想する機関投資家は、まず株を売りたいはずです。いわゆる『空売り』です。A株が無限に存在するのなら、誰もが空売りをするでしょう。しかし、発行株式には上限があります。そこで、すでに現物のA株を購入した投資家の『貸株』が必要となります。機関投資家などは証券会社を通して『貸株』を借ります。もちろん、借りる際には『貸株料』という手数料負担があります。そのリスクを勘案しても利益が出ると思う投資家が『貸株』を求めるのです。 

 

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貸株をはじめるには

 『貸株』をはじめるには『貸株サービス』を行っている証券会社の口座が必要となります。取り扱い証券としてはSBI証券、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券があります。松井証券は預株サービスと呼称が違いますが、貸株サービスの仕組みとほぼ同じです。

各証券会社によって貸株の金利や銘柄が異なります。すなわち全部の銘柄が『貸株』に該当するわけではありません。金利0.1%もあれば1%以上のプレミア銘柄やボーナス銘柄と呼ばれるものまで存在します。また貸株の金利は不定期に変動します。各証券会社のホームページで必ず情報が掲載されているので『貸株』をおこなう場合はこまめにチェックしましょう。

たとえば10万円の株を『貸株』にした場合、金利1%で年間1000円になります。たった1000円と思うかもしれませんが、銀行に10万円を預けた年間の利息と比較してみてください。通帳に1000円と記載されるでしょうか?こういった利回りの強さも貸株のメリットといえるのではないでしょうか。

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貸株の魅力

貸株の魅力は、前述したとおりやはり金利です。保有株式を貸すだけで金利を得られるのなら、制度を利用しない手はありません。いままでは売却益や配当金、株主優待の三本柱で資産運用していた人も、貸株金利を活用すれば、より効率のよい資産形成につながります。

各証券会社によって貸株の銘柄や金利も違うので探す楽しみもあります。ごく一部ではありますが、金利が10%を超える銘柄も存在します。定期預金だと資金が拘束される側面がありますが『貸株』なら途中売却も可能です。経済状況を見極めながら取引できるのは『貸株』の魅力でしょうか。

 

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貸株のメリットデメリット

 

 保有している株の貸株金利が高かった場合、すぐに『貸株』にすべきでしょうか? 金利が高い『貸株』は良くも悪くも投資家にとって注目の的です。深読みすれば『空売り』したい機関投資家や個人投資家が潜在的にいるので高金利であるともいえます。

次に『貸株』のメリットとデメリットをみていきたいと思います。

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貸株のメリット

 まずはメリットを考えてみましょう。主に三点あります。

①    株を保有しているだけで金利を受け取れる点。

貸株をするうえで最大のメリットです。貸株』で金利をもらいつつ、株の価値があがった時点で株を売却する。貸株期間中であっても株を売ることは可能です。売却益と金利を獲得できれば一石二鳥といえるでしょう。

②    損をしている株でも『貸株』として活用できる点。

たとえば10万円のB株が9万円に目減りしたとします。1万円の損切りをするか、損失を抱えたまま塩漬けにするか、投資家ならだれもが一度は直面する問題です。損失を減らす最終手段としてナンピン買いする方法もありますが、投資資金にも限界はあります。塩漬けB株が、いつ10万円に戻るかはわかりません。しかしB株を『貸株』にすることで塩漬け期間も金利を受け取れます。つまり資金を追加投入しなくても、B株の損失をコツコツと埋めていけるのです。

③    『貸株』でも株主優待や配当金を受け取れる点。

貸株期間中でも、各証券会社に手続きをすれば、配当金相当額(≒配当金)や株主優待の権利を獲得できます。配当金や株主優待は多くても年に二回です。つまり権利日以外を『貸株』にすることで、保有株の恩恵を最大限に享受できます。証券会社によっては例外もありますので、貸株をおこなう場合は各証券口座の注意事項を確認しましょう。

 

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貸株のデメリット

 保有している株式を『貸株』にしようとする前に少し考える必要があります。リスクがゼロで金利がもらえる制度なら『株主優待』よりも世に知れ渡っているはずです。『貸株』と『株主優待』、どちらが聞き慣れた言葉でしょうか? 次にデメリットについて考えてみます。こちらも三点にまとめました。

①    証券会社が倒産した場合、株を失う可能性。

通常、証券会社が破たんした場合、現物の株式は手元の資産として残ります(日本投資者保護基金が1000万円まで補償してくれます)。一方で貸株期間中の株式は名義が証券会社になってしまいます。したがって証券会社が破たんした場合、株の補償はされません。つまり、『貸株』にした株は投資家に戻ってこないのです。

②    株主優待がもらえない可能性。

貸株期間中でも、設定変更をしないと株主優待の権利が受け取れません。金利に目がくらみ、金利以上にお得な株主優待が受け取れなければ元も子もありません。また企業によっては株主優待の長期保有特典があります。『貸株』をすることで保有者としての名義が外れてしまう可能性もあるので注意が必要です。金利と株主優待を比較して選択すべきでしょう。証券会社によっては自動で設定変更してくれるシステムも存在します。ご自身の証券会社のシステムを確認しましょう。また、議決権も同様です。貸株期間中は、証券会社の名義になっているため、株主総会などに出席できない場合もあります。

③    貸株による収入は雑所得扱いになる

『貸株』による収入は特定口座の売却益とは違い、雑所得の扱いになります。雑所得の場合は確定申告をおこなう必要があります(雑所得が20万円以下など一定の要件を満たせば申告は不要となります)。『貸株』による収入は主に金利と配当金相当額の二種類です。少しややこしいのが、配当金相当額の部分です。現物の株なら企業から『配当金』として支払われます。そのため特定口座の人なら売却益と合算でき、確定申告も不要です。しかし『貸株』の場合は、企業ではなく証券会社から支払われます。証券会社が配当金相当額として支払うため、配当金と同じ金額でも雑所得扱いになってしまうのです。企業から『配当金』を得たい場合は、証券会社のホームページで設定変更する必要があります。

 

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まとめ

『貸株』についてメリットとデメリットを挙げながら考察してきました。もちろん高い金利が得られれば、投資家にとってはうれしい限りです。金利のメリットに着目しがちですが、初心者にとっては含み損の株や塩漬け株を活用できるほうが嬉しいのではないでしょうか。

特に株をはじめたばかりだと、損切りの判断に時間がかかります。『貸株』可能な銘柄なら、放置している期間を『金利』に変えられるのです。もちろんデメリットもあるので『貸株』をおこなうかは投資家個人の判断になります。

金利を受け取れる制度でありながら、現在まで『貸株』の認知度はそれほど高くありません。『株主優待』というわかりやすい言葉の影響は否めません。ただ今回『貸株』の仕組みを理解したことで、すこし印象が変わったのではないでしょうか。株の知識や情報が増えるに越したことはありません。記事を読んで、投資家としての視野が拡がったのであれば幸いです。


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